第4話「褐色の大男」

カスティニャダ達の眼前に位置する※注1)ヤナクナ達は、褐色の大男に抵抗する間もなく切り刻まれた。


大きな爆発音が聞こえ土煙が上がると、ヤナクナ達が四方八方に吹き飛ばされていった。


土煙の中から大男が姿を表すと、瞬く間にカスティニャダ達に詰め寄ってきた。


ゴン!


カスティニャダはなんとか大男の一撃を受け止めたが、凄まじい威力により防御の体制のまま身体ごと後退りさせられた。


カスティニャダ「金の大斧?いや音からすると・・

おそらく石斧か?

こんな武器で鋼の剣と渡り合えるのか?」


カスティニャダ「確かにキレのある太刀筋だ。こいつは化け物だ。」


カスティニャダ「ヤナクナ以外は距離を取れ。」


カスティニャダは、ヤナクナ達を残し他のスペイン人を下がらせる。


そしてロレンツォも去ろうとした。


カスティニャダ「・・お前はいろ。」


ロレンツォ「僕ヤナクナじゃないですよ?」


カスティニャダ「あのなぁ・・」


そうしている間にもヤナクナ達が、大男の斧の餌食になっていく。


ブンブン


大きな斧を振り回す音が聞こえた。


大男が再び2人に迫ってくる。


カスティニャダ「きたぞ!」




キンキン、ゴッゴッ


ロレンツォが攻撃を繰り出し、

大男の反撃をカスティニャダが受け止めた。


時にはロレンツォが身を回転させながら攻撃をいなし、

そのまま突きに転じる事もあった。


カスティニャダとロレンツォが2方向から同時に攻撃を仕掛ける事もあったが、

大男は人とは思えない反射速度で防いでくる。


カスティニャダ「カンがいいな。

急所を的確に狙うロレンツォの攻撃を確実に防いでいる。」


カスティニャダ「しかも、俺達の武器は奴にとっては未知のもののはず。

ここまで順応してくるのか?」


カスティニャダとロレンツォは何合にも渡って大男と攻防を繰り返した。


攻防の精度がまるで落ちない相手の無尽蔵の体力に、

カスティニャダは焦りを感じていた。


切迫した雰囲気の中、突如緊張感のない声が聞こえてきた。


「大丈夫ですかー?」


パカラ、パカラ



馬に乗った青い目の男、エレロという者がやってきた。


彼は褐色の大男を見るなり、カスティニャダ達に言った。


エレロ「あれ、こいつ敵の大将ですよ・・」


ピクンチュ兵「で、出た、、例の化け物が現れた!」


エレロのルックスを見て、ピクンチェ兵が狼狽しだした。


ピクンチェ兵「気をつけろ!化け物があらわ・・」


ピクンチェ兵が最後まで言葉を言い終わらないうちに、

カスティニャダは非情な刃で相手を絶命させた。


エレロ「ん?皆さんどうしたのですかね?私有名人なのでしょうか?」


ロレンツォ「さぁ・・」


カスティニャダ「しかしエレロの話が本当だとすると、

こんな前線まで向こうの指揮者が来ているのか?舐められたもんだな。」


ロレンツォ「いや、たぶんこの人達ただの脳筋なんじゃないんですか?」


エレロ「とりあえずアルバラド様に報告してきまーす。」


※注1) ヤナクナとは、南米で主にスペイン人たちに使役される立場にある者たちの総称


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