第27話 秘宝の魔石を求めて
セルティスたちはビシレットダンジョンに入る。
少し暗めだ。
警戒しながら歩く。
足元も完全には見えていない。
注意して歩かないと危険だ。
「あっ……」
ホークが何かに躓いた。
その勢いでセルティスを背後から抱きしめる形となってしまった。
「きゃっ……な……なんだ……」
セルティスは可愛らしい声を出した。
セルティスからすれば、突然、背後から抱きしめられたのだから、いつもと違う声が出てしまうのは当然だ。
ホークは大慌てで、セルティスから離れる。
剣士として鍛え上げられているはずだが、意外と華奢な身体だ。
「悪かった……あのさ、おまえ……ちゃんと食べてるか?」
ホークはあまりの華奢な身体に驚き、質問する。セルティスは目を丸くした。
「えっ?」
何故、そんなことを言うのだろうと、セルティスは疑問に思った。
ホークは言いづらそうにしている。
「うーん、意外と……華奢だったから……」
セルティスは沈黙した。
そんなに華奢なのか。ホークはセルティスの機嫌を覗っている。
女の子に言うのはダメなのだろうと思って、反省した。
「……ちゃんと食べてるよ」
セルティスは少し考えてから、答えた。
ホークは、なんだかホッとした。
怒ってもいないし、きちんと食べているようだから。
セルティスはそんなホークを見て不思議そうだ。
「心配してくれるのか?」
ホークは照れて頭を掻く。
「……まぁ……仲間だし……」
本当は心配しているのだが、素直に言えずに誤魔化した。
「ありがとう、ホーク」
セルティスは笑顔を見せた。
「おぅ……」
ホークはまた照れた。
顔が赤くなっていることを見られたくなくて顔を伏せた。
アランはため息をつく。
「素直に言えばいいのに……」
レビーは苦笑いしている。
「流石に、この状況では言えないだろうな」
セルティスは照れているホークを見て、クスッと笑った。
「なんだよ……セルティスまで」
ホークはムッとした顔を見せる。
しかし、まだ顔は赤い。
セルティスはごめんと手で合図する。
しばらく歩いた。
ただ、歩く音だけが聞こえてくる。
あまりに何もなさすぎることが、逆に不気味だ。
ギィーーーーー
変な音がする。
「今の音はなんだ?」
レビーは辺りを見回す。
虎型モンスターがレビーの背後から爪を引っ掻く。
レビーは素早くジャンプし、かわした。
虎型モンスターは全部で10匹。
一気に片付けようと、アランが拳を振り上げた。
虎型モンスターはアランの拳をかわすと、爪で
アランは咄嗟に虎型モンスターから距離を置いたものの、かなり深く抉られた。
「大丈夫か?」
セルティスはアランのほうへ駆け寄る。
虎型モンスターはセルティスにも鋭い爪を向けた。
セルティスはラグナロクで爪を受け止めた。
さらに別の虎型モンスターがセルティスを狙う。
ホークはダガーを、アランは手裏剣を同時に投げる。
ホークとアランの様子を見て、セルティスは素早く虎型モンスターから離れる。
その隙にレビーは飛び膝蹴りをして、虎型モンスターを気絶させる。
しかし、虎型モンスターはすぐに立ち上がった。
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