第33話 ようこそ鳳媛寮へ

マジで、今年になってから色々とおかしいんじゃないか・・・?


「アタシの服はそこの洗濯機にね。くれぐれも他の洗濯機に入れないように」


洗面室で三秋に服を押し付けられて謎のルールを念押しされる。


「開、工作室の掃除よろしく」


四乃原先輩に呼び出されて工作室と言う何故存在する部屋に来て床に散らかった木屑の掃除をする。


「鷹宮っちごめん!ジムの片付け手伝って!」


工作室の掃除を終えた後五十嵐に声をかけられ立派なジムのトレーニング道具の片付けを手伝った。


「ちょっと近くのスーパーで買ってきて。これリストとお金」


六倉に買い物リストとお金を押し付けられて近くのスーパーにダッシュしてシャンプーなど洗剤や大量のカップ麺と菓子パン、後アイスなどを買って鳳媛寮に戻る。


「お腹空いた。ごはん」


戻るないなや偶々か玄関にいた七星に催促され、買ってきたものを急いで整理して、お屋敷の厨房かって言うぐらい最新設備が揃った広いキッチンでとりあえず時間が無いので炒飯を作る。


「うん普通に美味しいよ!」

「まあまあね」

「おかわり」

「今回は特別に許すけど明日からもっとちゃんとしたのお願いね」

「アタシ、今ダイエット中だから自分で用意するからいい」

「先輩お風呂お願いしまーす!」


なんとも辛口な御言葉を頂き、二宮から風呂場の場所を教えてもらう。


「温泉かよ・・・」


風呂場はバカデカく10人ぐらい同時に入れるぐらい広く。シャワーは3つあり2人ぐらい入れる小さい風呂と10人ぐらい入れる大きい風呂があり基本的に小さい風呂の方を沸かすらしい。

じゃあなんでデカい方の風呂があるのかツッコミたいが言ったところでそういうもんと言う答えしか返ってこないだろう。


「なんでこんな立派な屋敷なのに掃除は人力なんだよ」


俺は洗剤とブラシを持って風呂を掃除してお湯を沸かす。


「って!さりげなく日常感漂わせてたけど!俺なんでこんなところに連れてかれてお前らの世話してんの!?」


疲れてこの屋敷のリビングに行って、少し落ち着いて今の現状を思い出した。


「どうしたのよ急にそんな大声出して」

「そうですよ先輩」


耳を塞いで文句を言ってくる三秋とニコニコとこっちを見る二宮。


「大声出すに決まってんだろ!逆になんでお前らは俺がここにいるのをそんなに当たり前のように受け入れたんだよ!?」

「もしかして聞いてないの?」

「?なんのこと「いったぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」


その時俺の言葉を遮って風呂場の方から五十嵐の途轍もない大きな叫び声が響いた。


「誰かーー!!誰か保冷剤か氷!!!」

「私氷持ってきますから三秋さんは五十嵐さんの救助をお願いしても?」

「仕方ないわね」


六倉と三秋が五十嵐の救出に向かった。

リビングには俺と一条先輩、それと二宮の3人だけ。


「それでなのん話でしたっけ?」

「俺がここに連れて来られた話だよ!」

「そうでしたそうでした♪じゃあ張本人の一条先輩に聞きましょうー!一条せんぱ〜い、please explain this situation ♪」

「あら、説明してなかったかしら?」


優雅に本を読んでいた一条先輩が本を閉じて微笑みながらそう言った。

その感じ、絶対気づいてただろ。


「そうね、なら説明するわ」


一条先輩は椅子から立たず脚を組んで話し始める。


「結論から言うけど鷹宮君、君には今日からこの鳳媛寮で私達と一緒に暮らしてもらうわ」

「・・・・・・は?・・・はぁ!?」

「ワォ、テンプレリアクショングッチョブです先輩!」

「そういうのいいから!」


二宮が親指を立てウィンクしてくだらないことを言ってくる。


「てか、どういうことですか!なんで俺がここで暮らすことに!?そもそもアンタら今まで一緒住んでたのかよ!?」

「分かったから少しは落ち着きなさい。二宮さん鷹宮君に紅茶入れてあげてくれるかしら?」

「もう人使いが荒い先輩たちですね〜」


世話がやけますね〜と言いたそうな態度で余っていたカップに紅茶を注ぎ俺にカップを渡す二宮。

お前らにだけは言われたくないわ。


「まずその紅茶を飲んで落ち着きなさい」


俺は紅茶を一口飲む。


「落ち着いたかしら?」

「本気で言ってます?」


紅茶一口飲んで落ち着けるならこんな戸惑わないわ。


「私は紅茶を飲むと気分が落ち着くの。まるでその葉がいた場所で飲んでる気分になって頭がスッキリするの」

「勝手に俺をあなたと同じだと解釈しないで下さい」

「同じになった方が得よ?」

「その心は?」

「私と同じになれるから」


何その世界の真理みたいに紅茶飲みながら自信満々に言ったその痛い回答は。


「とにかくことの経緯を教えて下さい」


一芝居挟んで何故か冷静さが戻ってきた。


「そうねまずはこの鳳媛寮について話しましょうか。この鳳媛寮はちょうど私たちが学園で七姫と呼ばれはじめて少し経ったぐらいにうちの会社が建てたの」


なるほど、だから館内も綺麗で設備も最新・・・え"、建てた?


「元々私たちの全員ここが地元じゃなかったから一人暮らしや実家通いの人しかいなかったの」

「それでこの寮を建ててみんなで共同生活って話になったと?一体そんなことの為に何億使ったんだよ?」

「そうねざっと二十数億ぐらいかしら?」

「ゲーム買う感覚で洋館建てるとか流石は財閥のお嬢様」

「ええ歴としたお嬢様よ」

「皮肉ですよ」

「続きだけどそれから私たち7人はここで共同生活を始めたわけ」

「そこでどう俺がここに住むことにつながるんですか?」

「そう。私たちが生活し始めた頃からお世話役の話が出たの。で、ちょうどこの寮のお手伝いも雇おうと思ってたからちょうどいいと思って兼任してもらえないか理事長と話したのよ」

「で結果は?」

「許しが出たは」


それを聞いて開は頭を抱えた。

そ~ゆ~ことは最初から説明しろよ~~~!!!


「そして君は見事に七姫試練をクリアしたわ。これからよろしくね」


一条先輩は笑顔で歓迎の挨拶をしてくれた。

これがあの試練のクリア報酬かよ。できるなら現ナマがよかった……。


「ちょっと五十嵐さん!そっちに行っちゃ!」

「ねえまだコーヒー牛乳ってまだあった…」

「あ……」


タオル一枚体に巻いた五十嵐と目が合って固まる五十嵐と開。


「すみません。五十嵐さんを見て……」


後から来た六倉がタオル姿の五十嵐を見る開を見て一瞬固まり、すぐに顔を赤くする。そして五十嵐を止めていた三秋がそれを見て溜め息を吐いた。


「何見てんの変態!!」

「グヘッ!?」


六倉は持っていたタオルで包んだ保冷剤を開に向けて投げ飛ばし。顔面にクリティカルヒットした開は倒れ込む。


「大丈夫ですか先輩?」

「これから楽しくなりそうね」


こんな生活が1年続くのか?やり切るって決め込んだのちょっと早すぎた?




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