アルバム
私の大叔母にあたる人が、母から送られてくる私の写真をこつこつとアルバムに集めておいてくれたのだという。
それをつい先日「あなたが持っていたほうがいい」と譲られたらしい祖母が、私にもぜひ見てほしいと家まで持ってきてくれた。
とても大きくて分厚いアルバムだった。
ほにゃほにゃの赤ちゃんの写真。
一緒に映る祖母の皺が今よりずっと少なくて、若々しくて、切なくなった。
アルバムの中の私が少しずつ成長していく。
この時の私は目がくりくりしていてとてもかわいかった。
写真と一緒に、ときどき、母のメールが貼り付けてある。
写真を厳選しきれなくてメールの容量が重くなっちゃった、とか、こんなことができるようになりました、こんなことが好きみたいです、みたいな、側から見ても愛にあふれたメールの数々。
ページを捲る。もう少し成長する。
真っ赤な服を着た、映画やドラマに出てきそうな、お人形みたいにかわいい子。
当時一歳から二歳。どこに連れて行ってもかわいいかわいいと絶賛されたらしい。
正直、客観的に見てもかわいい。と思う。
今の私の面影はなく、実年齢よりももう少し大人びて——といっても二歳から三歳くらいに——見え、常にどこか不安そうな顔をしているのもかえってかわいい。
この頃までは写真の枚数も多かった。
二歳になる。妹が生まれる。徐々に気難しい顔が増えていき、面影も出てくる。
もともと笑い方だけは今と似ていたけど、普段の顔立ちも似てきた。
かわいくない。
この頃はまだ、たびたび容姿を褒められたらしいけど、私は憎悪しか感じなかった。
気持ち悪くて、見ていると心臓のあたりがぞわぞわした。
同時に同情もした。
妹の写真ばかりが増えていって、私の写真が減っていき、そのままアルバムが終わる。
母はあまりアルバムを見たがらなかった。
一度か二度見たようだけど、私にはなにも言及せず、一緒に映っていた祖母のことだけ話した。
初めは愛してくれていましたか。
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