第25話 社会人バスケ2
バックシュートを放つ。
ボードにぶつけ、リングに勢い良く叩き込まれていく。
周りからは「おお!」「すごいなぁ!」「あのクイックは聞いていた以上だな」
と、聞こえてくる。
僕は何も聞いてないよ?とか思いながらもディフェンスをする。
先ほどは前に出過ぎたせいで失敗したので今度は逆に引いて相手にシュートを打たせない立ち回りで守ろうと思う。
後手にはなってしまうが即席のチームでディフェンスの連携は拙いと分かってしまったので、基本に戻る。
圧をかけるのをやめると駿君が少しホッとしたような顔をした。
なるほど、葉月が言ってた伸び悩んでるってのは駿君は前世の僕も悩んでた問題にガードとしてぶち当たったんだろーな。
分かるよ。バスケット特有の小さいヤツは全員ガード問題ね。
本当は違うポジションやりたいけど身長のせいでやらせてもらえないからね。
駿君は安定してるから余計にね。
前世では僕も嫌々ガードもやっていたし。
大会で参加してる全チームの中で1番3ポイントの確率が良かったって表彰されてもチームではガードがいないからって言って勝手にガードさせられてたし。
それも分かるよ。スリー入ってもガードもできるじゃんって。
てゆーか、小さいだけでガード適正有ると思ってる感じがやばくね。
あ、解釈が違うのか。小さいからガードしかできねーだろが正解か。
ガードやって、たまにスリー打っとけよってか。
だが答えはNO。小さいけど僕は多分、フォワードの方が適正があったと思う。
がっつりガードの仕事するよりも2番、3番の方が向いてたかな。
現にシューターとして功績を残しているし。
1対1になれば普通に勝負しにいくし。
そして逆にそこまで視野が広い訳では無かったしなぁ。
ガードが向いてないと言うか、むしろガードが向いてる人ってそのチームで1番上手い人がやるべきなんじゃないかとすら思えてくる。
それくらい重要なポジションだしね。
ガードがボール運びができないとそもそもがゲームにならないからね。
ボール運びをミスれば、それだけで最悪相手に1ゴール取られることになるからね。
ボール運びが安定してできる、がマストでその後にゲームの組み立てをやる訳で。
前世ではドリブルがそこまで上手くなくて、その分シュートが入るように練習した。
シュートが決まればマークマンは距離を詰めなくてはならなくて、ドリブルも抜ける様になるって考えてたのでガードの考え方ではなかったのかな。
ボール運び時はシュートフェイクはほとんど意味ないし。
けど、今世での僕のプレイは違うよ。
ボールハンドリングに重きを置き、ドリブルの練習もひたすらやってきた。
ここ3年くらいに体幹を鍛えてきた1番の理由はボール運び時にディフェンスのプレッシャーに当たり負けしないため。
ディフェンスが接触した時、バスケは基本的にはディフェンスファールなんだが、接触する一瞬で仮にファンブルをしてしまうと審判はファールを取ってくれないことがある。
要はオフェンスのミスだと思われる訳だ。
体幹を鍛えていれば、強く当たられた場合でもバランスを崩さないでいられてボールキープが容易になる。
ガードはどんな場面でもボールを取られず、さらに抜き去るためには0から100にスピードを一瞬で変えても常にブレない体の軸、幾つものフェイクをかましても崩れない体勢、さらに手元を見ずに常に周りを見れる安定したボールコントロールが必要である。
試合の終盤にはオールコートで当たられて、1対1や1対2の場面も多々出てくるだろう。
そんな場面でも打開ができるように今言ったことが重要になってくる。
おっと、ディフェンスをしながら考えこんでしまったな。
とりあえず、今思ったことはあとで駿君に言ってみてもいいか。
ゲームの状況は僕が違うことを考えている(一様は動いている)うちに相手がミドルシュート打とうとしてるとこだった。葉月がシュートのチェックに入りプレッシャーをかける。
だが、相手は冷静にミドルシュートを放つ。
が、ボールはリングに当たり、優しく跳ね返る。
「リバウンド!」
中のディフェンス陣は崩れていない。
ディフェンス陣がボックスアウト(スクリーンアウト)を行い、オフェンスを抑える。
現状を把握した僕は瞬時に声を上げる。
「葉月!走れ!」
僕が指示を出すと同時に味方がリバウンドを取る。
葉月は言われた通りにスタートを切る。
僕はサイドに開き、パスを要求する。
味方はリバウンドを取ったと同時に僕にパスをくれる。
僕がパスを貰った瞬間に相手が僕を抑えにくる。
ここで抑えられると速攻ができない。
一瞬顔を上げ、相手にパスもある事も匂わせる。
次の瞬間、右にドリブルをし、一気に抜き去ろうとした。が、相手も体をぶつけてきて抜かせない。
そこから、さらに体勢を低く、強くドリブルをつく。
相手の脇にねじ込み、怯んだ拍子に突破する。
あとは前を走る葉月にパスを流し込む。
葉月のランニングシュートが決まる。
「ナイスランだよ!葉月」
「へへっ!マモが走れって言ってくれた時はほとんどパスしてくれるから走り甲斐があるんだー。あと私にはパスも優しいし」
「私(葉月)にだけではなく、僕はみんなに優しいパスを心がけてるよ!」
「む〜」
「良いパスも相手が取れなきゃ意味ないしね」
「それはそうだけど…む〜」
「ふ、2人ともナイスだよ」
「そ、そうね、ナイスー」
そんな感じでゲームを何回かして有意義な時間を過ごしていると体育館に入ってくる人物が目に入った。
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