第23話 邪龍エラスムスを討伐!
(あの子は誰だっ!? 分からない、けど手助けしてくれた――!」
「――絶対に……逃がさない! エルフの里を燃やした恨み……!」
エルフ族らしい彼女はそう言って再び数本の矢でエラスムスの翼を射抜く。
翼に穴が開き、エラスムスが上昇する速度がさらに遅くなった。
素晴らしい腕前だ、的確に翼の薄い部分を射抜いている。
――だが、それだけで撃ち落とせるほどじゃない。
このままじゃルーナがたどり着く前に逃げられてしまいそうだ。
エルフの少女が稼いでくれた時間で俺は必死に考える。
「どうやって、エラスムスを引き留めれば……」
「エノア様、私が囮になるのはどうでしょう! 私をエサにすれば、逃げるついでに攫おうとして食いついてくれるかもしれません!」
「ロマリア、そんな危険なこと――」
ロマリアの意見を聞いて、閃いた。
エサ、食いつく……それってまるで――
「キャンプスキル!」
思いついた。
空を飛ぶエラスムスを引き止める方法……!
――俺は手元に『釣り竿』を作り出した。
【伝説の釣り竿「グラウンダー」】
効果:
釣り針を好きな場所へ思い通りにキャストすることができる。
【魔法の釣り針】
効果:
一度かかった獲物を絶対に離さない。
【魔法の釣り糸】
効果:
数千トンの荷重にも耐える丈夫な糸。
【魔法のリール】
効果:
所有者の意思に基づいて自動で糸を巻いたり、伸ばしたりしてくれる。
(これで……俺はドラゴンを釣る……!)
「とりゃぁぁ!」
掛け声と共に釣竿を振る。
すると、釣り針の付いた糸が真っすぐ飛んでいって、エラスムスの腕に引っかかった。
「よし、後は全力で地上に引っ張れば……!」
「エノア様! 私も手伝います!」
ロマリアが竿を持つ俺の後ろから抱き着いて、一緒に引っ張ってくれる。
自分の身体に釣り針と糸が付けられたと知ったエラスムスは嘲笑した。
「バカめ! 脆弱な貴様らが引っ張ったところで吾輩が止められるか!」
木の上にいたエルフの子も矢を撃ち終え、俺の身体を抱いて一緒に引っ張ってくれていた。
(何とか、1秒でも長くみんなで引き留めるんだ……! ルーナがエラスムスのもとにたどり着くまで!)
――願いが通じたかのようにエラスムスの上昇が止まった。
エラスムスは必死で翼を羽ばたかせるが、釣り糸に引っ張られている。
「な、なぜだ! どうして吾輩が人間ごときの力で……!」
俺は自分の身体に鑑定を使う。
【 名 前 】 エノア・ウィシュタル
【 年 齢 】 10
【 職 業 】 無し
【 体 力 】 60(+300)
【 魔 力 】 35(+300)
【 攻撃力 】 37(+300)
【 防御力 】 32(+300)
【 俊敏性 】 28(+300)
使い魔
《従属契約》 白虎
【固有スキル】 キャンプ
《バフ効果》
・サウナ『整いLv,1』残り3時間
(全ステータス+300)
エラスムスの足止めが出来ている理由を瞬時に理解した。
(今朝入ったサウナの効果だ! 整って、俺の身体能力が強化されているんだ!)
恐らく、エラスムスの方が今の俺より力があるのだろう。
でも、エラスムスは飛び立とうとしているので翼の筋力しか使えない。
それに、ロマリアとエルフの子が一緒に引っ張ってくれているから何とか引き留められていられる。
エラスムスは必死の形相に変わった。
「腕が引っ張られて、これでは防御も――くそっ! くそっ! く、来るなぁぁ!」
「エノアたちが作ってくれたチャンス! 私が絶対に仕留める……!」
エラスムスのもとへと到達したルーナが空高く跳躍し、その右腕が光る。
ルーナはスキルを発動した。
「『
「ぐわぁぁぁぁ!」
バチバチと雷を纏ったルーナの爪が、エラスムスの急所である喉を切り裂いた。
――ズズゥゥ~ン。
エラスムスの巨体が地上に落ちると、俺は釣り竿を持ったままロマリアとエルフの女の子と一緒に後ろに倒れる。
「ルーナ!」
名前を呼びながら慌てて立ち上がると、エラスムスの亡骸の横でルーナが俺たちに向けてピースをしていた。
「みんな、ありがとう~! ご主人様、やったよ~!」
「はは、流石はルーナ……ご主人様呼びは勘弁して欲しいけど」
「エノア様! やりました!」
「やった、やった……! 倒せたんだ! エルフの里の仇を……!」
エルフの女の子はへたり込むと、感激した様子で泣き崩れてしまった。
――――――――――――――
【業務連絡】
昨日は沢山の応援コメントありがとうございました!
本当に励みになります…!
少しでも楽しませられるように、引き続き頑張ります!
またタイトルが何度か変わったりすると思いますので、お手数ですが作品フォローをして見失わないよう、引き続きよろしくお願いいたします!
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