ヒーロー気取りなバケモノ

ドンッ!

ドンッ!


 ビルの屋上からポッポマンとスラッシュが飛び降り、地面に着地する。


『バケモノがヒーロー気取りとはな!』


『ンギイイイイイイッ!!』


 ポッポマン、鈴鹿の挑発にブチ切れた!


 ドス!ドス!ドス!ドスンッ!


 ポッポマン、銃を撃たれる前にボーンロイドを4体破壊する!


 ブチィ!


 スラッシュ、尻尾をちぎって握る!


『では、オレも斬らせてもらうぜ』


 ジャッキイイイイイイン!


 スラッシュ、周囲5体のボーンロイドを真っ二つにしてスクラップへと変えていく!


 その中には、鈴鹿が操作するボーンロイドもあった。


『我が主よ、上を見ろ!』


 ズドドドドドドドドン!


 無名のバケモノが忠告したとき、飛行に特化した飛行型ボーンロイドによる上空からの連続銃撃が開始される。


『ングィイイイイ!ンギィ!ンギィ!』

『この距離ではポッポマンも俺も届きそうにないなぁ。アンタはいけるか?』


 ポッポマンは空の機械が壊せないことにいら立ち、スラッシュは無名のバケモノに助けを求める。


『安心したまえ。私には糸がある。それと、これから私のことは「ワイヤー」と呼んでいただきたい』


 テレパシーを通じてそう言うと、無名のバケモノ改めワイヤーは両腕を空中にいるボーンロイドに向ける。


『カンダダンガン!』


 バシュッ!


 そして、テレパシーを通じて思いっきり技名を叫びながら、両腕から勢いよく糸を発射した。


『ギッ、ガガッ、ギーーッギギッ!』


 糸がプロペラ部分に絡まったことで、飛行型ボーンロイドの動きが阻害されていく。


『ダメ押しでもう一発』


 バシュッ!


『ギッ、ガーーーーーーッ!』


 ドンッ!ドトン!


さらに糸がからまった飛行型ボーンロイドは、飛行が維持できなくなり地上へと落下した。


 グシャッ!グシャッ!


『いいね!邪魔なメカぶっ潰してくれてありがとう!』


『賞賛の言葉、まことにありがとうございます。今後も貴方のために尽くします』


 ポッポマンもとい箱根ダンが珍しく他人をほめる。


『さてと、そろそろ撤退しようかね』


 スラッシュが提案を出した直後。


「「「動くなぁあああああ!!」」」


 今まで物陰に隠れていた生身の警官がポッポマンたち3体のバケモノを取り囲み、銃を突きつけた。


『おいおいおい……生身でバケモノ退治とは、九国の警官は血の気がおおいねぇ……』


 あまりに無謀な行為に対し、スラッシュが悪態をつく。




『ヒトカスどもよ、命がおしければその拳銃を捨ててここから逃げることだ。さもなくば我が主の昼食になるであろう』


 ワイヤーがテレパシーを通じて警官全員に警告を行う。


 そこには、少女のように怯えていた姿はどこにもなく、立派で堂々としたバケモノそのものであった。


 しかし、その警告を聞いて逃げ出す者は1人しかいなかった。


『警告はテレパシーで行った。どうやら彼らは蹂躙されたいようだ。行こう』


 ワイヤーが仲間2人に対してのみ、テレパシーで突撃を促す。


『ンギイイイイイイイイッ!』

 

「うおっなんだ急にイタアアアアアアアアアアッ!」


 早速、ポッポマンが警官の腰と両脚を泣き別れにする。


『いざ、参るッ!』


 ザシュッ!


「あがぁ」

「いだぁ!」

「あっ……」


 スラッシュを容赦なく警官を両断していく。


「ああ、やだぁ……やだあああああああああ!!」


 応戦していた警官の1人が、今さらながら逃げ始める。


『愚かな猿め、逃がすものか』


「うるさあああああああああああああい!」


 ワイヤーは警官にのみ大音量でテレパシーを送る。


 バシュ!


「ああっ……あばああああああああ!」


 警官はワイヤーが放った糸に絡まり、動けなくなった。


『でかしたぞワイヤー!これでおわりだぁ!』


 すでに他の警官を蹂躙し終えたポッポマンが絡まった警官のもとに向かい、拳を上から振り下ろす。


『急行拳!!』

「あが」


 グシャアアアアアアアッ!


 断末魔を言い終えることなく、警官は圧縮されていった。



 

 それからおおよそ1分後


『さて、こんどこそ撤収しようか。2人とも、俺についてこい』


 口に赤い液体がついたままのポッポマンが、眷属2人に指示をだす。


『ああ、そうだな』

『かしこまりました』


 2人は返事をし、すでに走り始めたポッポマンの後を追っていく。


 


 こうしてポッポマンたちは姿を隠し、現場に残ったのはロボットと人間の残骸のみであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る