第17話 勧誘⑤
都内の児童養護施設 AM9:45
門の前で職員が待っているな。降りるか
「どうも、お待たせさせて申し訳ありません」
「いえいえ、15分も早く着いてくださったのですから......それで本題なのですが8歳の女の子がミューテェイトになってから暴れてしまっているのです、それと保護者の方も退院されてこちらに引き取りに来るそうです」
「?......それは良い事ですが私いりますか?」
「実は、メテオブレイカーを呼んでと喚いているのです」
「この前イベントでサプライズでここを訪れたのを覚えていますがどの子ですか?取り敢えず会えますか?」
「アルペシアちゃんです。会えます、寧ろ会って貰わないと困ります、申し訳ないですが......」
「アルペシア......アルペシアと言えば天才のIQ205で有名な子ですか!確か前来た時は話に聞いていた子供の態度とは思えない可愛げの無い傲慢不遜さなのでと注意されましたが、私には何故か少し懐いた子ですか」
「そうです......だからお願いします。ご家族も祖父が1人しかいなく他人に心を開いたのはあなただけなのです......」
「まあ何故か子供に好かれやすいので......」
児童養護施設の面談室 AM10:01
「メテオブレイカ〜!ディアマイヒーロー!」
「少しお久しぶりですね、アルペシアさん!そのゴシックな服似合っていますよ」
そう言いながら駆け寄って来たので抱き上げたがすごく冷たい、死人の方が温かいくらいに。それによく見ると前より肌が白い、元から白人なのに更に白い......
「!?アルペシアさん?体温が......低いなんて物では無い、大丈夫ですか?」
「アルね〜ドラキュラになったの!それとその慇懃無礼っぽく思える態度直して〜でも子供のアルに敬語使う貴音が好き〜!」
「ドラキュラ......慇懃無礼......わかったよ......じゃあ話を戻そうか、ドラキュラって何が出来る様になったの?」
敬語使うから好きなのに慇懃無礼って......確かに小さい子供に敬語使うのは変って言われたことあるけど......
「こう言うことができるの!」
そう言うと金属製の机を拳を軽く振り下ろし叩き折った、齢8歳の拳で。
「なっ!?」
明らかに本気では無い軽い拳でここまで......
「それに血を摂取すればする程強化されるの!それとこれ!」
そう言うと叩き折った机を一瞬で氷結させ氷で接着させた。
「すごい力だ......それより日光は大丈夫なの?」
「大丈夫!アルペシア・クルツは最初にして最後の真祖、最強のドラキュラ♡」
そういう彼女の口から見える牙。目の色が鮮血の様な赤色になった。
「......まあクルツは十字架って意味だけど......」
「目が......そして真祖......アルペシアの知能から自分の能力をドラキュラと断定し、私の知っている伝説と創作の吸血鬼の知識から考えると......更に出来る事は不死身、不老不死で仲間を増やせるよね?」
「同族は作れないけど不死身なのはそう......」
「聞いておいて悪いけどどうしてわかるの?」
「不死身の代償、成長......つまり老化が止まったの。アルの見た目は8歳で変わらないの、そしてわかった理由はアルの細胞を調べた外国の学者が言ったの!そいつアルよりバカだけどね〜不老不死の研究の為に、外国人が攻めてきたから全員食べちゃった♡だから、今アルの残機は10個、そしてアル自身も頑丈で怪力乱神だから、誰もアルの事を止められない♡」
「ずっと8歳か......そして殺したのか......でも、幼女相手に本気で襲う相手も悪いか............アル?」
「なぁに?貴音?」
「アルはもちろん正当防衛で何一つ悪く無い、だけど人殺しはなるべく避けてほしいな。もちろん、自分と大切なものを優先するのは当たり前なんだけどね。わざわざ殺さなくて良いものは殺さないで欲しいんだ、
「ん〜言いたい事はわかるよ、けど貴音の気持ち矛盾が多い事がわかって言っているの?生き物は食事をする為に生物を殺す、人は服の為に、自分が楽をする為に動物を殺し娯楽にも利用し続けた。全て綺麗事のエゴだよ?」
「そうだ、これは私のエゴ。完全なる自己中心的なエゴだ」
「えっ」
「世の中エゴのぶつかり合い、自分の通したいエゴを通し切った時にエゴが正義になる。それに綺麗事が綺麗事で終わる事もあるんだよ、犯罪者だって頑張れば更生できる。だから私は綺麗事を言い続ける」
「貴音............いつか助けた悪人の報復に気をつけてね、あとねアルの力を試したいから戦って!」
「前も他の人に言われたよ、気をつけるね。それと23歳が8歳に攻撃するのは......」
ノックする音と共に細身な老人が入ってくるなり、
「良いですよ、アルペシアと戦ってあげてください」
と言い放った。
「えっ......どちら様でしょうか??」
「お祖父様!白血病が治ったって聞いた時も嬉しかったけど会えてもっと嬉しい!」
「アルペシアすまないね......私が入院していたから施設に預けなければならなくなって......」
「良いわ、気にしないでお祖父様......それよりメテオブレイカーの貴音が来ているわよ!」
「ええ、話はドア越しに聞いていたからねぇ、申し遅れましたアルペシアの祖父、ウォルター・クルツと言うものです」
「お祖父様でしたか、失礼しました。お初にお目にかかります、梶原貴音です。以後お見知りおきを。それと白血病の完治とご退院おめでとうございます」
「いやぁ、あなた程の人を日本で知らない人だとほぼいない、それに頑張って畏まり過ぎですよ。私は思わないですがが慇懃無礼に思う方もいるかもしれないのでお気をつけてください。それとアルペシアと戦ってやってください。お願いします」
「......先程アルペシアちゃんに全く同じことを言われました......戦うのは法律的に......どうかと......?」
「ならば一目に付かない所でやれば良いでしょう?例えばそういう施設とか......?」
「なっ!何故そのことを......?」
「髪が燃えている人がメテオブレイカーに組織の地下訓練施設で追い詰め傷をつけたと、街頭やインターネットなどで自慢して回っていますよ。まあ、あの様な品性の無い人間があなたを追い詰めたとは思えませんがね」
「あのアホ機密情報を......まあ実際、少し火傷したくらいですから......もうバレているならしょうがないので行きますか......」
「やったー!」
「それともう一つお願いなのですが、私達を組織に加入させて頂きたいです」
「......嬉しいですが、何故でしょうか?それとウォルターさんもミューテェイトなのですか?」
「私は自分の血のみを操れます。そして組織に入りたい理由は自分勝手な話になりますが、今後アルペシアを狙う人間が増えていくでしょう、そこであなたの組織に所属しているとなると簡単に手出しは出来ないと考えました......何卒よろしくお願いします」
「確かにそうですね......では是非加入して頂きましょうかね......」
老人と幼女って......強い弱い関係なく出撃させたら世間から文句言われそうだなぁ
「では取り敢えず行きますか」
――――――――――――――――
仮本部地下施設 PM:1:09
「ではどうしますかね」
「私から戦いましょう、入れてくれと願ったからには実力を見せないといけませんからね」
「分かりました、超強化ガラス越しの閲覧席には研究員、ドアの付近には医療班もいるので全力で来てください」
「承知」
そう言うと彼は懐から刀の柄に本当に小さい刃がついたものを出した。
「まずは手始めにですが......」
そう言うと柄を手のひらに刺し引き抜くと血液の刀が出来上がった。
「すごい......かっこいいですね」
「それに便利ですよ。行きますよ」
そう言うと血液の刀を振るって来たのでガードすると腕をすり抜け私の体だけを切り裂こうとした。
「痛っ、私自身が頑丈で無ければもう試合は終わっていた......」
「まだ終わりじゃないですよ」
そう言うと刀を伸ばし鞭の様にしなやかに動かす、だがそれは鋭くもあった。
「距離をとっても伸ばしてくるかッ!ならば!」
ウォルターに向けてエネルギー弾を放つが血液でガードされてしまった。
「今ので出した血液が殆ど蒸発してしまいましたよ、だがそのおかげで広範囲に血液を撒き散らせた」
地面に撒き散らかされた血液は動き尖り私目掛け伸ばして来た。
「うおおっ!?!?」
空に咄嗟に避けたが追尾して拘束し刺しにくる。
「避けきれないッ!ならば!」
そう言うとウォルターを掴み盾にした。
「申し訳ないが、これは実戦を想定している」
「別に良いですよ、私ごと貫きますから」
「は!?」
その瞬間ウォルターの身体を血液が貫いた、だが貫いた様に見えただけだったシンプルに血液がウォルターに戻り背中からまた出しただけであった。
「ぐはぁっ!」
「治癒能力や頑丈さは噂やニュースで聞くよりだいぶ高いですね、それに私の実力を知る為に受け身に徹しているでしょう?」
「そうです......失礼な言い方をさせて頂くなら試させて頂きました。申し訳ないです、ただその実力があるのならばアルペシアちゃんと共々是非加入して頂きたいです」
「リーダーが候補者を試すのは当然なのでお気になさる必要はないでしょう、それよりアルペシアがそろそろ我慢の限界のようです」
「アルの番!」
「わかったよ......アルほどほどにね」
「じゃあ行くね!」
その瞬間にはもう目の前に居た、彼女の尖った爪が目の先に。
「ッ!」
貴音はバク転して避けだがそこに斜め上横から彼女の蹴りが入り打ち上がると同時に跳躍し貴音を蹴り下げる。
「ぎゃあ!?横!?下!?」
貴音は金属製の床に叩きつけられてた。
「また修理費が増えるくらい凹ん......」
私が話しているのを無視してアルペシアは思い切り私の顔面を殴り続けた。
「効いてない〜!!子供だからって手を抜くのはやめて!」
「いやマジにかなり痛い......わかったよ!」
そう言いながら彼女の手を掴みながらぐるぐると回り思いっきりぶん投げた、更にそこに中規模必殺技を出す。
「キャッ‼︎」
「サテライトキャノン!!」
だがしかし、アルペシアはそのエネルギー波を手で受け止めながら突き進み私のを手を掴んだ、その瞬間手が凍りついた。
「ぎゃっ!?これは......手が完全に凍っている!?」
「フラッシュフリージング!よ!」
「こいつはァすげぇ......動かない......」
こりゃあ確実にフィクストスター級だな......そう思いながら最大限まで距離を取り着地。だがしかし貴音の足は地面と接着する様に凍り付いていたのだ。
「おいマジかよ......距離とってもすぐ凍るじゃねぇか......」
「砕いてあげる♡」
そう言いながら飛びかかってくるアルペシアの目は赤く輝いていた。
「本気か!?エネルギーを......エネルギーを集めて溶かすんだ......」
そう言っても待ってくれず鋭い爪を刺す様にこちらに手を出してきたがなんとか溶かした片手で受け止めた。
「ふぅ〜なんとか溶けた......これは模擬戦だ、怪我はともかく欠損させる様なことはダメだよ」
そう私が怒ると。
「はっ!そうよね、興奮し過ぎちゃった......ん?貴音の目が......」
青い目の周りが凍っている?目の中に雪の結晶の様なマークもある?アルは目は流石に狙っていないのに?
「貴音......目が......」
「ん......?どうかし......」
「アルペシア!ダメじゃないか」
「ごめんなさい、お祖父様......」
「まあまあ、大丈夫です。お気になさらず!取り敢えず、ここの研究所でアルペシアちゃんの事を調べましょう。ここは外とは違うので安全です。ちょっと何方か!アルペシアちゃんをお願いします〜〜」
「分かりました、アルペシアちゃん。こっちにきてね」
「態度が大きいわね、アルを誰だと思っているのかしら?
「アルペシアそう言う態度はやめなさいと言っているじゃないか」
「......」
前より酷くなっている......
あの子は研究結果で分かったが自身の血液型を変えれ、老衰は絶対にしない。再生速度は見た限り私以上だが頑丈さは私以下。凍らせるのは奇妙で有名な吸血鬼の感じかと思ったらシンプルに冷気を操るらしい。まあ離れていたのに凍ったから当然なのだが......まあ仲間になってくれて何よりだ。今、更に強くなる為に病院で廃棄予定の血液を飲んでいるらしいけど新鮮な方が良いと言っているが人を襲ったりしないので良かった。なんとか新鮮なものを回してあげよう。
はぁ......やっと仕事終わった......ニートだったからキツいなぁ、やっぱり未来とかにも手伝ってもらうしかないな。
そろそろ初めての全員の集会だから施設のシャワーでも浴びておこうかな。
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