第3話
2
「あ、やべ。忘れ物してきちゃった」
学校から家まで半分ほどのところで俺は忘れ物に気がついた。
しかも提出期限が明日までだ。
俺はテストの成績が良くないからこういう提出物で成績をあげないといけないというのにやらかしてしまうところだった。妹に怒られるのを我慢するしかないか…はぁ。
早く取りに戻らないと!
――――――――――――――――――――
学校に着いた俺は早速忘れ物を取りに向かった。
学校に着くと上履きに履き替えて自分の教室まで向かう。教室の前まで着くと何やら誰かの声が聞こえてきた。耳を済ませて聞いてみるとどうやら愚痴を言ってるみたいだ。
可哀想に…相当ストレスが溜まっているみたいだ。
聞いていると気づいたのだが、どうやら中にいるのは柊さんみたいだ。だけどいつもと全然雰囲気が違う。
しばらく待ってみたがまだ続きそうだったのでいつまでも外にいるわけにわいかないのでこっそりと中に入ることにした。
――ガラガラッ
するとそこにはめちゃくちゃ驚いた顔をした柊さんがいたのだ。
「えっ、どうして山内君がここに!」
「忘れ物を取りに戻ってきたんだけど…聞いちゃまずかったよね。」
「聞いてたんだ。誰にも迷惑をかけないように誰もいない時にやってたんだけどやっぱり教室でやるとバレちゃうよね。」
「安心してよ。聞いちゃったのは俺だけだし、俺は絶対に誰にも言わないから。」
「…本当に?」
「もちろんだよ。むしろいつものような柊さんと違って心配だよ。一人称も違うし…」
「そう…だよね。気になっちゃうよね。
もうバレちゃったみたいだし少し聞いてもらってもいいかな?」
「うん。前に助けてもらったし聞くことで力になれるなら喜んで力になるよ。」
「本当にいいんだよね。」
「もちろん」
「だったら聞いてもらおうかな。
ボクは本当はみんなが思っているような人じゃないんだ。
実は昔からボクは女子たちからからかわれたりしていたんだ。それが嫌で言葉使いも変えるようにしたし色んなことを引き受けるようにしてたんだ。
でもそれが男ウケを狙ってると思われてたみたいで中学からは女子たちから妬まれたりしてたんだ。
そこからは表立ってはなかったけどハブられたりとかの男子には分かりずらいようなことをされてたんだ。
だからボクはそんな状況から逃げたくてちょうどスカウトが来た芸能事務所に入ることにしたんだ。
それでもストレスは溜まっちゃうからこんな感じでたまにストレスをここで吐いてるんだ。
ボクが話したいのはこんな感じのこと。
ありがとうね。話を聞いてくれて。やっぱり人に話すと少しだけすっきりするよ……ってそんな泣きそうな顔をしてどうしたんだ。」
「いや…だって…そんな辛いをしてたんだと思うと…ズビッ。俺に出来ることなら手伝うからさ。ちゃんとまた笑顔になれるように手伝いたいんだ。ヒック。
だって柊さんは自分を守るためとはいえ確かに俺の事を助けてくれたんだからさ。その優しさは決して演技じゃないと俺は思うよ。だから今度は俺が君を助けたいんだ。」
「でも君とボクが関わってるのを見られたらまた…」
「今は俺と柊さんは席が隣だから多少なら話してても大丈夫だと思う。
あとは柊さんが困るなら放課後に相談にたまに乗るとかだけでもいいし。
とにかく俺は柊さんのことを助けてあげたいんだ。
実際にひいらぎさんのおかげで助かったという人は沢山いるだろうしさ。その分柊さんも幸せになってもいいはずだよ。」
「山内くん…。気持ちはありがたいよ。だけどそんなことすぐには答えが出ないな。
だから数日時間が欲しいな。もしボクがお願いすることになったらちゃんと言うからさ。
だから今日は帰りたいな。」
「わかったよ。」
「ありがとう。例えお願いすることがなくても山内君のその気持ちには感謝してることだけは本当だから。」
「…じゃあ。また明日。」
「またあした。」
こうして俺は柊さんの秘密を知ることになった。
――――――――――――――――――――
メモ。
1589文字。
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