帝国の黄昏
ゲルマン族との戦いは長期化し、ローマ軍は徐々に追い詰められていった。
「ルキウス将軍、ゲルマン族の軍勢が再び長城に迫っています。我々の兵力では、もはや防ぎきれません!」
部下の報告に、ルキウスは歯噛みした。
「マルクス・アウレリウス帝に援軍を要請し続けているが、ゲルマン族との戦いに忙殺されているようだ。我々はここでローマの運命を背負うしかない!」
ルキウスの瞳からは、もはや涙は消えていた。そこには、ローマを守るための強い決意が宿っていた。
「ルキウス将軍、あなたは傷ついています。ここは私が指揮を執りましょう」
ルキウスの副官であるアエリウスが申し出た。
「アエリウス、君の忠誠心に感謝する。しかし、私はまだ戦える。ローマを守るために、ここで倒れるわけにはいかないのだ」
ルキウスは剣を握りしめ、長城の最上部に立った。
「ゲルマン族め、ローマの平和を乱す者は許さん! ここを越えるというのなら、我が命をかけてでも阻止する!」
ルキウスの声が、長城の上にこだまする。ローマ兵たちは、ルキウスの姿に勇気づけられ、ゲルマン族に立ち向かっていく。
しかし、ゲルマン族の勢いは激しく、ローマ軍は徐々に長城から押し出されていった。
「ルキウス将軍、退却せねばなりません!」
アエリウスの声が、ルキウスの耳に届いた。ルキウスは長城の壁に手をつき、苦渋の表情を浮かべた。
「......わかった。ここは一旦退却だ。ローマの未来のために、我々は生き延びる!」
ルキウスの命令で、ローマ軍は長城から撤退を開始した。ゲルマン族の追撃をかわしながら、ローマ兵たちは南へと逃れていく。
ルキウスは、親友のカエサルの墓標の前で立ち止まった。
「カエサル、ローマは今、危機に瀕している。我々はゲルマン族に長城を越えられてしまった。しかし、私はまだ諦めん。ローマの守護者として、この帝国を守り抜く」
ルキウスは固く誓い、カエサルの墓標に手を添えた。
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