第8話 チートスキルがヤバい件
「従属契約……俺、そんなのにサインした覚えがないんですけど」
「もちろん、契約の破棄はできるよ? 私が一方的に結んだから。でも、異世界に来てからずっと屋敷に閉じ込められてたエノアにやり方が分かるかな~?」
ルーナは意地悪い表情でニヤニヤと笑う。
ハメられた……。
「基本的にエノアが不利になることはないよ。離れていても、君が呼べば私を召喚できるから便利なの」
「そんな……もっと対等な関係か、むしろ俺が従属するくらいの契約かと思っていたんですけど」
「この契約で私は君を傷つけられない。一緒に居ても安心でしょ?」
「そんなことの為に俺に従属したんですか?」
「ほらほら、ご主人様が使い魔に敬語でどうするの。ひとまず、私を名前で呼んでみてよ」
ルーナはそんな事を言って俺をまじまじと見つめる。
俺は変に緊張しながらその名を呼んだ。
「ル、ルーナ」
「はいはーい! ご主人様!」
「その『ご主人様』っていうのはやめて欲しいかな」
「えー、私のご主人様なのに。分かったよ、エノア」
ルーナは急に思いついたように人差し指を上げる。
「そうだ、ステータス! それでエノアの今の状態が分かるから見てみようよ!」
「ステータスって自分で見れるんですか?」
「うん、スキル判定をした後なら見れるって聞いたことがあるよ。『ステータス!』って言ってみて」
「ス、ステータス!」
すると、自分の目の前に半透明のウィンドウが浮かび上がった。
【 名 前 】 エノア・ウィシュタル
【 年 齢 】 10
【 職 業 】 無し
【 体 力 】 50
【 魔 力 】 30
【 攻撃力 】 30
【 防御力 】 30
【 俊敏性 】 25
使い魔
《従属契約》 白虎
【固有スキル】 キャンプ
「弱っちいね」
「……子供だから」
「言い訳の時だけ子供になるのズルいよー」
「でも、確かに契約は出来てるみたいだね」
「うんうん、さて。次は私を呼び出す方も試してみようか」
「どうやるの?」
「私の事を思い浮かべて、『来て欲しい!』って強く念じるんだよ」
「じゃあ、一度離れないと」
「私が離れるから、5分くらいしたら召喚してみて!」
そう言うと、ルーナは白虎の姿となって山の方へと走り去って行く。
相変わらず、凄いスピードだ。
言われた通り、5分後くらいに俺はルーナを強く思い浮かべて名前を呼んでみた。
「ルーナ!」
すると、目の前に魔方陣が浮かび上がる。
そして、俺の呼びかけに応じて人間の姿のルーナが目の前に姿を現した。
腕に大量の野草とキノコを抱えて。
「はーい! 貴方のルーナです! やったね、召喚大成功!」
「それは良いんだけど、その腕に抱えてるのは?」
「呼ばれるのを待ってる間に野草やキノコを摘んでたんだ~。早速食べようよ!」
「ま、また食べるの?」
「いっぱい食べないと大きくなれないぞ~。あ、野草はエノアの為に摘んだから私は遠慮するね!」
「ルーナこそ、好き嫌いばかりだと大きくなれないよ?」
「いやいや、私、大きさには結構自信があるよ!」
「何の話――いや、聞くのはやめておこう」
俺の目の前によく分からない異世界の草とキノコが置かれる。
ルーナは食べられるって言ってるけど、それは聖獣基準の考え方で……。
人間の子供である俺が食べても問題がないのかは分からない。
(そうだ、こんな時こそ『キャンプスキル』だ!)
当然、このスキルは野外で生きていく為のスキルなので野草やキノコを見分けることなんて朝飯前だ。
「キャンプスキル、『鑑定』」
スキルを発動すると、ルーナが集めてきた草やキノコの情報が俺の頭の中に開示される。
中にはやっぱり、毒素が多少含まれている物もあった。
危ない危ない。
聖獣にはこの程度、関係ないんだろうけど。
「じゃあ、キノコ鍋でも作るね」
「やった! お鍋大好き!」
『鑑定』を発動したまま飛び跳ねるルーナを見ると、俺の頭に情報が開示される。
【 名 前 】 ルーナ=フレスベルク
【 種 族 】 白虎の聖獣
【 ランク 】 AAA
【 契約者 】 エノア・ウィシュタル
──あれ?
これってもしかして、野草以外も鑑定できる……?
さらにもう一つ、新しい情報が増えた。
ランクSはAの一つ上ではなく、AAAの上だったらしい。
つまり、Aランクのトレシアと俺のランクの開きは4つだ。
(じゃあ、もしかしてキャンプスキルで出した道具も鑑定できるのかな……)
俺は試しに手元に包丁を取り出して『鑑定』を使ってみた。
すると、俺の頭の中にズラズラと情報が流れ込む……
【神器級キャンプ用包丁「トゥルーカット」】
効果:
・調理した食材の効果を最大限に引き出す
・ステータス上昇効果 +5%
・食材の希少効果発現率 +2%
・毒性や有害成分を自動で無効化
概要:
この包丁は食材に宿る魔力や自然の力を的確に捉え、調理するたびに冒険者のステータスを向上させる効果を付与する。
包丁の刃は、あらゆる硬度の食材も驚くほどスムーズに切り裂き、その切り口から素材の鮮度が失われることなく、純粋な形で保存される。
さらに、包丁には毒や有害成分を無効化する力が宿っており、誤って危険な食材を使っても、料理が安全かつ美味に仕上がる。
(…………はい?)
あまりのチート能力に、俺の頭はフリーズした。
――――――――――――――
【業務連絡】
主人公無双が始まっていきます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます