第16話 怒り狂った白馬の騎士が私を襲おうとした将校を蹴り飛ばしてくれました

私がその将校に襲いかかられそうになった時だ。

「ルヴィ!」

私は最後の悲鳴を上げたのだ。



ダンッ


バシーーーーン


凄まじい音がして、私の頭上を鉄格子と後ろにいた男たちが全て飛んでいった。


立ってニヤニヤ私達の様子を見ていた男たちはみんな一緒に飛んでいった。


そのまま石壁に激突する。



私に襲いかかろうとした男だけが、その鉄格子がたまたま頭の上を飛んでいったので、当たらなかったのだ。


「何をしているのだ」

そして、地獄の閻魔の声もかくやと思われる冷たい声が響いたのだ。


「き、貴様は、どうやって拷問部屋から出てこれたのだ?」

男は後ろを振り返って叫んでいた。

「ルヴィ!」

私は喜びの声を上げた。そこには怒髪天のルヴィが立っていた。


「ふんっ、俺を捕まえようとするなど貴様らでは一万年早いわ。それよりもリナの上から退け!」

そう言うや、ルヴィは私の上にのしかかろうとしていた男を蹴り飛ばしたのだ。


ドカーーーーン

男は次の瞬間、砲弾のように壁に突き刺さっていた。


「リナ、大丈夫か」

ルヴィが私を助け起こしてくれた。


「ああん、ルヴィ、怖かったよ!」

私は思わずそのルヴィの胸に抱きついた。


まだ、何もされていなかったけれど、とても怖かったのだ。

ルヴィは私を抱きしめてくれた。


「すまん、いろいろ聞き出すのに時間がかかってしまって遅くなった」

ルヴィが謝ってくれた。


「ううん、有難う。助けに来てくれて」

私はルヴィにお礼を言った。私はホッとした。小説の中にルヴィはいなかったけれど、私の大切な騎士様だった。危ないところをいつも助けてに来てくれるのだ。

私はずっとルヴィについて行こうと思ったのだ。誰が何と言おうと……


「どうした?」

「何事だ?」

そこに音を聞いた、エンゲル軍の兵士たちが駆けつけて来た。


「消えろ! 雑魚は」

ルヴィの剣が一閃した。


ルヴィは一撃で兵士たちを葬り去った。


その剣筋にある壁も一緒に崩壊する。


「すまん。やり過ぎた」

そう言うと、ルヴィは私を片手で抱き上げてくれた。


「えっ?」

私は不吉な予感がした。


天井を剣で突き破ると、そのまま、ルヴィは飛び上がってくれたのだ。


何かエレベーターとか、ジェットコースターに乗った気分だ。ぐっと体が下に持っていかれる。

私、ジェットコースターは苦手だったのに!

「うっ」と胃の中の物が逆流しそうになる。


嘘!


そのまま地上まで一気に飛び上がると私が入れられていた堅牢な建物が崩れ去るのが同時だった。


ガシャーーーーーン


凄まじい大音響とともに崩れ去った。


「リナ、少しやるぞ」

「えっ、いや、私は降ろして!」

私はルヴィに頼み込んだのに、

「それは難しい」

ルヴィは一顧だにしてくれなかったのだ。


嘘! 頼むから降ろして!


そう思った時にはルヴィは剣を抜いて、駆けつけてくる敵兵に斬りつけていたのだ。

凄まじい速さで。

私を抱えているのに、ルヴィは何もないように動いてくれるのだ。常人を逸したスピードで……そんなの普通の人が耐えられるわけは無い。それもじっとしていてくれたらまだいいのに、飛んだり、走ったりしてくれるのだ。


いや、待って! 頼むから降ろして!

私の希望は一切聞かれることは無かった。

私は一生ついて行くと心に決めたことをとても後悔していた……




「おえーーーー」

私は胃液を吐いていた。汚い話だけど、どうしようもない。

私は元々ジェットコースターは嫌いではなかった。でも、学生の時にとある遊園地に行ったときに、エレベーター型の落下する奴があって、何故かとても空いていて、喜んだ私は友達と何度も乗って、耐えられなくなったのだ。

その時は体調が悪かったというのもある。

終った後に盛大に吐いてそれ以来、ジェットコースターは嫌いになったのだ。


なのに、ぼけルヴィは私の体を抱き上げて、そのジェットコースターなんて、目じゃない目に合わせてくれたのだ。ルヴィの動きに比べたらジェットコースターなんて本当におもちゃみたいなちゃちなものだった。あんな単純なもので吐いた私を今なら叱れる。


ルヴィは酷い。あんなの、普通の人間は耐えられるわけないのだ。

でも、戦いは本当に一方的だった。

ルヴィは圧倒的に強かった。

並みいる敵を次々になぎ倒して行ったのだ。


最後は敵は総崩れで逃げ出したのだ。


でも、おかげで、私はこうして吐くことになったのだ。


これだったらルヴィの服に吐いてやれば良かった。


ルヴィが戦っている最中は余計な事を考える余裕もなかった。



その時私の視界の端に港から出て行こうとする船が映った。


あれはここまで乗せられてきたツィツェのの船だ。


「ルヴィ、逃げていくわ」

私はルヴィに言った。何とか言葉になってほっとした。


「そうだな。一言の挨拶もなしに出て行くとはいい根性をしている」


ズンッ


ルヴィが剣を一閃した。


船の舳先が一瞬で消滅する。


「そこの船、直ちに止まれ」

魔術で声を大きく拡大して、ルヴィが叫んでくれた。


「何を言っている。そんな脅しが効くか! 船は付近にはこの船しかないのだ。絶対に沈ませることはしない。逃げるぞ」

風にのって伯爵の叫んでいる声が聞こえた。


「ふんっ、馬鹿な奴らだ」

次の瞬間、ルヴィが剣を一閃した。


ズン、


バキンッ


一瞬の事だった。


船が真っ二つに切断されたのだ。


二つに切断された船は乗組員を吐き出しながら沈んでいったのだ。


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