第20話 恐ろしいドラゴンとの出会い


 突如目の前に現れた、禍々しいドラゴンを見て俺とロマリアは完全に気圧されていた。

 ルーナは俺達を守るようにしてドラゴンに尋ねる。


「エラスムス、何の用?」

「……それはこちらのセリフだな。この山は吾輩の縄張り、なぜ聖獣であるお前が居座っている?」

「ちょっと休んでるだけだよ。そもそも、山なんて誰の物でもないでしょ? 貴方が勝手に縄張りにしているだけ」


 ルーナは恐ろしいドラゴンの姿を見ても、一切恐れることなくいつもの調子で答えていく。

 俺はその隙にドラゴンに鑑定を使った。


 【 名 前 】 エラスムス

 【 種 族 】 霊山の邪龍

 【 ランク 】 C

 【 契約者 】 アラン・ウィシュタル


(ランクC!? 噓だろ、こんなに大きなドラゴンなのに! いや、それよりも契約者がアラン……!?)


 ランクだけ見ると、弱いと勘違いしてしまいそうだ。

 しかし、実際にこのドラゴンは周囲の木々をなぎ倒して口元から息を吐くたびに小さな火炎が噴き出ている。


 つまり……この世界だと、『火を吐くドラゴンがランクC』という基準なのだろう。

 ランクAAAのルーナなら倒せそうだけど……


 邪龍エラスムスはイラだちを隠せない様子で軽く火を噴く。


「まだ年端もいかぬ小娘が、吾輩に意見するつもりか?」

「貴方こそ良い歳なんだから、少し山でキャンプしたくらいで怒らないでくれる?」


 そういえば、ルーナは聖獣基準ではまだまだ若いって言っていた。

 もしかして……種族としてのランクは高いけど強さは発展途上なのかもしれない。

 言動も幼い感じがするし。


「……山に立ち入った事は良い。問題は別にある」


 エラスムスはそう言うと、ルーナの後ろにいる俺とロマリアを睨んだ。

 ルーナも負けじと睨み返す。


「何よ、この子たちが狙い?」

「その坊主は良い。お前と契約を結んだのだろう? 契約者に手を出すことがどういうことかは分かっておる」

「うん、ご主人様に手を出したら殺すよ」

「ならば、そちらの女子おなごの方だ。吾輩に寄こせ、吾輩のご馳走を2つも奪うのは看過できん」


 エラスムスの言葉を聞いて、ロマリアは衝撃を受ける。


「わ、わわ、私を食べるのですか!?」

「そうだ、人間の子は美味い。吾輩は馬車がこの山に入って来た時から心待ちにしていたのだ。昨日来たその坊主は聖獣のせいで食い損ねたからな」


「……今まで貴方に興味は無かったけど、興味が湧いたよ。最悪な意味でね」


 背中越しでも、ルーナが怒っていることが良く分かった。


 ――――――――――――――

【業務連絡】

 タイトルが頻繁に変わってしまい、申し訳ございません。

 何とか少しでも人気が出て続けられるように試行錯誤しています!


 毎日投稿は続けていきます!

 引き続き、よろしくお願いいたします!

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