第8話 ミニバス
どーも、僕です。
本日は晴天…いや、あいにくの雨です。
ミニバス体験をしてからちょうど一週間が経過して、まさに今日!本日からミニバスを始めることになりました。
月曜日と水曜日と金曜日にやることになりました。
今日からは2時間、体育館でバスケができると言うのは今の僕には貴重な時間なので大事にしていきたいです。
ミニバスでは半分の時間をゲーム(試合)に使うと言うことなのでシュートやディフェンス、ゲーム感覚などを養えればいいかなと思っている。
何よりゲームは楽しいしね。
まぁ、でも中学に入るまではレイアップ系のシュートしかしないようにするのでそっちの方を時間をかけてものにしていきたい。
ジャンプシュートや前世で得意だったスリーポイントシュートはリングの高さが低い小学校で練習してしまうと、いざ中学でやった時、感覚が狂ってしまうんじゃないかなと思って。
だったら、最初から練習しないでその分、他のことに時間を費やせればなと。
レイアップ系のシュートはフローターシュートとスクープショットを極めつつ、使い分けができるようになるまでにしたい。
SDDL理論と言う段階を追って練習する方法があるんだけど、その手順に則(のっと)って練習していきたい。
Sはshadow。影、つまりはイメージしながら正確にシュートの型を身につける。
Dはdummy。偽装。イメージが固まったら今度はゴール前にディフェンスを置いて感覚を磨いていく。
次のDはDecision make。要はオフェンスに選択肢を与えて、判断力を上げる練習。
速攻や1対1の場面でシュートが届く範囲までいったのに、相手が引いて守っていればスクープショット。
逆に相手が抑えに来たら、フローターシュート。みたいな形で判断力や反応速度を鍛えて実戦に備える。
最後のLはLive。つまりは実戦。試合で使えなければ意味がないので実戦形式で練習していく。
SDDL理論はどの練習でも使える理論なので積極的に導入していきたい。
ピンポーン。
そうこうしているうちに龍也が到着した。
「こんにちは〜」
「こんにちは、龍也。それじゃ行こうか」
雨が降っているので濡れないように傘をさして学校に向かった。
体育館に着くと、いつものように中川コーチがモップ掛けをしており他の子はバッシュに履き替えていたり、ゴールに向かってシュートをしたりしていた。
「こんにちは〜」
中川コーチや他の子たちにも挨拶をし、バッシュに履き替える。
ニューバッシュはやはり嬉しい。
ん?なんだ?あのおじさん達、こっち見てないか?
怪しすぎるんですけど。
あーゆー怪しい人は無視に限るな。
「集合!」
その掛け声と共に散り散りだったみんなが一斉に集まる。
「今日から、正式にチームのメンバーになる龍也と真守だ!みんな仲良くしてやってくれなー!」
「はい!」
「それじゃ、いつも通り練習を始めてくれ」
「はい!それじゃランニングからやるよ〜」
この前の練習メニューをこなし、練習の合間の小休止になり水分を補給する。
「よーし、それではチームを2つに分けて5対5やるぞー」
5対5?おー!ゲームかぁ、懐かしいなぁ。楽しみだね〜。
チーム分けはどーなるんだろ?
こっちのチームは…この人達か。龍也は向こうに行っちゃったな。
「こんちわ。真守君、俺は湊(みなと)。小3でこのチームだと1番、歳が上になるね。んで、こっちの2人が樹(いつき)と尊(たける)。2人とも小学2年生だよ。んで、この小さい…まぁ真守君の方が小さいけど、駿(しゅん)が小学1年生だよ。メンバーはそんな感じで、真守君は始めてだから無理しなくていいからね」
「分かりました。よろしくお願いします」
「うん。それじゃ、行こうか」
両チームがセンターラインに並ぼうとした時、後ろから声がかかる。
「ぼ、僕は駿。真守は危なくなったらすぐに僕にボール渡して」
「えっと、駿君ですね。分かりました」
「あと、ディフェンスはマンツーマンだから、あの龍也って子についてね」
「はい」
僕のマークマンは龍也か。
ジャンプボールで試合が始まる。
先にボールを手にしたのは相手チームだ。
相手のガードらしき人が縦に大きくボールを放る。
反応したのは龍也だ。
やっべ!僕のミスだ!
龍也はパスをキャッチしてそのままレイアップシュートで点を決める。
「ナイスシュート!」
「ありがとうございます」
やらかした。次はもっと集中しないと。
「ドンマイ」
駿君が声をかけてくれる。
ボールをもらい、駿君にボールを返す。
よし、やられたらやりかえす。
ボールをもらおうとVカットで一瞬マークを外す。
あれ?ボールがこない、と思ったら駿君がドリブルで抜いてノーマークのままシュートを決めた。
上手いな、駿君。
ドリブルで抜いたあともヘルプがきたらすぐにパスをさばけるように少しスピードを落としていたし。
「ナイスシュートです」
「ありがとう」
よし、ディフェンスだ。
相手にまた速攻をだされないために警戒しつつ、龍也につく。
龍也が嫌そうな顔をする。
そう。龍也はパスがもらえないのだ。
パスを貰う動きをまだ教えてもらってないから仕方ないのだけど。
「龍也。さっき僕がやった、マークを一瞬外した動きをやってみて」
そうか!って顔した龍也が中に入ってくる。
僕はそれをさせまいと抑え込む。
動きがゼロになる。
そのあと、素早くパスをもらいに外に出る。
僕はドライブを警戒しながら前にでる。
パスをもらった龍也と対峙する。
龍也はシュートフェイクをし、ロークイックからトリガーステップで逆に抜いてこようとした。
僕は抜かれないことだけを意識して抜きに来た龍也についていく。
左手がまだおぼつかない龍也が無理に抜きに来たので逆にゴールの裏に追い込んでやった。
ゴールの裏で何もできない龍也がボールを持って3秒になり、オーバータイムでマイボールになる。
今の攻防は僕の勝ちだ。
「ナイスディフェンス!」
「あざす」
今ので気を良くした僕は駿君からボールを貰い、ボールを運ぶ。
龍也がマークについてくる。
フロントチェンジを2回つき、右に抜こうとする。
龍也は抜かれまいと反応してついてきたので、すかさず、ビハインドザバックチェンジで進行方向を逆にする。
体制を崩す龍也。
そのまま龍也を抜き、置き去りする。
4対3の状況。チャンスではあるものの、無理をする場面でもない。
どうするか一瞬悩んだが、味方の1人が動いてくれた。
外に大きく開いてくれたのでパスをだす。
そのまま、僕は前に走り、パス&ランの形を作る。
パスを受け取った味方が走りこんでいる僕にパスを返す。
そのままレイアップで得点をきめた。
うーん、気持ちいい!
「ナイスシュート!切り替えていこう!ディフェンスね」
「はい!」
ディフェンスに気持ちを切り替えて、龍也にしつこくマークにつく。
ディナイディフェンスと呼ばれるものでパサーとマークする相手の間に入り、マークする相手にパスがもらえないようにするディフェンスだ。
裏にパスを出してもらう以外にないので初見の龍也はあたふたしている。
相手のガードの人は龍也と反対サイドにいる人にパスをしてしまった。
悔しそうにしている龍也。
これも試練なのだよと心の中でつぶやくおじさんな僕なのでした。
そんなことを考えているうちに反対サイドにいる人がドライブからのシュートをして外していました。
しかし、相手の方のローポストにはっていた人がリバウンドをとってそのままシュートを決める。
うーん、これはドンマイ。
エンドからのボールを駿君にパスをだす。
素早く駿君がドリブルで上がる。
相手の攻守の切り替えが若干遅く、そこを駿君がつく。
よく見てるなぁ。
相手チームはあわてて立て直す。
逆に駿君はあわてない。
僕とは反対サイドの樹君にパスをまわす。
ローポストで張っていた、湊君が外に出る。
樹君が湊君にパスをだし、湊君がいたローポストにスペースができたため、樹君がそこに走り出す。
樹君のマークマンもパスを出させないように一生懸命にディフェンスをする。
惜しい、パスはもらえなかった樹君だが、樹君が逆サイドにきれた事で膨大なスペースができた。
ボールを持っている湊君の1対1だ。
シュートフェイクを軽くして、ジャブステップ右に一回フェイク。
そこから、左に行くと見せかけて右にドリブルをする。
相手ディフェンダーは半身抜かれるが必死についていく。
チャンス!龍也はボールのほうを見ていて僕への警戒を怠っている。
ボールウォッチャーってやつね。
龍也に気づかれないように合わせに行く。
ちょうど、ハイポスト辺りに向かう。
「へい、パス!」
湊君が僕に気づきパスをだしてくれる。
ノーマークの僕はハイポからドリブルでゴールに向かいレイアップ決める。
ピィー!
「終了!」
え?もう終わり?
「次はまたチームを変えてやるから少し休憩な。ちゃんと水分取ってくれよー」
湊君が近づいてくる。
「そっか。真守は知らなかったのか。ゲームは先に6点先取した方の勝ち。6点取ったらそのままゲーム終了。次のゲームはメンバー入れ替えてやる。そんな悲しい顔するなよ。時間までやるから、まだまだできるよw」
「よっしゃー!」
よかったぁ、まだまだ物足りないからもっとゲームしたかったし。
そのあとも時間までゲームをやり続けてその日の練習は終了した。
帰り道に龍也が話しかけてきた。
「真守、僕、火曜と木曜も水泳の習い事始めることになったから。ごめんな」
「何を謝る必要があるんだよ。水泳は良いよ!心肺機能が上がるからバテにくくなるし。体幹も鍛えられるからバランス感覚は向上するし、体がブレなくなる。ブレないと言うことはシュートの確率も上がるし、ドリブルもミスりにくくなる。良いことづくめだな…僕もやろうかな?」
「え?やるの?」
「うそうそ!やらんよ。僕は生涯バスケ一筋に生きていくって決めたんだ。浮気はせんよ」
「ま、まぁ。そう言うことだから平日は2人でバスケできなくなるってことを言いたかったわけで」
「なんだ、そんなことか。週末できるし、ミニバスでもできるし2人でやれる機会はいくらでもあるよ。もー少しで夏休みだしね」
「そうだ!夏休みだ!真守はどっか遊びに行くの?」
「うん!バスケしに公園へw」
「相変わらずか(苦笑)それじゃ、僕こっちだから。また今度ね、バイバイ!」
「おう、またなー」
龍也の後ろ姿を見て、ふと思う。
そっか、明日は僕1人で練習するのか。
久々に1人だと思うとなんだか寂しい気持ちも出てくるかもなぁ…
でも、やりたいことはまだまだいっぱいあるんだよなぁ。
さぁ、明日も頑張るために今日も早く寝よう。
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