第28話 家を建てよう!


「スキルレベル……?」


 その瞬間、俺の頭の中に『キャンプスキル』の更なる知識が入り込んできた。

 道具のレシピが増えた感じだ。

 これならもっと良い道具が出せそうだ。

 俺は早速、そのうちの一つを試す。


「エノア? どうしたの、ボーっとして」

「みんな、少し離れてて」


 俺は3人を自分の後ろに来させると、両手を合わせる。

 そして、精神を集中させた。

 を出すには流石に少し時間がかかるようだ。

 ルーナが集中している俺にイタズラをしたくてウズウズしている気がする。

 邪魔される前に出さないと……。


「キャンプスキル! ログハウス!」


 俺が地面に両手を当てると、目の前に立派な丸太小屋が建った。


「「「えぇ~!?」」」


 俺の後ろで待っててくれていた3人は綺麗な音階で驚き声のユニゾンを奏でる。


「い、家が建っちゃった……」

「エノア様……凄すぎます」

「こ、こんな能力があったら燃やされたエルフの里もすぐに再建できちゃうよ……」


「あはは、俺もびっくり。中にお風呂もあるはずだから、入ってみよう」


 スキルでログハウスが出せることは分かるし、ある程度中身もデザインできるんだけど実際に中に入ってみないとどんな感じかは分からない。


 俺は早速、ログハウスの扉を開く。


「「「わぁ~!!」」」


 俺に続いて家の中に入った3人から感嘆の声が漏れる。


 まず広がるのは開放感あふれるリビングルーム。

 大きな窓からは外の美しい森林の景色が見え、昼間は自然光がたっぷりと差し込み、夜は窓越しに満点の星空を楽しむことができる。

 リビングには大きな薪ストーブが設置されており、その前には柔らかなソファと厚手のラグが敷かれ、居心地の良いくつろぎスペースが広がっている。

 薪が燃える音と、木の香りが辺りに漂い、自然とリラックスできる雰囲気だ。


 リビングの右手には、ダイニングエリアがあり、丸太を使った頑丈なテーブルと椅子が並んでいる。

 ダイニングスペースは広く、みんなで食事を楽しんだり、ゆったりとした時間を過ごすのに十分な広さだ。

 大きな窓から見える景色を楽しみながら食事することもできるだろう。


 ダイニングのすぐ隣には、キッチンが設置されている。

 ログハウスのキッチンとはいえ、最新の設備が整っており、冷蔵庫やオーブン、食器棚には十分な収納スペースもある。

 木材を基調としたカウンターとシンクが美しく、快適に料理を楽しむことができそうだ。


 リビングの奥に進むと、ベッドルームが配置されている。

 とりあえず、全員が個室で寝られるように4部屋分。

 それぞれベッドと個別の収納スペース、リラックスできるスペースが確保されている。


 そして、俺はリビングの左手にある扉に手をかける。


「お風呂はこの先だよ」


 俺が扉を開くとヒノキのバスタブが2つある広々とした浴室が現れた。

 同室に設けたサウナエリアには本格的なヒノキのサウナがあり、身体をしっかりと温めることができる。

 バスタブが2つある理由は一つを水風呂にするためだ。

 これでサ活がしやすいという完全に自分の欲望で作った。

 自然の石で作られたシャワースペースも完備していて、試しに水を出すと心地よい水音が響いた。

 本当にどういう原理かは分からないけれど、上下水道も完全に機能している。

 いや、原理なんかこのスキルの前では考えるだけ無駄なんだけど……。


「わぁ~凄いすごーい!」

「木のぬくもりがあって、すごく安らぎます!」

「エルフの里の家よりずっと立派……!」


 3人とも家中を見回してはキャッキャとはしゃいでいた。


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