第6話 追放した者たちの様子
エノアがキャンプで聖獣ルーナと親睦を深めている頃。
ウィシュタル家では――
新たに騎士候補となったトレシアが王の御前で頭を下げていた。
その横で、ウィシュタル家の当主であるアランが朗々と声を上げる。
「国王陛下! 我がウィシュタル家より"Aランクの魔剣士"が誕生いたしました!」
ヴァリス王国、王城の広間。
国王ローベンスは玉座に座ったままアランに賛辞を贈る。
「素晴らしい! すでに活躍は約束されたようなモノだな!」
「ハッ! ありがたきお言葉! 私も熱心に育てたかいがありました!」
噓である。
アランは正統後継者であるエノアにすら愛情を注いでいなかった。
トレシアはそんなこと百も承知だが、黙して頭を下げていた。
当主アランにローベンス国王は尋ねる。
「しかし、そなたの子は確かエノアという者ではなかったか?」
「エノアは……ダメでした。騎士になるという重圧に耐えられず、屋敷から逃げ出しました」
自分の家系から『キャンプ』などという外れスキルが出てしまったことを隠したいのだろう。
今後もウィシュタル家という貴族の地位を守るためにスキル判定の前にエノアが自ら逃げ出したことにされていた。
噓を吐き続けながら、アランは首を横に振る。
「全く、情けない限りです。あのような腰抜けの出来損ないにはもともと騎士など無理だったのでしょう」
「そうか、確かに騎士とは素質と勇気ある者にしか務まらん」
「エノアというウィシュタル家の恥晒しを輩出してしまったこと! トレシアの活躍をもって、見事汚名を返上してみせます!」
トレシアはローベンスに敬礼をする。
「はっ! 役立たずのエノアとは違い、私はヴァリス王国の騎士として必ずや期待に応えてみせます!」
トレシアの真っすぐな瞳を見て、ローベンスは頷く。
「期待している、お前なら"伝説の聖獣様"とも契約できよう」
玉座から立ち上がると、ローベンスは背後にある"白虎の像"に頭を下げる。
「我が国の偉大なる守護聖獣ルーナ=フレスベルク様とな」
アランとトレシアも白虎の像に深く頭を下げる。
「トレシア、聖獣様と契約を結んだ者は特別な存在だ。お前は落ちこぼれのエノアとは違う! 頼んだぞ」
「はいっ! 聖獣ルーナ様に認められ、私こそがこの国の英雄となってみせます!」
白虎の像は神々しく輝いていた。
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