第2話 始まり

私は天性の戦闘の才があった。

しかし、戦闘が得意というだけで一族から嫌われ、友達の二人は死んで、もう一人の友達は私を殺し、神の座についた。

まだ頭から離れない…あの子の声…

『アハハハハッ!!!馬鹿な子!!まだ私のこと信用してたの〜?フフッだから裏切られるのよ!!この、いい子ぶりっ子ちゃ〜ん?そうゆうところ大嫌いッ!!』

まだ…笑い声が聞こえる…。

もう…真っ暗だ…。

今までたくさんの人を殺してきた。

次は……私の…番…なの…?

戦で沢山の同胞、沢山の人々を殺してきた。

きっと、報いのときなのね…



そう言えば聞いたことがある。

天神族の…輪廻転生の話…。

とある天神族の少女が死んでまた数千年後に生まれ変わる…そんな物語。


もし、もし…本当なら……次があるなら…次は…みんなと…平和に…








チュンチュン

鳥の…声?鳥が歌ってる?

鳥の歌声なんてもう何年も聞いてなかったのに…。

私がそっと目を開くと、辺り一体が緑の木々で覆われていた。

私…死んだはずじゃ…?

「なんで…」

…ん?なんか、声高くなってる…?

「あーあー」

やっぱり高くなってる!?

自分の身体をペタペタ触ると

「っ…!?ち…縮んでる…!?ていうか…小さくなってる!?てか服ボロッ汚っ!!」

よく見ると泥や血で汚れていたり穴が空いていたり、腕のところが切れていたり…とにかく汚い。

昔の戦場でもこんなにボロボロじゃなかったよ…。

「んー一応綺麗にしとくかー…」

私が手の先に少し魔力を注ぐ。

すると、私の服が白い光に包まれ少しだけ膨らみ揺れる。

光がなくなると、泥や血の汚れは綺麗さっぱりなくなっていた。

流石に服の切れた部分などのない部分を生成するのは面倒なのでこのままにしとく。

次の問題だ。

私は67歳だったはずだ。

16さいから戦場に出てそれから約50年間ずっと戦い続けてきた。

でも、見て触る限り頑張って高く見積もっても11歳だ。

「…!?羽が…ない!!アウレオラも…!!」

天神族は16歳になると背中に羽、頭の上に天使の輪っかのようなもの(アウレオラ)が出現する。

(ちなみに成人は70歳!!天神族は長生きで20歳から成長が止まることが多い。それまでの成長スピードは人間族とほとんど一緒だ。私がおばあちゃんってわけじゃないから!!)

羽は空を飛べるようにして、アウレオラは仲間との通信機のような物だ。

ないってことは…これは別の人の身体なのか、私の身体でただただ幼少期の頃の身体にもどっているだけなのか…

とにかく、この身体が私の身体なのか確認しなくちゃ!!

「池…池…!!あった!!」

キョロキョロしていたらちょうど水溜りを発見した。

そこに映ったのは昔良く見た小さい頃の自分の身体。

「…!!…私の…身体だ…」

あのお話は本当だったの?

でも…あのお話は輪廻転生の話…。魂を残して体が生まれ変わる話なのに…。

まあ、いいか…まだ終わってないんだから。

ホッとする気持ちと、残念な気持ちがあった。

こんな嫌われている身体…あっても嬉しくなんて…

…!!ダメダメ!!ポジティブ思考だよ!!

誰かの身体だったら申し訳ないし…!!自分の身体で良かったー!!

「とりあえず…。ここ、どこー!?」

ここは私の記憶にない所だ。

似てる所なら知ってるけど…そこはこんなに静かではないし、明るくもない。

どどどどうしよう!?

羽がないから飛べないし!!

ここがどこなのか聞ける人もいない。

とにかく、情報収集から始めよう!!

知りたいことが沢山ある。

こんな平和なのはなぜか。

ダリアはどうなったのか。

なぜあんな事をしたのか。

私はどうなっているのか。

大戦はもう終わったのか。

その他沢山!!

まあとにかく情報源がないと…

「大きな木とかないかな……あった!!」

私は大樹を見つけた。

ラッキー!!目印になる場所発見!!

天神族の集落は、大樹の近くにあることが多い。

私が産まれた所は天神族のほとんどが集まっていたけど、すべてがいたわけじゃない。

もともと人間界で過ごしていた人もいる。

もしかしたら私と同じ天神族がいるかもしれない!!

「でも…話聞いてくれるかな…」

私は嫌われ者だ。

きっと住んでいる場所は違っても、天神族の考え方は変わらないだろう。

行った所できっとすぐ追い出されるかも…。

ううん!!考えても無駄だね!!とにかく情報が必要なんだから!!

私は大樹に向かって歩いた。


これからどうなるんだろ…

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