無能だと捨てられた従魔〜進化し得た力で世界最強に!!〜
狐の剃刀
はじまり
第1話
(あぁ俺は死ぬのか…)
俺、レッサーサーペントの
鬱蒼と生い茂った木々に遮られ陽の光が届かず辺りは暗い。大きな鉤爪の様な手で攻撃され胴体には深い傷を負っていた。止め無く流れていく血は地面を汚し俺が"あれ"からまだ逃げ延びている証だ。
爪に毒でもあったのか傷口は黒ずんでおり壊死している。壊死の範囲は時間と共に広がっている為"あれ"に殺されるか、幸運に恵まれ逃げ延びても全身に壊死が広がり死ぬか。…どちらにしても死は免れない。
星辰の痛覚はもう機能していない。血を失った貧血感と徐々に体温を失っていく感覚しか感じられなかった。
それ故か恐怖心は無く只々自分の運の無さと弱いことを後悔だけを感じていた。
(もっと俺に力が有れば…)
そんな事を思っている俺を"あれ"は空から見下す。
それは使い魔である俺を捨てた2級冒険者でも敵わないと一瞬で認識した強力な魔獣であった。
この漆黒の森は『D級』に相当する魔物しか居ないはず…難易度で言うと下から3番目だ。
初心者でもパーティーを組めば攻略するのは難しく無いのだが、目の前にいる敵は違う。
鷲の様な大きな羽根と上半身に毛並みの良い獅子の体、鋭い鉤爪は光を反射して輝いている。
2つの眼は鋭い光を宿しており俺を見つめている。
その姿は紛れもなくS級の魔獣『グリフォン』であった。
(あの威圧感にこの魔力。そして何より絶対的な雰囲気。やはりS級の魔獣!…何故こんな所にいるんだ!グリフォンといえばS級の山…天宮山に住んでいるはず!…クソっ!あぁ視界が霞んで来た)
視界が霞む中何故こうなったのか思い出す。
レッサーサーペントというC級のつよさをもつ魔物として産まれたが俺は違った。俺はスキルが無かったのだ。だから仲間に蔑まされ虐められながらも生きてきた。
俺は仲間を見返したいという気持ちだけを持ち戦ってきた。幸いにも俺は魔力は持っていた。しかも闇属性という珍しい属性だ。そんな闇属性をもつレッサーサーペントがいると噂になったのか俺を捨てた冒険者…コージーは逃げる俺を捕まえて強制的に使い魔にさせられた。だけど使い魔になれば最低限は生きていけると思っていた。
だが結果はこれだ。
蜥蜴の尻尾切りとして捨てられた。魔力も使い果たし死にかけている。
(仲間を見返すことが出来ない上に捨てられた!何で俺ばかりが不幸なんだ!何で!)
(クソクソクソ!全員殺してやる!呪っやる!呪ってやる!呪ってやる!)
星辰は空にから降りてきたグリフォンに巻き付き締める。
しかしグリフォンには鬱陶しい虫纏わりついているとしか思っていないのか俺の尾を引き千切り頬張る。
(ーーーッッッ)
体の一部を喰われたショックに耐えながらも締め殺そうとする。
だか次第に大量出血と壊死の範囲が広がり力を失ってきた。もう目は見えない。感じるのは目の前にいる強力な敵には敵わない事だけだ。
(もっと俺に魔力があれば…スキルがあれば…強ければ…)
俺は後悔しかまだしていない…こんな所で終われない!
もしかしたら目の前の強敵を喰えば新しい力が…スキルが身に着くかもしれない…だって俺たち魔物は敵を喰えば喰うほど強くなる。そう思い殺したい。呪いたい気持ちだけで俺は動く。最後の力をを振り絞り俺の事を嘲笑っているグリフォンの首筋に噛み付いた。
『ガァァァァァァァァィァッッッ!』
どんどん牙を食い込ませていく。そして噛みちぎった。
ーーー旨い。今まで食べてきた中で1番美味かった。
『ガァァァァァァァァァァァァッッッ!』
グリフォンは怒りの咆哮をあげる。
馬鹿にしていた虫ケラに自分の首筋を噛みちぎられたのだ。
グリフォンは体を捩らせ俺の拘束からそのまま吹き飛ばす。
もう力が残っていない俺はそのまま地面を転がり木にぶつかる。
(呪う。呪う。呪う。呪ウ。呪ウ。ノロウ。ノロウ。殺してやる殺してやる!呪ってやる!)
そんな事を考えていた時体に異変を感じる。
(ーーーあっ?)
俺の様子が可笑しいことをグリフォンも感じたのか俺から離れる。
(ーーーー頭の中に声が響く)
ーーー《規定レベルを超えました。アークサーペントに進化します。》
ーーー《成功。規定レベルを超えました。コブラに進化します。》
ーーー《成功。規定レベルを超えました。大蛇オロチに進化します。》
俺の肉体が変化していく。
ーーー《進化に伴い魔力向上と闇魔法の強化がされました。》
魔力が漲る
ーーー《常軌を逸した呪いの感情により、呪王じゅおうの資格を得ました》
呪王…???
ーーー《大蛇・星辰に呪王のスキルを授けます》
ーーー《成功しました。》
ーーー《大蛇・星辰にスキル「共食い」を授けます。》
ーーー《成功しました》
ーーー《スキル 魔法詠唱省略を授けます》
ーーー《成功しました。》
ーーー《進化成功報酬としてスキル「超回復」「状態異常耐性」を付与します。》
ーーー《これにて存在進化を終わります。》
俺は力が流れ込むのを感じた。
(何故だろう。目の前の敵が弱く感じる。)
グリフォンに向かい闇魔法「終焉」を放った。
俺が放った魔法は空間を歪ませながら進んでいく。
そしてグリフォンに直撃し跡形もなく消滅した。
グリフォンの消滅と共に俺は力の反動か、疲労か眠くなる。もう抗う力は残っておらずそのまま意識を闇に落としたのだった
ーーーこの日は後に
○
暫くして星辰は目を覚したのだった
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