第28話 魔法士 ミラト・カータ

 アランはすぐに立ち上がった虎型モンスターに手裏剣を投げつける。


 虎型モンスターは、爪で手裏剣を振り払って、アランに爪で首を抉ろうとする。


 アランは反応が遅れてしまい、よけきれずにいた。


「……!!」


 素早い光の筋が動くのと同時に、レビーのストレートパンチが虎型モンスターを捉えた。


 レビーのパンチが虎型モンスターに強烈なダメージを与えたのだが、セルティスたちは衝撃を受けて目を丸くする。


 虎型のモンスターは、レビーのパンチを食らったと同時に、レビーの脇腹に爪を突き刺していた。


「うぅぅっっ!!」


 レビーは跪いた。


「レビー!」


 アランは素早くレビーのほうへ駆け寄って、様子を確かめる。


 かなり深く爪が食い込んだらしい。


 レビーは動けずにいた。


 虎型モンスターは4匹。


 まだ、1匹も倒せていない。


 アランの背後から、虎型モンスターが忍び寄ってくる。



 アランはレビーの応急処置に集中していて、背後から狙われていることに気づいていない。


 ホークはそのことに気がついて、2本のダガーで虎型モンスターを突き刺す。


 同時に一瞬、氷で虎型のモンスターを固めた。


 アランはようやく背後から狙われたことに気がついて、ホークに謝り、感謝した。


「こいつらも……雑魚かと思ったら、今までの雑魚とは違うようだ」


 アランは息を吐くと同時に手裏剣を投げつけた。


 アランの手裏剣は見えない速さで、虎型モンスターを刺し、光を放つ。


 虎型モンスターは光の眩しさに、目を開けることができなかった。


 光が消え、虎型のモンスターは目が見えるようになった。


 その時、既にホークに爪を向けていた。


「……っ!!」


 ホークは瞬時に後転して爪から逃れる。


 アランは激しい動きをしたために、傷が広がり、膝と手をついた。


 アランも虎型モンスターに深く傷を負わされていたのだ。


「アラン、レビー!!」


 弱っている2人を狙っている。


 虎型モンスターの爪がアランとレビーに迫ろうとした時。


 セルティスのラグナロクが虎型モンスターを斬る。


 虎型モンスターは炎に包まれた。


 しかし、同時に虎型モンスターもセルティスの肩に爪で引っかいていた。


 赤いものが地面に垂れている。


「おい! セルティス!!」


 ホークがダガーで、虎型モンスターを突き刺そうとしたとき、別の虎型モンスターが爪でホークの背中を突き刺す。


「……!!」


 ホークもまた、膝をついた。


「ホーク!」


 セルティスがゆっくり立ち上がって、ホークのほうへ行こうとした時だった。


 セルティスの胸を爪で貫こうとする。


 咄嗟にセルティスは、虎型モンスターから離れた。


 機敏に動けなかったセルティスは、転がる。


 その転がった先にも虎型モンスター。


 たった4匹なのに、手こずっている。


 セルティスは、どうにか、かわそうと身体を捻った瞬間。


 強風が虎型モンスターを吹き飛ばした。


 そして、今度は優しい風がセルティスたちの傷を塞いだ。


「何が起こったんだ?」


 セルティスが見たのは、16歳くらいの少女だった。


 ストレートの髪をハーフトップでまとめ、色は金髪。瞳はエメラルドの少女。


「あたし、ミラト・カータ。魔法士だよ」


ミラトと名乗った少女は、杖を持ちながら、にっこりと笑った。

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