第22話 VS邪龍エラスムス
「ロマリア、俺のそばを離れないで」
「は、はい……! お役に立てることがありましたら何でもお申し付けください!」
「アランの前にまずはコイツだね。……絶対に許せない」
ルーナも俺と同じ気持ちだった。
先ほどまでとは比べ物にならない程のルーナの殺気に鳥肌が立つ。
「小娘、やる気か?」
「悪いけど、貴方はもうやり直せない……殺すしかない」
「……舐められたものだな。来い、小娘」
ルーナは目にも止まらない速さでエラスムスに向かって疾走する。
人間の姿のままだ、そちらの方が戦いやすいのだろう。
エラスムスはルーナに向かって火炎の息を吐いた。
しかし、ルーナは横っ跳びで躱す。
間髪入れずにエラスムスの尻尾による薙ぎ払い攻撃が行われた。
焼けた地面を撫でるような攻撃を、ルーナは身体を鮮やかに捻りつつ跳躍し、躱しながら接近する。
喉元をめがけて両手の爪を振り下ろした。
エラスムスも咄嗟に自分の両手でルーナの攻撃を受け止める。
「力比べか! このまま潰してくれるわ!」
「ぬぎぎ! にゃー!!!!」
エラスムスはルーナを上から押しつぶすべく腕に力を入れるが、ルーナも押し返していた。
(力はルーナの方がやや強いくらいか……でも体格差が。それに……)
「ほう、その小さき身体で大したものだ。吾輩が力負けしている。だが、忘れてないか……? 吾輩は"ドラゴン"だ」
エラスムスはルーナと力比べをしたまま、その大きな口を開いた。
「ルーナ!」
俺が大きな呼び声を上げた瞬間、エラスムスの口から火炎の息が吐かれた。
ルーナの居た場所が火炎に包まれる。
「――間一髪」
ルーナは俺のそばにいた。
ルーナは俺を主人とする契約を結んでいる。
こうして俺がそばに召喚すれば回避にも使えるのだ。
「ありがとう、ご主人様。ナイスタイミング!」
「小娘、まさか脆弱な人間と『従属契約』を結んだのか? 聖獣も落ちたものだな」
「飼われるのも悪くないよ」
「そうか。だが、的が集まった所でどうする?」
エラスムスは再び、火炎を吐くために大きく息を吸いこむ。
「一網打尽だ! 貴様だけ躱せばその2人が焼け死ぬぞ!」
「――やばっ! どうしよっ!」
「大丈夫! 2人とも俺の後ろに来て!」
俺は2人の前に出る。
――直後、エラスムスの火炎の息が俺たち3人を包んだ。
長い……時間にして1分弱。
エラスムスは俺たち3人を確実に消し炭にしたいのだろう。
「はぁ……はぁ……聖獣ルーナ。目障りだった貴様もこれで終わりだな。人間なんてお荷物と一緒に居るからこうなるのだ」
大きく息切れをするエラスムス。
しかし、火炎が作り出す煙の中から俺たちは無傷で姿を現した。
「き、貴様……! 一体どうやって……!」
俺は大きな耐火シートを作り出して、3人を包み込むことで火炎を振り払った。
BBQをするときに火の粉が燃え広がらないよう地面に敷くモノだが、SSランクともなれば火炎を完全に無効化してくれた。
「チャンス! しばらく火炎は出せないはず!」
ルーナはそう言うと、エラスムスを倒す為に跳び出した。
確かにエラスムスは今ので大きく疲労している。
今のルーナなら倒しきれそうだ。
「くそっ! 覚えていろ、地面を這いずるだけの蟻どもが!」
エラスムスは逃げる為に翼を広げて飛び上がった。
(ダメだ、間に合わない……!)
ルーナからエラスムスまではまだ距離がある。
これでは逃げられてしまう……!
何かないか?
空を飛ぶアイツを引き留める方法は……!
俺が無い頭をフル回転させていると、突如としてエラスムスの翼を数本の矢が射抜いた。
「――何だ!? クソ、翼を……!」
矢が飛んできた場所は俺の背後。
目を向けると、木の上で耳の尖った女の子が弓を引いていた。
――――――――――――――
【業務連絡】
初めておすすめレビューを頂けたので見に行ったら批判コメントでした……
また、ネタバレも含まれていたので削除させていただきました。
未熟な作者であることは自覚しておりますが、心が折れて続きを書けなくなってしまったら続けて読んでくださっている方々にご迷惑がかかりますのでご遠慮頂けますと幸いです。
<(_ _)>ペコッ
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