第38話(第一部最終話):前期最終日

「ギルベルト、大変よくやったぞよ。あのハデスルインを倒すとは、お主は相当の実力者じゃな。ここまで強い一年生は学園始まって以来じゃ」

「あ、ありがとうございます、シルヴァン先生」


 学園長たるシルヴァン先生から三つの"学園勲章"を貰うと、講堂がひときわ大きな拍手で包まれた。

 座席には一年生の他にも二年生が座っており、ニコラ先輩がさりげなく手を振ってくれる。 ハデスルインというS級魔物を倒したことが大変に評価されたのだ。

 "学年合同演習"は、結局あのまま終わりとなった。

 ミハエルが不当に召喚魔法を使用したことが明らかとなり、今までの悪事も併せて退学処分が下された。

 当然といえば当然の結論だ。

 俺も自分の席に戻ると、カレンとネリー、そしてルカが讃えてくれた。


「おめでとう、ギルベルト。あなたと一緒に戦えたこと、光栄に思うわ」

「置いて行かれないように、私も修行をもっと頑張ります」

「ボクだってギル師匠の弟子にふさわしい人間になれるよう、努力を続ける所存です」

 

 大事なカレンたちの笑顔が守られたこと、それが何よりの結果だ。

 さて、ここで自分のステータスを確認してみるか。

 ステータスオープン!



【ギルベルト・フォルムバッハ】

 性別:男

 年齢:15歳

 Lv:74/99

 体力値:9530

 魔力値:11070

 魔法系統:操作魔法(系統Lv9:/10)

 操作対象:①無生物 ②小動物 ③魔法(使用者が自分以外) ④人間 ⑤魔物 ⑥魔族

 称号:立派な貴族令息、早く死なないでほしい人No.1、死神が来たら喜んで守りたい男、大変な努力家、人間、常識破り、並み局部、異例の合格者、期待の一年生、半信半疑男、ボクの……師匠……、仲間思いの同級生、強い後輩、次こそは勝ちたいライバル(New!)、竜殺しの一年生(New!)



 レベルは74。

 Sランクに片足を踏み入れたってところか。

 体力値も魔力値も申し分なし。

 引き続き鍛錬を積んでいこう。

 やはり、一番の成長は操作対象に魔族が含まれたことだろう。

 まだ敵対したことはないが、魔族も操作できるようになったら、戦いの幅がグッと広がる。 目指す先は魔王の操作、そして作中最強だな。

 ちなみに、ムカつく後輩という称号は消えていた。

 ミハエルからの評価がライバルや竜殺しとは考えにくいよな。

 ……まぁいいや。

 称号は特になしということらしい。

 頭の中でステータス画面を眺めていたら、カレンにくいっと袖を引かれた。

  

「ねえ、帰ったらさっそく何をするか計画を立てましょう」

「勉強に遊びに忙しくなりますよ。ギルベルト様、有意義に過ごしたいですね」

「ギル師匠、休みの間も修行をつけてもらっていいですか?」


 明日からは夏休みが始まる。

 学園生活で一番といってもいいイベントだ。

 三人の言葉に、俺は力強く答える。


「ああ……もちろんだ!」


 せっかく手に入れた新しい人生、思いっきり楽しむぞ!

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