付きまとう兄貴の幻影…

(なんで涼音さんから兄貴の名前が…?別の高校だから接点はないと思うんだけど…。)

「えっと、兄貴が大地ですけど…なんで涼音さんがその名前を?」


涼音はやはりかという顔をして、


「いや、前に君のお兄さん、大地さんと付き合ってた時があってだな。あいにく大地さんが大学の進学と同時に関係は切れてしまってな。顔つきがそっくりだったので聞いてみようと思ってな」

「は、はは…そ、そうなんですね…」


一気にいやな感情が頭の中に広がった。


また兄貴か。告白も、一緒に帰るのも、手をつなぐことも、デートも、キスも…もしかしたらその先の事も…

ダメだ…気持ち悪い…吐きそうだ……


そんな嫌な思いが大樹の中を駆け巡っていた。

顔を青くしてふらふらしている大樹に、涼音は心配そうに声をかける。


「だ、大丈夫か大樹君!?顔色が悪いようだが…」

「は、ははは…大丈夫ですよ…すいません、今日はこのまま帰るので…」

「そうか…今日はゆっくりと休むといい。明日になったら、また元気な顔を見せてくれよ…」

「はい…お疲れさまでした…」


大樹は椅子からカバンを取り、ふらふらとした足取りで生徒会室を出た。

涼音はそんな大樹の背中を心配そうに見つめることしかできなかった。

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