第27話 食べるほど強くなる能力

 俺はエラスムスの肉串に鑑定を使う。


【ドラゴン肉の串焼き】

 効果:

 体力上限 +10

 攻撃力 +10

 防御力+10

 炎属性耐性 +80%(3時間)

 HP自動回復 +10%(30分間)

 スタミナ消費 -15%(2時間持続)


(おぉ、なかなか良い!)


 俺が最初に作った、【ごちゃ混ぜキノコ鍋】は『鍋全部』で体力上限 +20だった。

 それに対して、このドラゴン肉は串1本で体力上限、攻撃力、防御力が10ずつ上がる。

 コスパの良さが段違いだ。

 と言っても、1本でも結構量が多いんだけど。


 とにかく、いっぱい食べて強くなろう。

 これからアランと対決することになったら戦闘は免れないだろうし。

 それに向こうにはAランクスキルを発現したトレシアもいる。

 俺はBBQ串を頑張って3本食べた。

 ――そして、その間にルーナは串を10本食べた……。

 相手は聖獣とはいえ、女の子よりも食べられないのは何だか情けない気がしてしまう……。


「お腹いっぱーい!」


 ルーナは食べ終えると原っぱに寝転ぶ。


「ルーナ、食べてからすぐに寝ると牛になっちゃうよ」

「私は猫だもーん」

「いや、虎でしょ……」


 ロマリアとフェリは串を1本ずつ、そして最後の1本を2人で分け合って食べていた。


「エノア様、大変美味しいお料理を作っていただきありがとうございました……」

「ご馳走様……エノア、ありがとう……」

 

 フェリは食事を終えると、何やらソワソワとし始めた。

 俺は気になってフェリのそばに寄る。


「どうしたの?」

「――っ!」


 フェリは俺に気が付くと、慌ててサッと身体を避けた。

 露骨な嫌われ方に俺がしょんぼりすると、フェリは首をブンブンと大きく横に振る。


「ちがっ……! 私、里から逃げ延びて……ずっとエラスムスを倒す隙を伺ってたから水浴びとかしてなくて……!」


 フェリの言葉を聞いて、ルーナが元気よく跳び上がった。


「よーし、じゃあみんなでお風呂だ!」

「ルーナは今日3回目くらいのお風呂になっちゃうんじゃない?」

「お風呂なんて、何回入っても気持ち良いもん! ロマリアももう一回一緒に入ろうよー!」

「は、はい、ルーナ様! ご一緒させていただきますっ!」

「お風呂……? でもこんな山の中にお風呂なんて……」

「フェリ、俺のスキルは『キャンプ』だから、お風呂も出せるんだよ」


 説明しつつ、俺は洞窟の方まで歩きながら考える。


(3人でドラム缶風呂は結構狭くなっちゃうよなぁ……もう少し大きめのを出そうか。でも、深すぎると溺れちゃうかもしれないし……)


 そんな風に思っていると、不意に頭の中で無機質な女性の声が聞こえた。


《スキルレベルが2に上がりました》


――――――――――――――

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