第12話 勧誘②

貴音と未来の完全オーダーメイドの3階建ての家 PM9:21

 

「はぁ〜やっと帰ってきた......」

 

 いやーそれにしてもこの家バカデカいよなぁ、本國さんが組織のメンバーは近くに住んだ方が良いと言う理由で建ててくれたからなぁ、これ税金で建ったんだよな......治安維持とかで還元しないとなぁ......ん?何かいる!?

 

「誰だ?私の家の壁に張り付いているな、それに物陰にもいるのはわかっている、出て来い」

 

 3人くらいいるな、暗くてよく見えない。マズい人数不利だしそれにこの家が壊れたらまた税金が使われて何言われるかわからない。

 

「お会いしたかった、あなたに。この身体になってから仲間を連れてずっと探していました」

 

 そう言いながら壁から降りてきたのは上半身は人で下半身が蜘蛛の生き物だった、蜘蛛の顔の部分から女体が生えている。

 

「会いたかった?私はお前に何かしたか?それとミューテェイトとミュータントどっちだ?」

 

 マズいなぁお礼参りか?この身体にって事はアーキアンをぶち込んだたあと進化したのか??流石に多すぎて覚えていないぞ......なんて考えている内に目の前にギリシャ神話のアラクネの様な女が来た。

 

「っ!?すごい巨体にし、そしてこの俊敏さ!」


 そう応戦しようとした瞬間蜘蛛の落ち着いたクールさのある顔が泣きそうな顔になり、


「あなたが私を助けてくれたご恩を返したかったのです!」

 

 そう言いながら私を抱きしめながら持ち上げた。

 

「何の話だ............あ!ちょっと前に実家に出てきた巨大蜘蛛か?親が叩き潰そうとしたのを外に逃したやつか?確か国が注意喚起していたグーティサファイアオーナメンタルって種類の蜘蛛が逃げたっての後から気づいたけど......今思えばデカいし青いから気づくよな......」

 

「そうですとも、この身体になって何かわからない状態で、その時に脳内に聞こえる声がありその方に行くと真っ先にピンク色の生物がいて、更に知能と進化を授けてくれたのです、そして後ろの2人もそうです。それで真っ先に矮小な頃の私の微かな記憶にあなたがいたのです......逃してくれた場所に行ってもいなく不安になりました......」

 

「そうか......それは良かった!会えて話せて嬉しいよ、ただどうここを見つけたの?」

 

「黒い鳥が事情説明したら居場所を教えてくれました、話によると黒い鳥はあなたに名前をつけ頂いたとか、是非私達にも名前を授けて下さりませんか?」

 

 そういうと残りの2人も前に出て名乗り始めた。

 

「お初にお目にかかります、俺が一体なんの生物だったのか分かりませんが俺にも名を授けて頂きく願います」

 

「同じく、初めまして私はオオスズメバチのメスですわ。宜しければ私にも名前を頂けませんかしら?」

 

「マジか......てか蜘蛛ちゃんはわかるけど2人はなんで?」

 

「............虫を......ミュータントになる前から優しく殺さないと聞いて感銘を受け俺は忠義を尽くしたく思いました」

 

「同上ですわ」

 

「そうなんだ......黒い鳥の名前は八咫フギンって言うんだけど、そいつにも言ったけど敬語はいらないよ、それとオオスズメバチちゃんは多分女王蜂だったと思う、その身体の肉付きと大きさを見ると多分ね。それとわからないって言った方はリオックかな?日本にいない筈だからショップ用か研究用が進化したのかもね。リオックは顎が強く世界最強級の虫として人気だからね、だからそこから逃げたんだろうね」

 

 ここで今まで周りに奇人扱いされても虫を殺さないで逃していた人生に意味があった気がして嬉しい。それと見た目の個性がすごいな、リオックの方はバイクに乗るヒーローモノの怪人で出てきそうなぐらいゴツいし手が4本に人型ってだけでどう見ても顔は人間では無い。オオスズメバチは女王蜂だからなのか繁殖し繁栄させるためか人間にかなり近いしムチムチしている。毒針は虫の頃の腹部がそのままケツ付近から生えて、口は開口すると口内の横から虫特有の牙を見せる。そして全体的に女王というよりお嬢様みたいな見た目だ。

 グーティサファイアオーナメンタルは落ち着いた雰囲気の見た目だ顔は本当に人間だ、下半身は超巨大蜘蛛だが美人、というか蜂も美人だし人に近づく進化をすると生存に有利になる為にミュータントは美人になるのか?

 

 「あ、あの......ダメでしょうか?」

 

「!ごめんごめん考えすぎた、名前どうするかな?とそれよりそうだピンクの生物は豚だと思うんだけど何処に居たかわかる?」

 

「移動を続けバレない様にしていると言っていたのでわからないです、ただ人型の牛と人型の鶏、ふわふわの白い虫を連れて彷徨い歩いているとのことです」

 

「ふわふわの白い虫?側近を増やしたか......蚕か?こいつらは人間に家畜として扱われた生き物で徒党を組んでいるな」

 

「はぁ......そうですか......」

 

「それより私の名前はどうされますの?」

 

 「梶原様を困らせる様な発言は控えよ」

 

「いやいや、ごめんね、豚達は何がしたいのかよくわからなくて注視しているのよ。あと何度も言うけど敬語はいらないから......それにしても名前かぁ」

 

「なんでも良いで......良いわ」

 

「では畏まるのはやめさせてもらう、名は何でも良い。梶原が決めてくれるならば」

 

「私にピッタリなのを期待させてもらうわ!」

 

 そう言われ私は一人一人に向かって名前を与える。

 

「じゃあ蜘蛛の方は、蒼玉せいぎょくリカ」

 

「オオスズメバチは、いただきホープ」

 

「リオックは、夏秋なつあきリック」

 

「理由は蜘蛛はサファイアの和名の蒼玉と愛好家からよく呼ばれるメタリカのリカをくっつけたもの。オオスズメバチはクイーンだから頂点の頂に、ホーネットとワスプを混ぜてホープ(希望)にしたもの。リオックはコロギスの発生時期が夏から秋の初めなので現実にある苗字の夏秋にリオックを文字ってリックにした。どう?ダメなら考え直すけど?」

 

「私にピッタリ!最高よ、ありがとう」

 

「頂点にして希望なんて良くってよ!」

 

 「異議なし、気に入った」

 

「じゃあ、リカにリック、ホープよろしくね!あと提案なんだけど人助けのチームを結成する予定なんだけど参加してくれない?」

 

「人......人間?それを私たちが助けるの?」

 

 急に3人とも暗い雰囲気になった。

 

「どうしたの......?ダメ?」

 

私達を不快という理由だけで殺そうとする......人類を?」

 

「私も記憶が曖昧だけど網やら煙で殺されかけたわ!」

 

「俺は記憶に無いがこの身体を手に入れて過ごしてからも良い思いはあまりしていない......全員がそうでは無いのはわかるが人間は俺らを受け入れられぬとしか思えぬ」

 

「確かにそうだよね。人間の私が、人間に対してわざわざ殺す必要がないと言って、私が虫を掴んで逃がそうとしたらその手ごと踏んで殺す奴もいたしね......でもね、ミュータントのあなた達の権利を保障させる約束は国に約束させたよ。これからあなた達を見る目は必ず変わる!だから私に......私達に力を貸して......お願いします......」

 

「頭を下げないで......助けてもらった私の面目がない、それにあなたが本気で生き物を殺したくないのはわかる、それに私達を思うあなたが救いたい人達を助けるから......私の......蜘蛛の力で良いなら」

 

「同上するわ、私の力を活かして」

 

「同上、ただ梶原の優しさは破滅の危険がある。殺す事が、それが仕方ない事がある事は肝に銘じてくれ」

 

「みんなありがとう!わかったよ、ただ殺さないという綺麗事で済むなら私は綺麗事を言い続けるよ」

 

「......承知だが後悔のない様に」

 

「ああ......それと皆んなは何か特別な力がない?怪力、知能と人型に近づいた以外にある?」

 

「私は持ち前の毒を全身手足から出せるくらいかな?」

 

「私は空を飛び針を射出したり毒液をばら撒いたりできますわ!少しはしたないけど......それと手首からも刃みたいな針が出てそこからも毒が出せるくらいかしら」

 

「俺は10メートル近く大きくなれる、それくらいだ」

 

「それくらい?私達みたいに持ち前の毒とか関係ない能力じゃないの......それに私達の前でやった事ないでしょ?いつやれるってわかったの?」

 

「全員が寝ている間に鍛錬していた、その時気がついたんだ。ほら」

 

 そう言いながら5メートルくらいになった

 

「スペース的に物を壊さない様にするならこれくらいか」

 

「すごいなぁデカくなる能力者は初めて見たな」

 

「ズルいわ!」

 

「毒の方がずるい」

 

「まあまあ、みんなが強いのがわかったから取り敢えず私の家に入ろう。みんな全裸だし......リカはリビングの窓からなら入れるかな?」

 

 家の中 PM10:12

 

 「ちょっとダーリン〜♡外で何してい......!?」

 

「ご、ごめんなさい......」

 

「す、すまない......」

 

「えっ!?ちょっと誰?ミュータント?誰なの!?服は!?」

 

「これから組織のメンバーの候補として首相に合わせる3人......ごめん、そこで会ったから家も服も無いから入れた......」

 

 リビングの方からリカの声が聞こえてくる。

「ちょっと〜入れるけど脚が土まみれだから上がれないわ」

 

「?!ちょっと合計何人いるの?貴音?」

 

「3人......」

 いや下半身は人じゃながら2.5人か?なんて思っていると。

 

「やはり、我らは迷惑と思われる。リカ、ホープ行くぞ」

 

「ちょっと待って!行くとしても何処に行くの?服も家も無いのでしょう?しょうがないから大丈夫よ、泊まっていきなさい」

 

「俺の見た目が悍ましく思わないのですか?怖く無いのですか?短期間だが出会った人間ほぼ全てに恐怖されたぞ。逆に喜び興奮して握手を求めてきた酔狂な奴もいたが......」

 

「貴方は見た限りバッタとかコオロギよね?私虫より幽霊の方が怖いから気にならないわ」

 

「幽霊?いるかどうかわからないものの方を怖がるとは貴女も酔狂よな......恩に着ますぞ......」

 

「まあそんな畏まらなくて良いわ、どうせチームメイトになるだろうしね」

 

「梶原と同じ事を言う......名は?」

 

「九条未来よ、リビングの人もよろしく〜それより何で入ってこれな......蜘蛛!?」


 だったなぁ、これが1番楽だったかもなぁ。今はリック以外服着せて、組織の施設で暮らしているし食事もあるし虫の頃はなかった娯楽で喜んでいる。

 そして最初の仕事はこの3人と吉田さんの合同でやったって記録だな。どれどれ......

 

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