父の異変

 父は2か月に一度の定期受診があった。父は介護タクシーが迎えに来てくれて、私は自宅から病院へ直行し、現地集合。


 難聴だが、90歳を過ぎて、杖もつかず、背筋を伸ばして歩いて診察室に入ってくる父を見て、いつも主治医の先生は「素晴らしい!」と褒めてくれていた。


 母が亡くなって3年目のある日、血液検査でCRPの数値がいつもより高くなった。

 これは、感染症や炎症がある時に高くなるらしく、先生が心配してくれたが、本人は特に変わりはないと言うので、抗菌薬を出してくれた。

 投薬で経過観察をして、後日改めて血液検査をすることになり帰宅した。


 その後、夜中にトイレに行く時、歩きづらくてつまずいた。翌日はしんどくてリハビリは休んだと連絡があったものの、次のリハビリには行くというから、ケアマネさんに状況を伝え、施設の看護師さんに診てもらえるようお願いした。

 が、大丈夫だと言って、その日もリハビリをしたらしい。


 数日後、いつものように病院で待っていると、父が車椅子に乗って、介護タクシーの人に連れられてやってきた。足に力が入らず、歩くのも覚束ないとのこと。


 血液検査も、CRPの数値がむしろ上がっていて、毎日点滴をした方がいいということで、そのまま入院。


 心配はしていたが、まさか歩けないほど弱っているとは思っておらず驚いた。

 何より父自身が、自分の突然の変化にショックを受けていた。

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