第4話 森での出会い

私は大樹をあとにしたあと、さっそくティアリスに提案された魔法でいつ羽とアウレオラが出現しても誰からも触れられず見られないようにした。

「久しぶりにこの魔法使うから緊張する〜」

服の時と同じように手の先に魔力を注ぐ。

そうすると、私の体が白い光に包まれる。

数秒後光がなくなり魔法が完了する。

これでいいかな?

数時間くらい森の中を歩いていると、どこからか声が聞こえた。

耳を澄ましてみると、どこからかカン!キィンッと金属が叩かれる音がした。

剣の音がする…!!

誰かが戦ってる?

行ってみよう!!

私が走り出そうとすると、背中の方から叫び声が聞こえた。


「きゃあー!!!助けて!!誰かっ!!」

何やら助けを求める少女の声?

何が起きてるの?

こっそり草の影から見てみると

「グァォオッ!!」

熊だ!!それもただの熊じゃない…青い!!サイレントベアーだ!!

サイレントベアーは水色の毛並みを持っていて、普通の熊よりも段違いで強い。

サイレントベアーの前に5、6歳のミルクチョコレート色の髪をした少女がガクガク震えながら座り込んでいた。

サイレントベアーは鋭い爪を少女に振りかざした。

!!危ない!!

[止めて!!]

私がサイレントベアーに伝える。

そうするとサイレントベアーはピタッと動きを止めた。

「どうしたの?あなた達サイレントベアーはいつもは温厚じゃない」

私がそうサイレントベアーに問いかけると、サイレントベアーはくぅ〜んと悲しそうに言った。

『だ、だってこの子が僕たちの住処に勝手に入ってきて…何度も大声で叫ぶから…』

ああ…そういうことね。

「ちょっと聞いてくるね」

私はサイレントベアーにそう伝えてまだ震えている少女に質問した。

「ねえ、あなた。なんであなたみたいなちっちゃくて可愛い子がこんなとこにいるの?」

私は少女が余り怖がらないように聞いた。

「マロンと遊んでたら…マロンが……この中に入っちゃって…、それで…追いかけていたら見失っちゃって…迷子なっちゃ…ってぇ…」

少女のはちみつ色の瞳に涙がたまり、溢れてしまった。

「そっか…マロンが心配だったんだね…」

きっとマロンとはこの子が飼っているペットのことだろう。

そして、私は少女にサイレントベアーの言ってたことを話した。

「サイレントベアーってね、静かに暮らすのが好きなの。ゆっくりお昼寝してたら、あなたが大声で探していたからビックリしちゃったんだって。」

そう言うと、少女は目をまん丸にした。

「そうだったの?お昼寝してたのね…!!」

少女の頭を撫でてから私はサイレントベアーにそのことを話した。

『そうだったのか…ボク…ひどいことしちゃった!!ごめんね…!!』

サイレントベアーは悲しそうに少女に頭を下げた。

「この子は今ね、ごめんねって言ってるの。許してあげてくれる?」

私が少女に言うと少女は笑顔になって頷いた。

「うん!!もちろん!!私もうるさくしてごめんなさい!!許してくれる?」

『もちろん許すよ!!』

サイレントベアーはワフッと嬉しそうに言った。

「許してくれるって!!」

私が少女に伝えると少女は嬉しそうにサイレントベアーに駆け寄った。

「わーい!!ありがと〜!!」

ポフッと音をたててサイレントベアーに抱きついた。

かっ、可愛いいいい!!

「ところで、なんでお姉ちゃんはこのくまさんと喋れるの?」

少女は不思議そうに首を斜めにコテッと少し傾けた。

「ああ、私は獣精霊からの加護があるからね」




加護とは、この世界を創り私達生命を産み出した大精霊や創世の神から稀に貰える力だ。

私が死んだ(?)ときの神の座はこの世界での神の座としてあるだけで加護を与えられるほど地位はない。

簡単に言えばこんな感じ。

大精霊・創世の神>神獣>神の座>私達

という感じ。

神獣とは、創世の神や大精霊の力を持つ獣。

神の座に着いたものは私達全種族の代表になり、世界を変えられるほどの権力を有する。

って教わった。

まあ、つまり………全部創世の神達の気まぐれだ。




「わあ〜!!凄い!!お姉ちゃん加護持ってるの〜!?」

少女が目をキラキラさせながら私を見つめている。

可愛い〜!!

「い、一応…ね。………持っててもいいことなんて…」

そう言うと、昔の記憶が蘇ってくる。

『加護持ちだってぇ?どんな加護持ちでも、お前の居場所はないよ‼』

おばあちゃんから言われた言葉がまだ頭の中に響く。

加護を持っていたっていいことなんて…ないよ。

「うん〜?どうしたの?お姉ちゃん?」

はっ!!少女の前だった!!

「あっ!!、そ、そそそう言えば〜あなたの名前聞いてなかった!!名前はなんて言うの────」

「メルネット様!!ご無事ですか!?そ、そこの女何者だ!?誘拐しようとしているのか!?」

え?誰?てか何ー!?

ボロボロな姿をした白髮で少し達者なヒゲが生えてる50代後半くらいの男が突然現れた。

きっとさっきの剣の音はこの人が戦っていた時の音…かな?

そう考えながらフリージアは思った。

こ…この人、サイレントベアーほどじゃないけど、人間族の中では結構強い!!

「チトーリ!!このお姉ちゃん凄いの‼聞いて聞いて!!」

メルネットと呼ばれたこの女の子は嬉しそうに話している。

「メルネット様!!一国の王女であらせられるお方がすぐ簡単に人を信用しないでください!!」

え、オウジョ?

「お、王女!?」


いまこの人…王女って言った!?

え、マジで!?

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