第18話 ヒロインたちのお風呂の様子

 2人の悲鳴を聞いた俺は、急いで仕切りを手で開く。


「――どうしたのっ!? 大丈夫っ!?」


「エノア、見て見て! ロマリアの傷跡がどんどん消えていくよ!」

「す、凄いです……! 信じられません!」

「……へ?」


 見ると確かに、湯に触れた場所からロマリアの身体の傷跡が無くなっていた。


 ……そういえば、このドラム缶風呂。

 「スチーム・オアシス」の効果にあったな。


『・美容効果: 肌の再生、ハリと潤い向上』


(肌の再生って、傷跡も修復してくれるのか!)


「もう……無理だと諦めてたのに……!」


 ロマリアは感動した様子で涙を流す。


「良かった! 本当に良かった! おめでとう、ロマリア!」

「ほら見て見てっ! エノア! ロマリアの肌がどんどんモチモチになっていくよ!」

「本当だ! 凄く綺麗だね!」

「汚れも落ちて、髪もツヤツヤ! お尻も胸もぷにぷに!」

「うんうん! 胸も……胸?」


「あ、あの……エノア様……その……」


 うっかりしていた。

 ロマリアの身体の傷がどんどん綺麗になっていることが嬉しくて……

 俺は"自分の状況"に気が付いていなかった。


 ロマリアは身体を手で覆いながら顔を真っ赤にしてプルプルと羞恥で震えていた。


「す、すみませんでしたー!」


 俺は全力で謝りながら、お風呂場から出て行った。


       ◇◇◇


「本当にごめん、うっかりしてて……」


 お風呂から出てきたロマリアに俺は深く頭を下げる。


 ロマリアの顔は酷い火傷の跡も、鞭で打たれた跡も綺麗に無くなっていた。

 綺麗な黒髪は光沢を放ち、天使の輪っかでも付いているかのようだ。

 このまま町に出れば、噂になってしまうくらいの美少女へと変貌していた。


 俺が必死に謝る様子を見て、ロマリアの方が慌てて地面に頭を付けた。


「い、いいえ! むしろすみませんでした! 私なんかの無価値な身体でエノア様のお目汚しをしてしまって……!」


「――そんなことないっ!」


 思った以上に大きな声が出てしまい、俺もロマリアも驚きの表情を浮かべる。

 とんでもないセクハラ発言をしていることに気が付いて、俺は自分の頭を叩く。

 ルーナは俺とロマリアの様子を遠くから見て、何やらニヤニヤと笑っていた。


「ごめん、お風呂で頭を冷やしてくるよ……」

「は、はい……その、ありがとうございます」


 顔を真っ赤にしたロマリアから不思議なお礼を言われつつ、俺もお風呂に向かった。

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