未確認バケモノ再上陸編
警報鳴り響く厚山市ともうひとつの力
昔むかし、あるところに箱根ダンという小学三年生の男の子がいました。
ダンは四次元生命体を看取った数か月後、両親を看取りました。
ダンは叔父に引き取られて引っ越すことになり、一番の親友であるリンや数々の友達と離れ離れになりました。
叔父の家には、自分よりもはるかに優秀ないとこがいました。
ダンは、叔父や叔母によって、自分の至らぬ点を徹底的に罵倒されました。
それでも彼は、ひとつの希望を信じて生き続けました。
『憧憬高校でまた会おう』
そんな約束を、ダンは引っ越すときにリンとしていました。
結局、ダンその約束を果たすことができませんでした。
ダンは、激しい自己嫌悪で絶望に溺れていきました。
■□■□■□■
ヴァアアアアアアアアアアアアアア……
3月4日18時、厚山市全域に警報がやかましく鳴り響く。
『ガガッ!ポッポマン上陸!むやみな外出は控えてください!』
警報は時々鳴りやみ、代わりにポッポマン上陸を伝えるアナウンスが流れる。
同盟国による無人戦闘機の空撃すらものともせず、ポッポマンたち9体のバケモノは上陸してしまった。
人々は家の中で隠れて怯え、自分たちがバケモノの恨みを買わないことを祈ることしかできなかった。
そんな中、厚山県病院と中にいる人々はかつてないほどに焦りを見せていた。
「ここは高確率でポッポマンが来ます!軽症の患者さんは今すぐに避難を!」
院内に常駐していた警官が避難指示を出す。
院内に警官がいるのは、この病院がポッポマンに襲撃される可能性が以前より予測されていたためである。
なお、避難に関しても軽症の患者は数日前から転院し始めており、すでに半分以上が四州各地の病院に移されている。
もちろん、リンを含めた無傷及び軽症の生存者もすでに別の場所に避難済みであった。
「あっ……ああっ……あっ……」
病室にて、サイレンを聞いた鎌倉ネリがポッポマンの襲来を察知し、怯え始める。
彼女を含めた重傷だった生存者6名はいまだ、転院が終わっていなかった。
「そういえば、この中でまだ動画サイトのアカウントが生きているヤツはいるか?」
上陸後、ダンが変身を解除した8人の眷属に問いかけると、モブ2こと脇田ヤクマルが自身のスマホをかざす。
「よし……ちょっと今から生配信の準備をしろ。アップロードの時間すらもったいない」
ダンの指示にしたがい、ヤクマルは自身のアカウントで生配信を始め、スマホのカメラをダンの方に向けた。
「ヒトカスども!俺たちは今から、3月1日の食べカスを回収すべく県病院に向かう!」
ダンが視聴者を怖がらせるべく、わざと普段よりも凶悪な顔をし、犯行声明を述べ始める。
「もしもポッポマンの力が欲しいヤツがいたら、僕と共に県病院を襲撃するのだ!そうすれば、力がもらえるかもなぁ!これで生配信終わり!切ってくれ」
ダンの指示に従い、ヤクマルは生配信を終わらせた。
■□■□■□■
自宅のテレビでポッポマン上陸のニュースを聞いた直後、私の視界には半分だけになった公園とかつて出会った謎の生物『ポガステア』がいた。
しかし、ポガステアの身体は9年前に見たときと違い、右半分がなくなっていた。
「ここはいったい……」
『ここは、キミの心の中だ。そして、私はキミが持つ力みたいなものだ』
「わけが……わかんないよ。それはともかく、久しぶり……」
『こっちこそ久しぶり、丸山リン』
もうひとつの力が、目覚めようとしていた。
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