002-メテオリット討伐戦開始-
-次の朝-
ピヨピヨピヨ……
ピヨピヨピヨ──
「んっ、……あと五分……」
僕はそう言い二度寝する。
-五分後-
ピヨピヨピヨピヨ……
ピヨピヨピヨピ──
「んっ……あ、と五ふ……」
そしてまた寝ようとする。
「あ〜〜! うるさいガウ! 早く起きて行ってこいガウ!」
だけど僕の眠りを妨げる非道な奴が、僕の布団を剥ぎ取り大声で叫ぶ。
「ちょっとフェル! なんで起こすのさ!」
「オマエ今日、用事があるって言ってただろガウ!」
フェルは僕が設定した目覚ましの音に眠りを妨げられ、とても怒り狂いながら火を吐く。
だけど、僕も眠りを妨げられて不機嫌になり、二人して朝から言い合う。
「行かない!」
僕はフェルの火を避けながらそう言い、再度布団に潜ろうとするもフェルはそれを阻止する。
「早く行って来いガウ! オマエが寝れなかった分オレサマが寝といてやるガウ!」
フェルは僕の布団の中に潜り込み、寝ようとする。
だけど、そんなフェルが恨めしく思い、僕はフェルから布団を剥ぎ取り、朝から大喧嘩が開催される。
「オマエなんてこうしてやるガウ!」
そう言いフェルは僕が全裸で寝ていたことをいいことに急所であるカリッシュの腸詰め目掛け、強烈なフェルパンチを喰らわせ、僕はその場にうずくまる。
「なにすんのさ! この!」
僕はうずくまりながらフェルをキッと睨み、フェルの尻尾を鷲掴む。
「ふんぎゃあ──!」
「はいはい朝から喧嘩は辞めて、リーウィンちゃんは服を着て頂戴ね〜」
いつから居たのか解らないけど、そんな不毛な争いを止めるべく、母さんはそう言い微笑ましそうに指示を出す。
母さんにそう言われちゃ僕はなにも言えない。だから母さんの言う通り、服を着て渋々身支度を整える。
そんな僕にフェルは、どこかほくそ笑みながら勝ったなと言いたげにニマリとし、僕の布団に潜り込もうとする。
「フェルも行くんだよ」
そんなフェルにムカっとし、僕はフェルを巻き添えにして母さんと一緒に家を出た。
昨日の話は冗談だと思っていたけど本当に着いてくるみたい。
まぁそれはいいとして、なぜか母さんの手には大きなバスケットが握られている。僕はそれがなんなのか解らないけどまぁいっか。と軽く流し、指定された集合場所へ向かった。
僕が行くのが遅かったのか、僕以外の
なぜ皆が僕のことをそんな目で見ているのか解らずキョトンとしていると、カルマンが鬼の形相で僕のところに来て、詰め寄ってきたかと思えば、
「おまえはバカか! 母親を連れてきてなにがしたいんだ!」
と罵倒し始める。
「母さんがどうしてもっていうから……」
僕はそんなカルマンに、てへっと舌を出しかまととぶると「おまえはバカだろ!」なんて鼓膜が破れるかと思うほどの大声で叫ばれたあと、思いっきり頭を殴られた。
「う〜〜 耳元で叫ばなくても良いじゃんか…… 耳が可笑しくなりそう……」
僕はそんな文句を垂れながら片耳を指で塞ぎ殴られた部位を撫でていると、
「本当におまえと言う奴は! 非常識にも程がある!」
なんて、自分のことを棚に上げ始める。
いやいや……カルマンに非常識なんて言われる筋合いはないよ!? なんて思うけど、そんなことを言えばまた火に油を注ぐ結果にしかならないことは僕でも解る。
だからごめんなさいと上目遣いにうるうるとした目で謝罪したらまた頭を叩かれた。
二度も叩かなくてもいいじゃんか! 僕はムスッとした顔をしていると、
「まぁまぁ〜、良いじゃないですか〜」
そんなやり取りを見ていたヌワトルフ神父は、微笑ましそうに仲裁したあと、母さんは見学ということで早速行事を始めましょうかと進行する。
「チーム分けはどうやって決めるんだ?」
カルマンはヌワトルフ神父と親しい仲なのか、元々不躾な人間だからなのか解らないけど、あまり良いとは言えない態度で神父に聞く。
「ふむ……そうですね……。此処は色んな
ヌワトルフ神父は白く伸びた髭を触りながらカルマンににこやかに返す。
「そうか──」
カルマンはそう言いながら、普段ならば絶対やることがなさそうなのに、今回は早くチーム分けをさせろということでくじ作りを自ら進んで手伝いに行く。
カルマンも人助けをすることなんてあるんだな〜。なんて呑気に考えながら僕はくじが出来るのを待った。
-三十秒後-
くじは直ぐに出来上がり、皆くじを引いていく。
集まった人数は十人。
一チーム五人で分かれるという感じになるのかな?
僕は最後に来たからという理由で一番最後まで残ったくじをカルマンから
まぁ、僕が一番最後に来たのが悪いから……と納得し、くじを開くと赤い丸が紙には描かれている。
「赤丸ってどっちのチームなの?」
「ほぅ、おまえと俺はどうやら一緒のチームらしいな」
カルマンはそう言い、偉そうな態度で僕を見下す。
「なんで僕がカルマンと同じチームなのさ!」
「これも
そんな不満を零していると、カルマンは意味の解らないことを言い僕を諭そうとする。
こんな運命、僕は嫌だ! と内心叫んでも、まぁくじという平等性の有るもので決まったのだから文句をつけることは不可能だ。
納得はしたくないけど、渋々納得して僕はそれを受け入れた。
カルマンは別のチームを見て、この場に相応しくない貧弱そうな女の子や、ガリガリな男の子が居るから勝ったも同然だな。とまだ始まってもいない戦いに勝利宣告していた。
そんなカルマンを見て、相手チームは分が悪そうな顔をしながらも打倒カルマンを掲げ全力で殺ろう! と意気投合し合っていた。
一方、僕たちのチームはカルマンの傲慢さが仇となってか
「勝つことが決まっている勝負になぜ協力し合わなければいけない? それに馴れ合いなど不要だ」
とかなんとか言いながら、他の
そんなカルマンに皆、恐慄いているのか、カルマンを説得し皆で相手チームより早く倒そう! と言う者は現れず、協調性の欠けらもないチームになってしまった。
「それでは今よりチーム対抗メテオリットの欠片討伐戦を開始するわ〜 ルールは簡単!
相手チームよりも早くメテオリットの欠片を討伐した方が勝ち♪ 頭脳戦で早く討伐するも良し、協力し合い討伐するも良し、個人戦で挑むのも良し! 皆好きにメテオリットの欠片を討伐してね〜♪」
いつの間にか進行役に母さんも加わり、ノリノリでルール説明をし始めた。
(母さん……なにをしてるの……?)
そう思ったけど、母さんの説明が終わった直後、ドラが盛大に鳴り響き開始を知らせる。
「カルマンどうするの!?」
開始早々相手チームは連携し、欠片に攻撃を仕掛けていく。
一方僕たちのチームはどうするのか? と今から話し合い。
出遅れも甚だしいところだけど、カルマンの性格上誰かに指図されるのも嫌だろうし、カルマンに指示を乞うしかなくそれは今しか出来そうになかった。
「各自、自由でいいんじゃないか?」
「言うと思ったけど僕たち
「必要に応じて
なんて簡易的な説明なんだろうか……。
僕は自然と溜め息を漏らしつつ、他の
「それならあんたの魂借りていいか? 噂でとても強い魂だと聞いたんだけど?」
そう伝えた直後、名前も知らない
僕はまだカルマンと専属契約前だし、専属契約する前に色んな人に遣って貰うのも有りだなと考え、快く了承しようとしたけど──。
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