第23話 文芸部帰り
俺にとって初めての文芸部の活動が終わり、陽春と一緒に帰っている。
「今日は大変だったけど、文芸部どうだった?」
陽春が俺に聞いてきた。
「うん、楽しかったよ」
俺は今日は部室の本を整理していただけだったが、読んでみたいと思う本も多く、これからが楽しみになった。
「そっか。これからよろしくね!」
「う、うん。俺も頑張りたい」
「うん! ウチも頑張る!」
陽春が俺をじっと見てきた。やっぱり、綺麗な顔してるよな。俺は照れてしまい目をそらす。
「あの、さ……」
俺は陽春に話しかけた。
「え、何?」
「俺って陰キャだからよくわかんなくて」
「何が?」
「その……男女の関係とか」
「関係?」
「うん、その……どこまで仲良くなったら付き合うとか」
「ああそういうことね。ウチはいつでもウェルカム! だから」
「そう言われても、そういうことして上手くいかなかったら今の関係も終わっちゃうし」
「そういうことって?」
「だから、さ。今日の部で話出ただろ。できれば、男からって部長が言ってたやつ」
「あー、告白ね」
「いや、はっきり言うなよ」
陽春がはっきり言ってしまったので照れてしまう。
「そっか……陽春は結構、告白慣れてるんだよな」
「え?」
「だって、言ってたろ。全部断ってるって」
「あー、そうだね。今までは」
「だよなあ。だからちょっと恐くて」
「えー! ウチの態度、わかってるよね?」
確かにこれまで陽春はずっと俺のことを好きなような態度を取ってくれていた。俺の勘違いでは無いと思いたいが、過去に勘違いしたことがある身としては恐いのだ。今のこの関係を壊すことが。せっかく、ここまで仲良くなれたのに。
「だけど、俺、ここまで仲良くなった女子、今まで居なかったから、さ」
「そうなんだ。嬉しい」
「でも、よくわかんなくて」
「うーん、我ながら分かりやすいと思うんだけど」
「ごめん。ヘタレで」
「いいよ。でも、どうしても和人からが無理なら……」
「いや、無理じゃないから。大丈夫」
「そっか。分かった! じゃあ、タイミングは和人に任せるから」
「うん。不安にさせてるかもしれないけど。俺はちゃんと陽春が好きだから」
「え? 今の告白?」
「あ! しまった! い、今の無しで!」
「フフ、和人はやっぱりかわいいなあ」
「やめろったら。はあ」
でも、どこかでしっかり告白したい。そういう機会を作らなくては。
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