第3話「優しさ」

-アルバラド軍右翼-

カスティニャダ軍とピクチェ族の戦闘が開始された。


カスティニャダ「奴らの武器は時代遅れにも程があるな。」


カスティニャダの呟きに対し、

鋭い剣捌きで、標的を殲滅していく

甘い顔の若者が口を開く。


ロレンツォ「あんな武器で攻撃されるの嫌だなぁ。」


カスティニャダが力強い一撃で、相手を無力化する。


カスティニャダ「ん?ロレンツォともあろうものが何言ってるんだ?」


ロレンツォの眼前に斧が迫る。


彼は難なくそれを躱し、相手を一突きし血飛沫が上がる。


ロレンツォ「レイピアは相手にとても優しい武器じゃないですか。」


ドシュッ


ロレンツォが、また一突きで相手を絶命させた。


ロレンツォ「こんな感じで。」


カスティニャダ「ふん、戦場へレイピアなんぞ持ち出して、戦う奴の気がしれん。」


ブン!


カスティニャダがピクンチェ族を切りつけた。


ピクンチェ兵「ギャー」


ピクンチェ兵が悲鳴をあげて身悶えしている。


そこへロレンツォが一刺しを加え、声を黙らせた。


ロレンツォ「カスティニャダさんのその剣で叩かれでもしたら、

長い間痛い思いをして死ななきゃいけないんですよ。」


カスティニャダ「ふん。

俺にとっては、貴様の攻撃の方が、鳥肌が立つほど残酷に映るがな。」


ボトッ


ロレンツォが何かを落とす。

ロレンツォ「あ、大事な本が!」


ロレンツォが屈んだ所に、ピクンチェ兵が襲いかかる。


しかしロレンツォは、いつの間にかピクンチェ兵の背後に周り、素手で相手の首をへし折り絶命させた。


カスティニャダ「その本は フィオレ・ディ・リベリの【戦いの花】か。

戦場にまでそんな物を持ってきているのか。」


ロレンツォ「リベリはイタリア人だけど素晴らしい方ですよ。

彼は剣術だけでなく、体術まで網羅してて、その幾つかの技には優しさが溢れてますよ!」


ロレンツォは、満面の笑みで得意げにカスティニャダに語った。


カスティニャダ「リベリは認めるが、皆がお前のように一撃で相手を屠る事はできんのだ。

そんな事にこだわってると、その内死ぬぞ。」


ロレンツォ「そうですかねぇ。」


!?

ロレンツォは褐色の大男の得物を見て、驚いた。


ロレンツォ「うわーあれは・・カスティニャダさんの剣より痛そうです・・」


ロレンツォが指を指した先には、褐色の大男が巨大な斧を携え仁王立ちしていた。


ボン!



カスティニャダ軍の甲冑を着た兵が真っ二つにされた。


ロレンツォ「えっ・・すごい切れ味ですねぇ。

優しい。

と、こちらに向かってきますよ。」

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