第9話 殺人
貴音は冷たい九条を片手で抱きしめていたら、
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貴音の近く 数分前
「人型になっているのには驚いたが、話に聞いていたあのお喋りカラスを見つけたのだが、私に構わず
A.S.H.からの通信途絶、ラストメッセージが、
「メテオブレイカーの勝利。早急に補助装置を使用をすれば、フェムトマシンの力で蘇生が可......」
だった、九条の身体の部位がどの程度残っているかわからないがこの装置さえあれば......発砲音?発砲音だと!?軍や警察も待機命令で近づいていないはずなのだが。
そう思い発砲音の方向に向かうと貴音が片手で九条を抱きながら、拳銃を自分の顎に、脳天を貫ける様に傾けながら発砲していた姿を見てフリーズする本國。
バンッ「俺は......」
バァン「何で......」
バァン「............守れないのに......」
バァン「......に硬いの......?」
バァン「身体は痛くないのに......」
ダァン「......は痛いの......」
カチャッカチャカチャッ......
本國は呆気に取られていたが急いで貴音から銃を取り上げ投げ飛ばす。
「冷静さを取り戻せ!君は
そう言いながら本から補助装置の部品を数個出して組み立て、貴音から九条を取り上げ胸と頭に薬師寺に汚染されていない予備のフェムトマシンなど入った薬剤を注入し修復を始める。装置に液晶を見る限り救えそうだと本國は思い操作を始めていると。
「
怒気と殺気を帯びた声だが冷静に質問した。
「薬師寺......ダメだ。君が何をするのかは子供でもわかる、それに今の君では......」
と話しながら振り返り貴音の方を見た。
本國は驚きのあまり言葉が詰まる。
何故なら、貴音の右眼の瞳孔が炎上した輪の様な模様になり目周りを焦がす様に焼け、左眼の瞳孔に雪の結晶の模様、目の周りが凍てつき凍る様、火と氷により片目から涙を流し続けている様に見える。
「梶原君......それは......」
やっと理解した。何故、屠殺寸前の家畜や餓死しそうなカラスに、精神病の人間に世に絶望している人間ばかりが能力者になるのかを。一部の私の様に例外はあれど、宇宙の生物達は深いネガティブな感情や命の危機にある生物を選んでいるのだッ!いいや、そんな事は今いい貴音を止めなければならない!九条はまだ死んではいない!
「待つんだ!九条未来はまだ死んではおらん!そもそもその消耗だと、流石に首相護衛のE1、E2、E3装備の連隊に勝てない」
「いいや、私が奪った。私は恩を仇で返した、一度でも汚れた手はいくら汚そうと汚れた手に変わりない」
そう言い飛び立とうとするが力が足りず墜落してしまう。
「足りない......足りないィッ!!!」
「だから君も外傷が少ないだけで......ッ!?」
貴音が叫ぶと紫色のオーラと電気の様な物が身体の周りを走り始め、貴音の前方を辺り一面火と氷の海にした。
「何だこの力は!?規格外にも程があるぞ!この紫も何かあるに違いないぞ。マズい、これ以上何かに覚醒してもらっては困る、やりたくない上効くかわからないが......」
そう言い本からガスマスクとグレネードランチャーの様な物を出し、自分と九条に装着し貴音に向けて全弾連射し起爆、黄色の煙に包まれる。
「1発で象の群れを一瞬にして気絶させる物。自律神経に影響を及ぼし心臓や脳に届く血流を制限させる兵器、超人に効くか......」
「うっ......うぐ......未来............」
そう言い残し気絶し火と氷は消え、オーラの様なものもなくなり静かになった。倒れた貴音は涙を流し続けていた。
「気絶したか......こんな可哀想な......しかし、これだけ受けて完全に気絶しないなんてな......おそらく毒系の耐性もあると見た......ん?おお!A.S.H.が再起動して全てハッキングに成功したぞ、これで助かる!10分もかからず目を覚ますだろう、そうだ......2人横に並べてやろう............それと私には私のやることがある」
そう言い残し現状のメモ置き立ち去った。
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研究施設、首相専用室 PM3:50
「クソッ!兵器ではミューテェイトの上澄には勝てないか!ただあの何とかかんとかと叫びながらの巨大なエネルギー波を受け通信が切れた後も、動き回ってクソガキを殺している可能性もある。」
そう考えている薬師寺。ドアが開いたことに気がつき振り返ると本國がいた。
「びっくりしましたよ、あのクソ野郎が来たのかと。まあ監視カメラも無ければ防音、耐爆の最強のこの部屋でカードキーは首相と副首相だけなので驚く必要もありませんでしたな。それに、まあ多分E4と相打ちでしょうけどね。見れていませんが。」
「
「ええ、私の思い通りに動かない上、天が許しとも私は許さないだとかほざく奴は自惚れクソ野郎以外の他でも無い。まあE4が勝ってもE4は精神崩壊で使い物にならないのでこの戦いこそクソの様なものですな」
「?何故、精神崩壊するのですか?操っておられたでしょう?」
「ああ、教えていませんでしたね〜申し訳ない。E4装備者が操られている間の行動は本人が、その自らの眼で!見ているのですよ!まるで手が届かないよう椅子に縛り付けられながら、自分が殺戮を繰り返す様子を映し出されたモニターを見続けるのですよぉ!あの女、正義感が強いので実験としてエラーが起きなかった時にしっかり殺した
とバカ笑いする薬師寺に本國は
「
ほぼ無音の銃声が微かに鳴り薬師寺の肩に命中。
「ぬ゙お゙お゙お゙お......貴様っ!貴様もミューテェイトだったのか......!?何故?何故、私を撃つ?」
「何人罪の無い生物を殺した」
「?......本國お前もヒーローごっこがしたいのか!」
笑いながら言う薬師寺にもう1発放つ。
「ぐぁっ......わかった、わかったから......能力者排除の事も白緑の事も全部自供して逮捕されるから赦してくれぇ......」
怯えながら未だに自己中心。
「お前が追い込んだ
「待ってくれっ!待っ......」
「そして彼の手をお前如きで汚させて堪るかあっ!」
脳天をぶち抜かれ倒れる薬師寺を足先から本に入れ、その場を片付けて去った。
「罪は......手を汚すのは私で良い......」
――――――――――――――
壊れた市街地 PM3:23
「............ん!?ここはどこ!、私は............私は!?思い出した......あ......あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ......」
(落ち着いてください、貴女は助かりました)
(貴音は!?貴音はどこなの!?酷い事なんて言葉で済まないことを......)
(横にいます。そしてメモをお読みください)
「これ......ね」
そう手に取り読み始める。
「本國です、このメモを読んでいると言う事はどちらか先に助かった事でしょう。まず落ち着いてください、どちらも助かるのでご安心ください。そして烏も無事です。もし先に目覚められたのが九条さんならば、貴女に介入した理由は簡潔に説明すると梶原君の味方だからです。それと梶原貴音自体は疲労と私が使ったガスで気絶しているだけです。絶対に死んではいないので安心してください。もし梶原君の場合ならば、A.S.H.というAIと追加のフェムトマシンが九条未来の身体を修復しています。脳味噌が溢れ落ちていないので元のフェムトマシンが少し残っているおかげで約96%助かります。介抱し切らず立ち去って申し訳ない、私にはしなければならない事があるのです。そして最後に一言、お二方に罪は絶対にありません。己を責めず、お互い助かったら喜ぶだけを考えてください。」
「本國さん......」
そう呟くと隣の貴音が目を覚ました。
「うぅ......未来ッ!!……?!」
そう叫ぶ隣には微笑む九条がいた。
「!!......もう未来なんて下の名前で呼んでくれた事無いのに......ふふっ本当にありがとう……」
窶れた顔で、優しい声で、泣きながら微笑む彼女。
「九条さんっ!本國さんの言っていた事は本当だったんだ!!............でも私......礼言われる事なんてしていないよ......本國さんがいなければ私は......」
九条は指を梶原の口に当て閉じさせる。
「いいえ、あなたのおかげよ、それにしても本当に変わらないわね......それに下の名前ではもう読んでくれないの?」
と優しい声とは違う甘えた様な声で言いながら肩に手を置かれ察する。
「くじょ......いいや、未来......この後、何があっても絶対に君を守るからね」
「お互い様、2人で護りあっていくのよ」
そう言いながら2人は唇を重ねた......陽が落ちる。
――――――――
飛び立とうと思ったら超大事なことを思い出した。
「あっ!?!?フギン!フギンがやばい!」
「大丈夫よ、國本さんが助けてくれたって」
「本当ですか!?それは良かった......」
「そういえばポニーテールにしたのね、似合っているわ」
「ありがとうございます!色々変えて見ているんですよね!」
「あっ!あー!そういえば今日私の誕生日なんですよ!」
「えっ!もうそんなに時間が経っていたの......というかぁ敬語やめてよね!もうそう言う中なんだし......それより出会った時から敬語はいらないと思っていたけど」
「そうで......そう?慣れないなぁ」
と2人は空中で笑い合う。
「実は......プレゼントと告白をあなたにしようと思っていたの」
と赤面する九条に。
「じゃあ、もう二つとも貰っちゃったね、告白と
と笑う貴音に未来ら見惚れていた。
「そういえば、いつから好きになってくれていたの?」
「......助けられた時から
と言ったものの未来が恥ずかしくなってきたところに。
「嬉しいよ、こんな......私を愛してくれてありがとう」
そう言いながら九条の顔に手を添えて空中で再び愛を確かめた。
――――――――――――――
宗教団体アフターメテオ本部 同日AM10:00
「今日は偉大なる教祖様の誕生日!」
「地球に隕石という裁きが降る時に更生した我々を生かしてくださるとおっしゃられた我らが人類を卓越し偉大にて最強のアースブレイカー様!!!」
「我らが
「メテオブレイカーなどと言う不届者に裁きを!!」
そう大勢の信者達が叫ぶ方向に、浮遊する赤髪のツインテールで低身長スレンダーで緑と橙のオッドアイの女が1人いた。
「鎮まりたまえ!......確かにメテオブレイカーは私の姿を模倣し名前まで真似したガラクタよ!そのうち直々に裁きを与えてやろう。だが、今日は私の誕生日だ!忘れ祝おうじゃ無いか!騒いでヨシ!盛大に祝おうぞ!」
そういうと信者達は湧き上がり会場は熱気と狂気に包まれた。
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