第2話

「それでなぜわたしに白羽の矢を

立てたわけ」

授業中、紗香が後ろの席のアキラにたずねた。

「オマエ、魔法の声を持ってる

らしいじゃねえか」

「魔法の声?」

紗香がコイツなにゆうてんのじゃみたいな

顔をした。

「そう、聴衆のハートを一発で

射抜くような弾丸ボイスの持ち主。

それが紗香ってわけだ」

「ほかあたって」

「紗香ターン」

「ワシはそんな魔法の声なんて知らんし

身に覚えもない」

「いや、ある」

右隣の席の不知火が紗香に声を

かけてきた。

「ゲツ、いたの。透明人間かと思った」

「誰が透明人間じゃ、誰が」

不知火が勢いよく立ち上がった(怒)

「そうよ、紗香、アンタには

天才的な歌の才能が備わってるのよ」

今度は左隣の席から学級委員長の

三鷹が声をかけて来た。

「そうだぞ、紗香オマエはまだ自分の

歌声の凄まじさに気づいていないだけなんだぞ」

そしてどこからか不良軍団のリーダー

吹滝の声がしてきた。

「オマエは忍者か!姿を見せい」

「へへっ、どうも」

「どうもじゃないよまったく」

紗香が呆れ顔になった。


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