第5話
「と、いうわけでやってきました原始時代」
アキラが嬉しそうに大声を上げた。
「展開早いわね。楽器とバッテリーとアンプ持ってきた?それで、原始時代って正確にはいつ頃よ」
紗香が質問した。
「旧石器時代。ホモハピリスなど人属による
石器(打製石器)の使用が始まった時代。年代的には
200万年前くらいかな」
不知火がそう説明した。
「アンタ、ずいぶん詳しいわね」
「オレ、勉強は苦手だけど歴史だけは
強いんだ」
「いるいる、そういう偏屈な人」
三鷹が不知火を指さして嘲り笑った。
「やかましい!オマエみたいなオール1の成績の奴に
言われたかないわい」
「なによっ」
「やめやめ、低レベルの争いは。ただ見苦しいだけだ」
吹滝が二人の頭をぺしぺしした。
「恐竜とかいるのかしら?」
紗香が不安気な表情になった。
「まさかあ、あんなの図鑑の中だけだよ」
「呼びました?」
「でっ、でたーっ」
気がつくとステゴザウルスがいた。
「うん?いまこのステゴザウルス喋った」
「ええ、我々は人間の言葉が聴き取れますし
音楽をたしなみます」
「音楽を?」
紗香が驚いて呆然として笑った。
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