第3話 バリデの森で初冒険
私達は、バリデの森に初冒険の依頼を達成するためにやって来た。緊張がピークに達してる……。
サムが、立ち止まった。真剣な表情だよ。その顔も、胸キュン!
「よし、バリデに到着だ。森の中には、色んな魔物が
「うん。えっと、森に入って直ぐの場所に、スライムが生息しだしたので退治する事。それと、その中に新種のスライムがいるので、その特性を調べてから退治する。だよね。二人に迷惑かけないように頑張る」
「そうだね。ロタノーラ、わかったかい?」
「ふーん。そうなんだ……。あ、あたいは、チェリルと会えればいいと思って――な、慣れてるから大丈夫だよ。ゴブリン
うわー。ロタノーラは、知らなかったのかぁ。目的は、スライムだよぉ。私の顔を
「ロタノーラも理解できたみたいだし。よし、じゃあ行こうか」
サムが森の中へと歩きだしたその時、私を物凄い絶望感が襲った。だから、思わず声を出して叫んじゃった。
「どうした!? チェリル!」
「私、忘れ物しちゃったの!」
「何を? パンツなら、あたいの履く? チェリルになら履いて欲しいな。よいしょっと……」
「は、履いてるもん! 杖よ。杖を家に置いてきちゃったの!」
私は、なんてドジなんだろう。よりにもよって、杖を忘れるなんて。これじゃあ、攻撃魔法が使えないよぉ。
「泣かなくてもいいんだよ。杖無しで出来ることは?」
「ごめんなさいサム……。回復魔法なら」
「よし、戦闘は僕達がやるから。チェリルは、身を守る行動をするんだ。大丈夫。皆で頑張れば、うまくいくさ」
怒られると思ったのに。サムの優しい言葉と微笑みで、元気が出てくるよぅ。
「ありがとう。サム」
「仲間だろ。あたりまえじゃないか」
「サム……」
「チェリル……」
パン! 痛っ。私のお尻を叩く音が響いた。それに驚いたのか、鳥達が羽ばたいて飛び立つ音とお尻の痛みが薔薇色の気持ちから覚まさせる。
「痛かったらごめんよチェリル。でもこれは、あたいからチェリルへの愛の
ロタノーラ……。私は、我に返り周りを確認する。すると、いつの間にか青い色をしたスライム達が森から出て来てたよ。危なかったなぁ。ロタノーラが教えてくれたんだね。感謝しなきゃ!
サムとロタノーラが私を守るべく前に出て戦闘態勢に入ってる。
「チェリルは、そこの大きな岩の後ろに隠れてて!」
「うん。了解。二人とも、傷つけられたら、直ぐに来て。回復呪文で治すからね!」
「ああ。たのむよ!」
*****
大きな岩陰に急いで隠れて、少し時間が経過した。スライム達との戦闘の様子を二人の無事を祈るような思いで
サム達の戦闘している反対側。ちょうど私の居る場所の少し前の草むらに何かの気配を感じる。なんなのよぉ。サム達の視界からは、見えないよね。
ガサガサ。音がしたかと思うと。
「きゃー!」
思わず、大声で叫んじゃった。だって、モスピンク色のスライムが突然に現れたんだもん。そのスライムの中には、大きな白い玉が見える。真珠みたい? どうしよう……。近づいて来るよ。大きな岩陰を見回すと、握りこぶしサイズの石ころを何個か発見。
「この石を投げつけるしか。えい!」
ボゴ。石がスライムに直撃。めり込む音がした。
「やった! えっ。何で?」
モスピンク色のスライムは、突然に大きさが倍以上になっていった。何で大きくなるの? 怒らして、
「こないで。えい!」
今度も石は、見事に命中した。しかし、先ほどとは違っていた。そのスライムは、石を跳ね返した。硬くなったの? まさか、あの真珠の魔力とかかなぁ……。
「チェリルどうした!? 叫んでいるのが聞こえたけど!」
「モスピンク色の真珠を埋め込んでるふにゃふにゃを私が刺激して、興奮させて、大きく硬くなって、私に迫ってくるの! 助けて!」
「それは大変だ! 乙女の危機だよ!」
私、混乱して、うまく説明できなかった。変な風に叫んじゃったかな? サムが勘違いしてるみたいだよぉ。
「何とか回避して! チェリル!」
「無理かもー!」
「あたいが行くよ!」
ロタノーラの元気な叫び声が聞こえたかと、思ったのも束の間だった。
あの硬いモスピンク色のスライムを爪で引き裂き、最後には、
そして、モスピンクのスライムの
「凄いよ。ロタノーラは、強いのね」
「あたい、チェリルの為に頑張ったよ。それより、さっきはごめんね。痛かった? なでなでしてあげる……」
ロタノーラは、あたしのお尻を手で
「あはは……。ロタノーラ、その位で平気だよ」
私達がそんな事をしている間にサムの方も、スライムを全て倒し終えたようだな。サムがやって来た。
「チェリルにロタノーラ。二人とも無事だったようだね」
「モスピンク色した大きく硬いのは、あたいの口で
「そ、そうなんだ。ははは」
ロタノーラの説明も勘違いしたのかなぁ? サムは、複雑な顔して
こうして、私は、初冒険の依頼を無事に完了することが出来たのでした。
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