第23話 夜もバスケ
7時ぴったり。
東スポーツセンターに到着しました。
ボールをつく音が聞こえる。
うん!早くバスケしたい!(さっきしてたけど)
受付の人に挨拶して体育館に向かう。
中に入るとゴールが下がっており、オールコートで試合ができるようだ。
両サイドのゴールでそれぞれでシューティングをしていてこっちには気づいていない。
「こんばんわ!今日はよろしくお願いします!」
大きな声で挨拶をして準備を始める。
手持ちのバッシュを履いて、さっきバスケしてたけど、改めてアップを開始する。
いつも通りの入念な動的ストレッチ。
ストレッチをしていると声がかかる。
「やほー、真守くん久しぶり〜」
ん?と振り向くと駿君と葉月と知らないおじさんがいた。
「駿君!久しぶりですね!今日はよろしくお願いします」
と軽く会釈をすると
「こんばんわ。君が噂の真守君かい?葉月がいつも世話になってるそうだね。今日はよろしくね」
おっと、こちらが駿君と葉月のお父上ですな。
「こちらこそ、このような所にお誘いいただいて感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします」
「そ、そんなかしこまらないでよ。楽しくやろうよ。それとも僕がいては落ち着かないかな。それじゃ、駿!葉月!お父さんは向こうでおじさん達とアップしてるから真守君は任せるよ」
「わかった」
「わかったわよ」
あの、気を使わせてなんかすいません。
「なんか、ごめんな。おじさんに気を使わせちゃったみたいだね」
「平気平気!そんなことよりバスケやろーよ!」
「おう!てか、今日少しジャンプシュートの練習もさせてもらったよ!楽しかったぁ」
「なら、そのジャンプシュートを見せてよー」
「いいよ。度肝を抜くなよ。パスちょうだい」
駿君がパスを出してくれる。
キャッチをした瞬間、気づく。
このボール高校生用のボールじゃん。
まぁいいか。
心に刻まれた昔の感覚を思い出す。
空中でキャッチして着地と同時にシュートの体勢に移行する。
膝を使い、ジャンプをし、空中で一瞬、時間が止まる。
そのタイミングでシュートを放つ。
腕の返し、手首の返し、指先のかかり具合。
ドンピシャ。
入った。
これが中学生用のボールであればだけどw
放ったボールはリングの手前に当たり、ゴンっと音を立てて弾かれた。
「マモ、外したけどシュートフォーム綺麗〜。外したけど」
「外した2回も言うな!いくら僕でもまだ高校生用のボールには慣れてないよ」
「え!?高校生用のボール?駿兄!ボール間違えてるよ!」
「ごめん、わざと僕のボールで試してみた。真守なら平気かと思って」
「平気ではあるけど僕まだ筋力無いから届かないね。シュートフォーム崩せば届くようにはなるけど、シュートの確率が落ちちゃうんだよなぁ」
「真守でも完璧じゃないんだね」
「僕は完璧なんかじゃないよ。だから練習するんだし。それにむしろ完璧じゃないからこそ練習して上手くなろうと努力するんだしね。自分に足りないものを見つけて、修正。自分の得意なものをさらに伸ばす。
今よりも成長していくって楽しいじゃんね」
「うん!うん!僕も。もっと練習して上手くなる!」
「私も!駿兄にもマモにも負けないくらい練習する!」
「良いね!みんなで上手くなろうよ」
「駿、葉月。青春してるとこ悪いけどそろそろゲームでもしないかい?」
「う、うん」
「やだ!聞いてたの?分かったからあっち行ってよ!」
「え?今からゲームするの?やった!」
「大人同士でチーム分けるからそっちはそっちで分けてくれな」
「はーい」
と言う事でチーム分けのグーパーをやる。
結果は駿君1人に対し、僕と葉月でチームが決まった。
これにより大人4人のチームと駿君が組み、大人3人のチームが僕と葉月のチームと組む事になった。
大人たちが近づいてきて
「それじゃ、よろしくね〜。えっと…真守くんだっけ?ガードは任せていいんだよね?」
「はい!頑張ります!ディフェンスはどーしますか?」
「いつもはゾーン組むんだけど…真守くんはできないよね?」
「いえ。ゾーンにもよりますけど、2-3くらいならできますよ」
「へー!じゃあお言葉に甘えて2-3でいこうか。うちら3人で後ろ守るから前は2人でよろしくね」
「はい!葉月、右をお願いしていい?僕、左やりたい」
「え?いいけど。マモ、ゾーンなんかやった時あるの?」
「へ?な、ないけど見よう見真似で頑張るよ」
「あっそう。ならお願いね。私も右の方がやりやすいし」
「うん。ならいこうか」
前世以来の小学生ルールではなく、公式(練習ではあるけど)のルールでのゲームに胸が熱くなってくるのが分かる。
さぁ楽しもう!
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