第9話 身代わり?
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父の会社の人からお昼に電話が掛かってきた。
それは、「父がまだ出社していない」との事であった。
僕は、「父は昨日の夜からまだ帰宅していない」
と答えた。
僕の不安が更に広がる。
父は、どうしたのだろうか?
まさかとは想うが、父にもしもの事があったのだろうか?
その時である。僕の耳元で囁く声が・・・・
「お前の父親は、死んだよ。お前が嘘をつくから、代わりに・・・・」
と、言葉を残して去って行った。
僕の身体は3回目の氷結に陥った。
震えが止まらない。恐怖でそのまま、僕は気を失った。
どれくらい経ったのだろうか?
目が覚めると、ベッドの上で寝かされている。
家ではない、知らない場所だ。
僕が気を失ったのは、確か職員室であった。
だとすると、此処は学校。
保険室のベッドか?カーテンで覆われている為に、
誰が居るのか判らない
「あの〜誰か居ますか?」と、僕は呼んだ。
しばらくすると、若い女性が僕の前に現れた。
「気がついたの。どうしたの、突然気を失ってびっくりしたけど、
大丈夫そうだから、此処で寝させたのよ。
気分はどうなの?」
と、優しく聞いてくる。
「気分は、・・。それよりも父が気になるのです。」
「乳って何?貴方男の子でしょう、乳がどうしたの?」
「父が居なくなったのです。」
と、言葉が弱かった。
「乳が無くなった。そんな事あるわけ無いでしょ。ちょっと見せてみて。恥ずかしいがらずに、見せなさい」
と、僕のシャツをおもむろに上げた。
僕は不思議に思ったが、先生に胸を見せた。
「ちゃんと、おっぱいあるじゃない。男性だからおっぱいとは言わないけど、乳首あるよ。」
「あの、乳では無くて、父です。お父さんです。」
「あ〜、チチってお父さんのことなの。だったら最初からそう言いなさい。」
と、何故か僕は怒られた。
「お父さんが、居なくなったと、会社から連絡が入ったんです。」
と、僕は泣きそうな声を出した。
「居なくなったって、どう言う事?いつから居ないの?」
「昨日から父は帰って来ないのです。今日会社にも行っていないのです。」
「そうなの、気になるわね。・・・。
今日も帰って来なかったら、警察に報告したら良いよ。
大丈夫、帰って来るって」
と、何の確証もないのに励ましてくれた。
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