明日世界が終わるなら

「本当に、いいんですか?」


 あんたが興味を示し、立ち止まる店には一度入ってみる。今までも見てきたはずなのに、なぜか初めての感覚がするからだ。


「似合ってる」

「……ありがとうございます」


 魔物しか寄り付かない森に、あんたは裸足で地面に座り込んでいた。驚くでもなく、悲しむでもなく、ただ々眼の前に広がる状況を見ていた。


「でも、良いものをいくつも貰うのは、申し訳なくなってきます」


 僕の考えを強く言うつもりも無かったから、それに頷いた。


 店から出て、歩く。ふと、あんたは言った。「明日世界が終わるなら、どうしますか?」


 初恋を聞いてきたときにも思ったが、唐突に不思議な質問をしてくる。

 世界が終わる、か。不死とも言われるエルフに、世界が終わるならどうするか。

 文明が滅ぶ、そういった意味なのか。そうだとするなら、また新しいものが造られていくんだろうと思う。


 人間の寿命は短い、それゆえに、不思議な考えをするんだろう。


「あんたと、こうして、話をして想像をしたい」

「わたしも、そんな感じです」


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