第8話 月曜の朝
月曜になった。朝、俺は比較的早く学校に行く。まだ来ている生徒は少なかった。
「おはよう」
声を掛けられ顔を上げる。すると、それは2トップの1人・高井立夏だった。
「お、おはよう」
今まで特に挨拶されていなかったので俺は挙動不審になってしまった。
「どうしたの?」
「いや、高井さんに挨拶されると思わなくて」
「何か失礼ね」
「あ、そういうことじゃないんだけど」
「ふふ。この間はバスセンターで会ったね」
「あ、そうだったね……」
まずい、小林と一緒に声をかけたから怒ってるのかも。
「いつもあそこで遊んでるの?」
「あ、いや、小林が無理矢理、俺を引っ張っていっただけで」
「そうなんだ」
「う、うん。そうなんだよ。高井さん達に会ったのも偶然で……」
「そっか。私は偶然会えてちょっと嬉しかったな」
「え?」
そこに浜辺さんが教室に入ってきた。
「おっはよう! 諸君!」
相変わらず声が大きい。それを見て高井さんは自分の席に向かう。
「じゃあね」
「あ、うん」
俺が高井さんに言うと浜辺さんが近づいてきた。
「どうかしたの?」
「い、いや、何も無いよ。挨拶してただけ」
「ふーん。ね、今日、図書委員だね!」
「あ、そうだったな」
「忘れないでよね。一緒に行こっ!」
「お、おう」
「じゃあまた!」
浜辺さんとは明らかに先週よりも距離が近くなった感じがした。
それにしても高井さんはなんだったんだろう。今までも俺と話したことはほとんど無かったはずだが。
そこに小林と笹川さんが一緒に教室に入って来た。
「え、2人で一緒に登校したの?」
俺は驚いて言った。あれから、そこまで仲良くなったんだろうか。
「たまたま廊下で一緒になっただけよ」
笹川さんが不機嫌そうに言った。
「そ、そうか」
「櫻井、さすがにまだそこまで進んでないから」
小林が俺に言う。
「はあ? なにが『まだ』よ。あんたと進む予定無いから」
笹川が怒る。
「そう言わないでよ、理子」
「な! なんであんたに名前呼びされなきゃいけないのよ」
「だめ?」
「だめに決まってるでしょ」
「そっか。ごめん」
小林は凹んだようだ。うなだれて椅子に座る。
「……もっと仲良くなってからね」
「そ、そうだな!」
笹川の言葉に小林は元気になったようだ。分かりやすいやつだな。
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