一章『新たな友情と新たな可能性』〔本編スタート〕

24話-二人ともなにしてるの? えっ、君は誰?


 母さんとの話し合いも終え、なんだかんだと、魂の使命こん願者ドナーを続けていい。となったある日のこと。


 魂の使命こん願者ドナーのことを色々と知りたくて、前々から気になっていた教会が運営する大図書館へ、足を運んでいた。


 この大図書館は、魂の使命こん願者ドナー魂を遣う者シシャ魂を導く者セイトなどの、教会側が認めた人間しか立ち入ることが許されない、神聖な図書館なんだ! って前も言った気がするな──。うん。


 まぁそれは置いといて──。


 そして、そして! 普段は絶対に許されることのない魂を守護するモノツカイマの入館も許可されている! まぁ、ただ……、僕の場合は懸念材料しかないけど……ね。


 フェルが絶対に問題行動を起こす! 本当は連れていくつもりもなかったんだけど、フェルはこういう時に限って鼻が利くのか着いてくる。


 問題行動は起こさないでよ! って釘を指しておいたけど効果があるのか……。まぁフェルも「任せとけガウ!」って胸を張って言ってたし、信じてみるかな……うん。


 ちょっと不安は残るけど、大図書館に入るために必要な軽い面談を受けたあと、入館の注意事項を受けた。


 入館ルールは、至ってごく普通の図書館と同じ内容だった。


 館内での飲食は禁止、館内で走ったり大声を出してはいけない。館内で読んだ本は正確に、元にあった場所へ戻す。本を乱暴に扱わない。なんて、そんなことも守れない人は図書館なんて利用しないだろう。と本好きならば、笑い飛ばしてしまいそうな内容ばかりだった。


 あまり本を読む習慣がない僕でも、大図書館はなんか、 特別な感じがして本当に楽しみ!


 入館すると直ぐに、魂の使命こん願者ドナー魂を遣う者シシャ魂を導く者セイト専用のエリアと、共同エリアの案内掲示板があり、僕はまず、魂を守護するモノツカイマ預かり所で、フェルを置いていったあと、魂の使命こん願者ドナー専用のエリアに入ることにした。


 このエリアは魂の使命こん願者ドナー専用だからかな?

魂の使命こん願者ドナーのことに特化した内容の本が、多く置いてある。


 カルマンが以前、持ってきた魂の本に似た簡易的な図鑑本も置いてあるし、僕は興味のある本を片っ端から取り、魂の使命こん願者ドナーについて調べ始めた。


 魂の使命こん願者ドナーとは、元々神様に祈りを捧げ、特別な力を宿す魂を貰い受け、特別な存在にならなければなることができなかった。


 ということが書かれた本を読んだ時は、驚きを隠せずにいた。


 だって、今では誰でもなることが可能なんだもん! どうしてそうなったのか? 疑問に感じたから、それらしき本を適当に見繕い席へ持っていく。


 流し読み感覚で読んでみて解ったことが。


 今では誰でも魂の使命こん願者ドナーになれる理由が判明していないということ。


 諸説が結構ありそうだね……。


 諸説一、人間の生活圏にメテオリットが現れたことにより、魂の使命こん願者ドナーを含む人間の数が減ってしまった。


 そのせいで欠片にも不覚を取られる始末。結果、魂の補給を優先するために誰彼構わず魂の使命こん願者ドナーになることができるようになった。


 諸説二、とある爆発により、この世界に住む人間が、三分の一以下になったことが原因。


 諸説三、教会が魂の使命こん願者ドナー実験を行うため、政策として発表した。


 なんて、どこかで聞き覚えがありそうな内容が書いてあったり、そんなまさか! なんて笑っちゃいそうになるようなオカルティックな内容まであって、僕は色んな説があるんだな〜。なんて感心しながら読み耽る。


 僕がこんな感じで読書に専念していると、問題児である小さな影が動き出したようだ──。


 ※※ ※ ※※ ※ ※※ ※ ※※ ※ ※※ ※ ※


 リーウィンげぼくが、ここで待ってて。とか言って置いていかれたガウ! つまらないガウ! ここでちゃんと一時間(体感)は待ってあげたガウ! よし、リーウィンげぼくを置いて、このでっかい建物を、散策してやるガウ! オレサマは天才ガウからこんなことも思いつくガウ! フフン。


 さてさて、オレサマの暇を潰せるものはナニかないガウか?


 そう思い、オレサマはこのでっかくて変な匂いが充満する建物を、散策し始めたガウ。


 ドンッ。


 ツカイマ預かり所おいていかれたばしょから一歩、オレサマが出た瞬間、誰か知らないガウけど、オレサマにぶつかってきた、不届きモノの巨人がいたガウ!


「オマエ! どこに目をつけているガウ!」


「あ? おまえがぶつかってきたんだろ!」


 ソイツは、詫びることを知らない様子で、オレサマがぶつかってきただとか、イチャモンをつけてきたんだガウ! ほんと、どんな教育を受けているガウか!?


「オマエ、喧嘩売るガウか?」


「喧嘩売ってるのは、おまえだろ?」


 誰かは知らないガウけど、コイツはかなりムカつくガウ! そう思って、ソイツの顔を確認してオレサマ気づいてしまったガウ。


「オマエ!」


「おまえ!」


 ソイツは、オレサマのセリフに声を重ね、赤々しい目でギロリと睨んでくる。


 オレサマは、コイツのことを知っている。


 この前、オレサマを投げ飛ばした巨人ガウ──。思い出しただけで腹が立ってきたガウ! ナニカ仕返ししないと気が済まないガウ!


「なぜ、おまえがここにいる?」


 巨人は赤々と燃えるような目に冷たい青色を灯しながら、蔑むように聞く。


「オマエの方こそ、なぜいるガウ!」


 だけど、オレサマが答える義理もなにもないガウ! それに誰かに指図されるのは嫌ガウから、オレサマは質問を質問で返してやったガウ! どうだ、天才的だろガウ!


「俺の質問に答えろ」


「オレサマの質問に答えるのが先ガウ!」


「なぜ俺から答えなければいけない? 先に質問をしたのは俺だ。おまえが先に答える義務があるだろ?」


 だけど、巨人は答える気が全くないガウ! とんだデクノボウガウ! オレサマでもこんなに頭は硬くないガウ! こいつはバカガウ! そう思いながら


「オレサマが答えたくないと言っているガウから、オマエから答えるのが筋ガウ!」


「は? おまえはバカか?」


「オマエこそバカガウ!」


 不届き者と、そんな言い合いをしていると、、モジャモジャ頭の、目つきの悪いガキが、


「ちょっと、静かにしてくんない?」


 断りもなく参戦してきたガウ! なんて無礼な奴ガウか!


「オマエ、誰ガウ?」


 オレサマはそんなモジャモジャを睨みながら威圧してやったガウ。


「だから声のトーン落としてってば」


 モジャモジャは、囁くように小声で喋りながらも、いっちょ前に溜め息をつき、オレサマを睨んできやがるガウ。こいつめちゃくちゃムカつくガウ! ナニサマガウか! そう思い、胃をムカムカさせていると、


「あんたも静かにしなよ? 大人のくせに、静かにすることも出来ないわけ? それに魂を守護するモノツカイマの躾くらい、ちゃんとしなよ」


 巨人にも同じことを言い、キッと睨んでいたガウ。


 ざまぁみろガウ!


「おまえ、喧嘩売ってんのか?」


 巨人は、そんなモジャモジャの発言にイラッとしたのか知らないガウけど、急に胸ぐらを掴み始め、オレサマは直ぐに理解したガウ!


 面白い祭りごとが始まる気がするガウと!


「やるのかガウ!?」


 オレサマは目を輝かせ、面白そうだし、祭りを盛り上げるために取っておきをお見舞して、焚き付けてやったガウ!


 オレサマのお陰で、二人は取っ組み合いを始め、オレサマはそれをより盛り上げるため、火を吐いてやったガウ! 感謝しろガウ!


 ※※ ※ ※※ ※ ※※ ※


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