第264話 新しい部活動
引退式が終わった後、先輩達は帰ったが、なぜか俺たちはファミレスに集まっていた。そう、笹川さんと達樹がバイトをしているファミレスだ。ここに集まるようにと立夏さんからみんなに言われたからだ。
ということで、交通手段はそれぞれだが、俺と陽春、立夏さんと冬美さん、上野さんと不知火が一つのテーブルを囲んで座った。
「珍しいわね、このメンバー」
笹川さんも俺たちのところに来て言った。
「立夏ちゃんが、これからのことを話そうって」
「そうなんだ。新部長、はりきってるね」
「はりきってるというか……逆に不安でみんなと話しておきたかっただけよ」
「そっか。じゃあ、スマホで注文してね」
「スマホ? 紙に書くんじゃ無いの?」
「QRコード読み込んでスマホで注文するシステムに変わったから」
「えー! ウチがやってた仕事無くなるじゃん!」
陽春がバイトしていたときには注文を取りに来ていたんだった。
「そうなんだよね。仕事少なくなったから、私もバイトのシフト減らすことになりそう」
「そっか」
「じゃあ、文芸部入って!」
立夏さんが言う。
「本読まないし、無理。じゃあね」
笹川さんは去って行った。
「うーん、部員増やしたいなあ」
立夏さんが言った。
「でも、今6人だし、もう良くない?」
「だって、先輩達居なくなったから寂しくなるし」
「まあそうだけど」
確かに寂しくなるだろうな。
「それで、話ってなんなんですか?」
上野さんが立夏さんに聞いた。
「そうね、今言ったように部員増やしたいってのが一つ。もし、誰か入れそうだったら誘ってみて」
「はい……」
上野さんは渋い顔だ。
「あら? 嫌そうね」
「嫌って言うか……今の文芸部が居心地いいので。変な人来たら嫌だなって」
「そうだけど、特に一年は二人だけだから、将来人数で苦労するわよ」
「まあ、そうですけど」
上野さんは不服そうだった。
「それと……創作活動を増やしたいと思って」
「創作活動? 部誌って事?」
陽春が聞く。
「うん、文化祭だけってのは寂しいなって。年に二回、できれば三回、部誌出せたら結構な活動になると思うんだけど」
「1,2年生だけで一回部誌を作るのがいいんじゃないかって。文化祭でいきなり部誌を作るのもちょっと恐いし」
冬美さんが言った。
「ウチは絵を描くだけでいいんなら賛成!」
陽春が言う。
「俺も賛成です。スポーツノンフィクションを書いてみたいんで」
不知火が言った。
「私もホラーのネタならまだまだありますし」
上野さんも賛成か。
「みんながいいんなら俺もいいよ」
俺も消極的だが賛成した。
「だったら和人君、小説書いてみない?」
立夏さんが俺に言う。
「え? 小説?」
「だって、和人君、たくさん小説読んでるでしょ。だから、書く方も出来るんじゃないかなって」
「いや、さすがにやったこと無いし」
「私もやったことなかったら大丈夫だって」
「和人の小説かあ。読んでみたい!」
陽春まで言い出した。
「うーん、俺が書くならSFかなあ」
「いいと思う。三上先輩のあとを継いでよ」
立夏さんが言う。
「……書くだけ書いて、ダメだったらダメでいいかな」
「もちろん!」
「やったあ! 和人の小説!」
「楽しみですね」
上野さんまで言った。
はあ、小説か。絶対無理だと思うんだけどなあ……
「へぇー、櫻井まで小説書くんだ」
気がついたら笹川さんまで横に立っていた。
「まあ、成り行きでね」
「部誌買うから楽しみにしてるよ」
そういえば、いつも買ってくれるんだった。
「う、うん。期待しないでね」
「で、なんで理子が居るの?」
陽春が聞く。
「いや、あんたたちがいつまでも注文しないからよ」
「あ、忘れてた! プリン、プリン!」
俺たちは慌てて注文を始めた。
それにしても小説か。先輩たちは書かなくていいって言ってくれてたが、立夏さんの頼みだと断りづらいし、書くしか無いなあ。
俺も新しい部活動が始まるな。
(とりあえず完)
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長くなったこの物語をお読みいただきありがとうございました。
文化祭までを目標としてきたので予定通りここでいったん区切りを付けたいと思います。
ここまで長くなるとは想定していませんでしたが、やりたいことを入れていったら長くなってしまいました。当初の予定とは異なる展開になったところもあり、自分でも書いていて面白くなる作品でした。
少し間を置いて、また書きたいことを貯めたいと思います。
新作ももう少ししたら発表するかと思います(いくつか書きためた作品がありますが、どれにするかが決まっていません)
「アリスとたっくん。ときどき黒猫」は現在も連載中です。https://kakuyomu.jp/works/16818093087542087803
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