遠足でローラースケートをして、見事に転び、左手の小指をしたたかぶつけた。

帰りのバスの中で小指を動かしてみたが、骨は折れてなさそうだった。

帰宅後、病院に行ったかどうかは覚えていない。

翌日はクラブの試合。

母は休めとも言わず、湿布もして、包帯キツめに巻いてるから、サポーターがわりになるでしょ、とばかりに普通に送り出してくれた。

ナースは突き指ぐらいじゃ心配しない。

集合場所に着いた途端、小指に包帯ぐるぐる巻きの私を見て、みんなは驚き心配してくれた。が、突き指の理由を話すと呆れられた。

利き手じゃないとはいえ、本当に大丈夫なのかと、顧問も心配顔。

とりあえずやってみますと、試合前の練習を始めると意外と大丈夫だった。

ナースの子も、突き指ぐらいじゃ騒がない。

ただ、試合中はやたらと左手を狙われた。

　やっぱり弱い所を狙うんだ……。

勝負に情けはないと実感しつつ、平気な顔してボールを弾き飛ばしていたら、みんなすぐに諦めた。

ハンドボールのキーパーは、指先ではなく手のひらの下半分を使うのだよ。

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