第3話 マリーローズ公爵家の次女、ナーシャ・マリーローズの誕生日パーティー

 主人公のハーレムエンドを得るために早速、動こうとしたのだが。


 俺は今、とあるパーティー会場に足を運んでいた。



「貴族の誕生日パーティーね」



 黄金に輝く光景、華奢なドレスを着る若い女の子たち。


 まさしく、ここはエデン、天国だ。



「ふふん………可愛い子ばっかりだな」



 アルドリヒ家は公爵家であるため、定期的に誕生日パーティーに呼ばれることがある。


 まぁ、ほとんどの場合はアルドリヒ家の甘い蜜をすすろとする者ばかりで下心満載なんだけどな。


 とはいえ、他の貴族の子供と会う機会も中々ないので許します。許しますとも!!



「クラウン、そろそろ主役の登場だ。準備しておけ」


「はい、父上」



 誕生日パーティーの前座が終わり、貴族の人たちは舞台の壇上に視線を集めた。


 そこにはいかつい体にパツパツの正装を身にまとうマリーローズ公爵家の当主、ジャズ・マリーローズが立っていた。



「今宵は娘の12歳の誕生日パーティーにお越しくださりありがとうございます。

みな様のおかげでこうしてまた共に祝えることがとてもうれしくあります。

早速ですが、本日の主役をお披露目しましょう。我が娘、ナーシャ・マリーローズです」



 光が一点に集中し、一人の娘を照らした。


 一切の濁りのないポニーテールの赤髪、真っ直ぐで真紅の瞳。幼い体ながらくっきりとしたくびれ。


 その雰囲気はほかの貴族に負けておらず、貴族たち全員を一瞬で虜にした。



「ナーシャ、行きなさい」


「はい、お父様」



 真っ赤なドレスコードを身にまといながら、真っ直ぐ歩き出し、そして俺の前で足を止めた。



「お久しぶりです、クラウン様」


「よくお似合いです、ナーシャ」



 そう、なんとナーシャ・マリーローズはアルドリヒ公爵家の長男、クラウン・アルドリヒの婚約者なのだ。


 そして、いずれ婚約破棄され、主人公ケインに取られてしまうヒロインの一人でもある。



「それでは一曲踊りましょうか」


「はい」



 そっと手を差し出し、ナーシャは優しく手を添えた。

 すると、会場内に音楽が流れ始める。



「それではみな様、誕生日パーティーを心ゆくまでお楽しみください」



 誕生日パーティーの本番は主役とのダンスから始まる。


 そして、その相手として婚約者である俺が選ばれたわけだ。


 俺の華麗なダンスに女の子もいちころだな。


 こうして、主役のナーシャとクラウンによるダンスが音楽に合わせて始まった。


 トントンっとリズムに合わせながら華麗にステップを踏み込み、周りの貴族たちの視線を集めた。


 そして、最後にバシッと決め、ダンスが終わった。



「ありがとうございました」


「こちらこそ」



 ナーシャはドレスのつま先をつまみ、貴族らしく頭を下げると、貴族たちから熱い拍手を送られた。



■□■



「はぁ…………疲れた」



 メインのダンスが終わり、俺は会場の外出て、外の空気を吸っていた。



「ダンスは嫌いじゃないけど、ああいうかたぐるしい場所は好きじゃないな」



 唯一、いいところは可愛い子がたくさんいることだな。


 きっとあの中から爆乳の美少女がたくさん生まれることだろう。



「ここにいたのね。探したわよ、クラウン」


「うん?これはこれは、今宵の主役のナーシャ・マリーローズ様ではないですか」


「それで言ったら、クラウンだって準主役みたいなもんじゃない!わ、私のこ、婚約者なわけだし…………」



 あら、可愛い。自分から婚約者なんて…………。


 これがいわゆるツンデレというやつだな。



「というか、その堅苦しいのやめて!」


「はぁ、所詮は準主役だ。それより主役が会場の外に出ていいのか?お義父様が心配するぞ」


「あんなどうでもいいパーティーにまじめに取り組むぐらいなら、素振りを1万回やった方がマシよ!!」


「公爵家のお嬢様がそれでいいのかよ」


「人のこと言える?」


「うぅ」



 ナーシャは幼いころより剣術を習い、それから剣に没頭する。


 その実力は今の俺の凌ぐほどで剣の天才なんて呼ばれているらしい。


 本当に公爵家のお嬢様かよ。



「はぁ、もう少しおしとやかだったらな」


「なに?なんか言った?」


「いえ、なんでもないです」



 この気の荒い性格、嫌いじゃないけど、もう少し大人しいほうが自分好みではある。


 そうだなぁ。ああいった誕生日パーティーの時のお嬢様バージョンのナーシャは結構、いける。



「そうだわ、クラウン!今から一勝負ひとしょうぶしない?」


「え、なんで?」


「ちょうど、木刀を二振り持ってきてるのよ」


「いや、別にいいよ。そういう気分じゃないしってどこから出してるんだよ!!」



 ナーシャはドレスの下から木刀を2本取り出した。



「護身用に仕込んでるの。それより、勝負!」


「えぇ~~~」



 できれば、早く帰って作戦を立てたいんだよな。


 でも、どうせ。



「勝負!勝負しよ!ね!ねっ!!」



 一度、決めると中々引き下がらないのがナーシャなんだよな。


 …………そうだ!


 いいことを思いついた俺はナーシャにとある提案をした。



「わかった!」


「ほんと!?」


「ただし、もし俺が勝ったら何でも言うことを一つ聞く。この条件を呑むなら勝負してもいい」


「何でも!?へ、変態!スケベっ!!」



 ナーシャは顔を真っ赤にしながら叫んだ。



「な、なんでそうなるんだよ!!」


「男が要求してくることなんてやましいこと以外ありえないっお父様が言ってたんだから!」

 

「俺をそこら辺の男と一緒にするな!まあ、ちょっとやましいかもしれないけど」


「ほら、やっぱり!」


「いいじゃないか別に!減るもんじゃないし!それにこっちは勝負をしたくないんだから、ちょっとぐらい、いいも思いがあってもいいだろ!!」



 俺の言っていることは正しいはずだ。


 だってこっちには一切メリットがないのに、相手の要望を受け入れるなんておかしい。せめて、こっちの要望を一つぐらい聞き入れてもらわないと困る!



「うぅ…………わ、わかったわよ!ただし、一つだけだからね!一つだけ!!」


「よしゃぁぁぁっ!!!」



 と勝利のガッツポーズを決める俺はナーシャと勝負することになったのだった。



ーーーーーーーーーー

あとがき


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