ナースへの反発
高3の頃、クラスを越えて男女ともに仲の良いグループがあった。
高校を卒業しても変わらず一緒に遊んでいた。
ある日の夜遅く、1人の男の子がバイクで事故を起こしたと連絡があった。
頭を打って、危険な状態だという。
みんな動揺して、居ても立ってもいられない私達は、とにかく病院へ行こうという話になった。
母にその事を告げると、
「あんた達が行ってどうするの」
と一蹴。
「看護師だからそんな冷たいことが言えるんだ! 私達の気持ちなんかわかってない!」
と反発する私に、
「邪魔になるだけだからやめておきなさい」
と母は冷静に諭した。
私は初めて、看護師の母を恨んだ。
そうこうしているうちに、友人達が車で迎えに来てくれたが、結局病院には行かず、事故現場に向かった。
みんな茫然としながら、無事を祈るしかなかったが、幸い彼の手術は成功し、後遺症も残らずにすんだ。
もちろん母の言うことは正しい。
けれど、母も知る友人の大事故に、あまりにも冷静に受け答えをする母が信じられず、日々生死に関わる仕事をしていると、あんなに冷徹になるものかと、少し恐ろしかったのも確かだ。
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