第12話  練習試合2

ジャンプボールで試合が始まる。

相手チームのジャンパーがボールを弾く。

相手ガードがボールを手にする。

その瞬間、ゴール下に走りこんでいた人に矢のようなパスを出す。

あっという間に1ゴール決められる。


しょ、小学生で今のプレイができるの?

これは試合に出たら手加減なんて言ってられないな。


エンドから樹君が大地君へパスを出す。

相手チームはオールコートであたってくる。

相手チームは初端(しょっぱな)から、ガチらしい。

大地君がキープする。だが抜けない。樹君はガッチリマークされていて動けていない。

あ、やばい。ディフェンスの圧力におされて、ライン側(ぎわ)までよせられちゃってる。

まだ、キープはしてるけどパスがだせない。

大地君がキツくなってボールを持ってしまった。

そのまま、なす術もなく5秒が過ぎ、バイオレーションとなってしまった。


相手ボールでスタートする。

相手G(ガード)の人がボールをもらう。

相手Gが逆サイドの味方に合図をする。

相手Gのすぐ近くでスクリーン(壁)を作る。

相手Gはスクリーンを上手く使い、ドリブルで突破をはかる。

相手Gをフリーにしないようにマークを入れ替えた瞬間、スクリナーの人がターンをする。

待ってましたと言わんばかりにポンとパスをだす。

中でフリーになってそのまま決められてしまった。


おいおい!小学生がピック&ロール使えるのかよ。

レベル高いな。

最初のパスといい、今のピック&ロールといい、キツイ試合になりそうだ。


エンドから大地君から樹君にパスをだす。

相変わらず厳しいディフェンスに樹君はドリブルすらもつけないでいる。

痺れをきらせて、蓮君がボールを貰いにくる。

樹君から蓮君にパスをするが相手のプレッシャーによってやまなりのパスになってしまい、蓮君のディフェンダーに簡単にカットされてしまう。

焦った蓮君がボールを取り返そうとしてぶつかってしまった。

ピィーと笛が鳴り、「白5番プッシング!」と告げられ、ファールをしてしまい、相手ボールでスタートする。

湊君がついてる相手のセンターがめんを取る。

「へい!」とパスを求める仕草をして簡単にボールが入ってしまう。

湊君がついてるが、どんどん押し込まれてゴール下まで行かれてしまい、ゴール下でターンをしてシュートにいく。

湊君が苦し紛れにシュートブロックにいき、相手の腕をはたいてしまい、ファールしてしまうがボールはゴールに吸い込まれていった…。

「バスケットカウント!ワンスロー!」

フリースローも決められて、いきなり怒涛の7得点を決められてしまった。

この後もうちのチームはなす術もなく、第1クォーターも終わってみれば19対4と大差をつけられてしまっていた。


第2クォーターに入る時、コーチが交代を告げる。

「次のクォーターから、尊(たける)と陸(りく)と駿(しゅん)がでるぞ!樹と湊と蓮はいったんベンチに入ってくれ。また、出るかもしれないからな!」

「はい!」

「真守と龍也は第3クォーターで出すから準備していろ」

お!第3クォーターからか。了解です。

と、うなづき返す。

「よし、行って来い!マークマンの確認はしっかりしろよ」

「あのでかいやつは大和マークな」

「分かったよ」

「勝つぞ!」

「おう!」


第1クォーターは相手チームからの攻撃だったので、第2クォーターはこちらからの攻撃になる。

大地君から駿君にパスをする。

相手チームは最初と同様にオールコートであたってくる。

駿君はディフェンスが前に出てきたタイミングをつき、一気に抜いていく。

相手チームは虚をつかれ、こちらの速攻の形になる。

3対2の状況である。

尊君についてたマークマンが駿君にカバーでつく。

尊君がノーマークなった瞬間、ノールックでパスをだす。

尊君が難なくゴール下でシュートを決める。

第2クォーターはうちが先制点をあげた。

「ナイスパス!ナイスシュート!」

第2クォーターの立ち上がりを決められて、少しは勢いつくんじゃないかな。

駿君のこのプレイの功績は大きいと思う。


相手チームがゆっくりと攻めてくる。

あのでかいセンターにボールを集めにくるようだ。

相手Gが45°にいる味方にパスをだす。

さっきと一緒でローポストでめんを取る。

大和君が半分前に出て、めんの半分を潰す。

ただ、やっぱり相手チームは全員上手い。

パスをピンポイントで出せるので大和君がいる反対側の呼んでいる手にピンポイントで合わせる。

相手センターがパスをもらったと同時に大和君のいる方とは逆にターンをしてゴール下にドリブルで近づく。

おお!尊君がちゃんとヘルプで動いていた。

ゴール下で捕まえて相手センターをダブルチームで潰しにいく。

だが、相手のセンターはダブルチームをものともせず、構わずターンしてシュートにいく。

ダブルチームをものともせず、シュートを決める。

相手も強い。

「ドンマイ!良いディフェンスしてるよ!」


駿君がボール運びをすることで相手はさっきみたいにボールを奪えない。

駿君が抜きにいく。相手はサイドステップで頑張る。

サイドステップだけで駿君を抑えられるとは思えない。

ディフェンスはその都度、相手に合わせて、サイドステップとクロスステップを使い分けて、相手をおさえるのが基本である。

僕の前世での思考はミニバスとかなんなら、中学生にもサイドステップを強要して、間違ったディフェンスを教えていた感じだけど、強豪も昔の考え方が染み付いていて、サイドステップ天国が染み付いている。

当然、サイドステップだけで、駿君についてこれるはずもなく、ズバッと抜かれる。

「もっと、しっかりサイドステップしろー!」

相手チームの監督らしき人が叫ぶ。

そうか、相手チームは古い考え方をしてるコーチがいるんだね。

NBA見た方がいんじゃね?って思ったけど、さすがにそれは言わない。


駿君が相手ディフェンダーを抜いて、自身がフリーになると、さっきと一緒で3対2の状況になる。

だが、さっきと違ってディフェンダーはカバーに来ないので駿君はそのままシュートに行く。

その瞬間、横から駿君のシュートを叩きにきたので落ち着いて、はたいた側にパスを優しく送る。

パスをうけとった味方がフリーでシュートを放ち、入る。


第2クォーターが終わる。

第2クォーターは一進一退で点差を埋められず41対18で前半戦を終える。

これは絶対駿君の功績が大きい。

駿君がいなかったら点差はもっと開いていただろう。


5分の休憩の中、僕はアップとしてツーボールドリブルを集中してやった。

どこからともなく、「あいつ、小さいのにすごくね?」とか、「え?小さいのにでるつもりなの?」的なことが聞こえてくる。

僕は構わず、集中して行う。


「集合!第3クォーターは龍也と真守、おまちどうさま!交代な。大地と大和がいったん引っ込んでくれ。マークマンの確認は引き続きしっかりな!よろしく!」


「待ちくたびれましたよ」


某アニメの選手同様のセリフを吐く。

龍也が、?の顔をしつつ僕に近寄ってくる。

「この点差、どうするんだ?」

と、直球で聞いてくるので、「大丈夫!龍也は僕がボール持ったら走りこんでくれればなんとかなるよ。ボール運びは僕と駿君でどうにかなるから。陸君にも走ってもらうから」

相手チームは第1クォーターと第2クォーターを同じメンバーでやっているので、いったんベンチに全員引っ込めなくてはいかないから、第3クォーターで点差を縮めるチャンスのはず。

ここで点差を縮められなければキツイ。

そんなことを考えてると第3クォーターの開始時間が迫る。


さぁ、後半戦が始まる。

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