003 混ざりあう赤と青の世界
朝に
しかし
そうだ。あの夜死に瀕していた日妹零一は宇宙から来た「私」、ゼロワンと【同化】して
あのときゼロワンは死にかけた日妹零一の体に入り込んできた。そして失った血を補完し混ざり合い体を治療し、今は脳や臓器だけでなく全身の細胞をくまなく駆け巡っている。
ゼロワンは宇宙人では無い。厳密に言うと生物では無い。単細胞生物を模して人工的に作られたバイオナノマシンの群体だ。極小の有機ロボットの集合体、アメーバとかスライムが近いだろうか。未来のテクノロジー、オタクには興奮モノのまさにSF的な存在だ。
しかし日妹零一がゼロワンに体を乗っ取られ支配されているわけでは無い。例えればクマノミとイソギンチャクのような共生関係や常在菌に近い。日妹零一というスポンジにゼロワンという液体洗剤が染み込んでいるイメージ……マッシュアップ? 音楽のクロスオーバーやフュージョンがデジタルに進化するとそうなるのか。デジタルの進化とは……ああ、これは知識のすり合わせが必要だな。夏休みは図書館めぐりでもするか。いきなり未来の百科事典を頭に詰め込まれても消化しきれない。
ここは日妹家から徒歩5分離れた所に建てられたボロアパートだ。後妻が
えっ、一人が一台電話を持ってる? ああ、ゼロワンは
出かける前に冷蔵庫の作り置きの麦茶を飲む。たまに後妻が合い鍵で侵入して嫌がらせをするのだが、今日は酢とかめんつゆとかは入っていなかった。まあ入っていても今の私おれには【分析】で分かるし【分離】すればノーダメージだ。
玄関でスリッパをスニーカーに履き替え、ドアに鍵をかける。この鍵も【再構成】して作り直すか。最近は
しかしもうそろそろ
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