第2話 ママの匂い

夜空に輝く月が、部屋の窓を照らしていた。


静かな時間が流れている中で、ただ二人の息遣いだけが部屋に響いている。


黒い髪をポニーテールに結び、月光に照らされた彼女は、まるで絵画の中から飛び出してきたかのように美しかった。


編み物をしているオリビア。


4歳か5歳ぐらいだろうか、傍らには空音がオリビアの編み物に使う毛糸を見ている。


毛糸は所どろ光っており、子供の空音には物珍しい様に見える。


オリビア「この光はね…、魔法の光なんだよ?」


空音「まほう……?」


疑問そうな顔を向ける空音。


オリビア「そう…。まほう。」


空音「……これ、なにしてるの?」


オリビア「空音が寒くならないように。寂しくて悲しくならないように…マフラーに編み込んでるの。」


空音「さむいのきらーい。」


オリビア「そんな事言う子は、冬も空音キラーい。」


空音「やだー」


オリビア「やだでしょ?だから空音が寒くないように、マフラー編んでるの。冬も別に空音に嫌われたくて、寒い風を出してるわけじゃないんだかね?」


空音「どうしたら、さむくなくなる?」


オリビア「暖かくしたらいいのよ、柔らかくてとってもポカポカね~。」


オリビアはマフラーを空音に巻きつける。


空音「……ポカポカになったよー♪ママの匂いがするー♪」


オリビア「空音。ママは空音が大好きよ、空音もママが大好きよね?」


空音「うん!すち♪」


すると空音はぱっと立ち上がり走ってオリビアに抱き付いた。


それをオリビアが受け止める。


オリビア「なら空音は、冬さんも好きにならないとね?冬は寒いけど……空音には、ママとパパが付いてるからね。」


空音「マフラーがあるからへーきだもん♪寒くない。」


オリビア「そうだね……」


空音は、頭を撫でられ愛を実感したようだ。


空音「ママ、だーいすき♪」


オリビア「愛してる……空音……。ずっと愛してるからね?あなたを愛してる人はいっぱいる。だから1人じゃないよ。」


空音「わかったー♩」


オリビアに抱き付く。


そんな空音を、優しく抱きしめる。


ママの匂いは、いい匂い。


優しくて、暖かくて、いつも手の平は、


ママの手の温もりがあった。


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ピピピピ♪


ピピピピ♪ ピピピピ♪


空音「うーー」


テーブルに置いてある目覚まし時計が鳴る。


ベッドから少女が必死に手を伸ばし止めた。


そして、ゆっくりと起き上がる。


カーテンを開く、空は晴やかな清々しい青空。


飛び交う鳥を見つめる少女…星野空音が居た。


見た目は、黒髪、黒瞳、ショートカット。


身長は152cmと小柄で、細身である。


空音「さむ!」


ママ……。


空音は、また冬が嫌いです。


何故なら寒いから。


でも、こいつは、毎年、毎年、やってくるので、


なんとか、最近、友達として、やっていけてます。


そちらはどうですか?


寒くない?


空音はね。


ママに貰ったマフラーがあるから、あったかいよー。


ふふ♬


ママの匂いがするしね。

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