第23話 責任と代償

ボクが眠りについたのを見て後輩達は帰ったらしい。今回ばかりはどうしようもなかった。あんなに楽しそうな後輩たちをみて自分も浮き立っていたのだから。

彼らを巻き込むことに抵抗があったがもう手遅れだと理解して話したがこれからどうなるのやら。

それにしても裏切り者…。そう言ったが一体誰なのだろうか。

声からすると女であろう。

女の部員は、颯那さん、彩音さん、妃結友さん。名前で呼んだ方が言いやすいから今回はこう呼ぶとして、3人はあの場にいた。それに3人ともボクを慕っているような発言が多い。

判断材料が無さすぎる。

………。いや待てよ。ボクは今までどうやって邪神の存在を感じていたんだ?元々身についていた事もあるがそれ以外にも何か単純な理由が…。

「そうか!そういう事か…。裏切り者がいるのは本当であることが分かる。つまり、その正体は……」

「そこまでだ。何も考えずにじっとしろ。そして発する事も禁ずる。」

……。

「さてだ。やはり理解が早いな。早めに消すべきだと判断したが流石に急所に当たらないとなると危機回避能力が自然と備わっているということか。」

「それで?ボクをわざわざ病院まで探し当てて殺しに来たのかい?」

「発することを禁ずるといったはずだ。」

!?

この女…殺気だけじゃなく銃を構えるのが早い。相当なやり手ってことか。

「まぁいい。今すぐ殺すのも良いが。余興として戦うのもありよな?クヒッ。」

「っ…。」

「そろそろ復活したんだろうから抵抗ぐらい出来るでしょ!!」

無数の銃弾が私と病室を襲う。私は必死に体を動かし、窓へと近づく。

「逃がすか!」

!まさか…スナイパーライフル!?

流石に不味い。

「ぅぅ。」

ボクは窓を割って飛び降りた。そして何とか着地をして走り出す。

「流石の度胸だ。褒めてやる。だが、これはどうかな?」

大きな機械を出し、ボクに照準を向ける。あれは、ガトリング。

流石に治りかけのボクには厳しい。だったら。

「星を紡ぐ白馬ワルキューレ!!」

私の言葉に応えるようにして私の前に白い刀が現れる。

「クッヒハハハ。面白い!面白いな!銃は剣より強い。それを分かった上で己の能力を信じるか。」

さっきよりも早く鋭く無数の弾丸が襲うが私には見える。隙生まれる度に前進する。

この刀は白馬のように早く、そして清く美しく輝く。

聖なる輝きは悪を断つ剣となる。この力と契約した時に交わした約束の交渉内容。

「なるほどならば、銃奏虚伝サラブレッド。」

彼女の言葉に合わせて銃は変形をし始め、彼女の周りに銃の幻影が漂う。

「流石にずるいな。キミたちの受けた契約による力はあまりに強大であり、危険なもの。やはり滅亡させるしかない!」

の決意に共鳴し、刀が輝きを増す。

「やはり星群。その力は邪魔である。お前らのその目が気に入らないのだ。」

私が!ここで、終わらせる。

刀に力を込める。ありったけの力をすべて。だが、、

「ぐっ。かはっ。」

血反吐を吐く。流石に急所を避けていたとはいえ近距離で食らっていたことからか治りきっていないためか。あまりに反動が強く現れている。

ダメだ。力が抜ける。

ワルキューレも光が失われ、消えてゆく。

「クヒャハハ。もう終わりなのかな!!」

幻影が一斉に私を襲う。生身では躱しきれない。

「しまっ…。」

弾丸の幻影の1つを捌ききれず真っ直ぐ私に目掛けてくる。

ここで終わるのか。そう思ったのだが…。

「同じ言葉で返してやろう。そこまでだ。」

声がした直後私の目の前に何者かが入り込み、爆風が吹き抜ける。

そうか…。ふふ。

「遅いですよ。まだ私は治りかけなんですよ。」

「すまない。こうなるとは予想出来なかった。」

爆風の霧が晴れて姿が段々と露になる。

金髪で黒いスーツ。サングラスをかけたいかにも怪しい見た目で胡散臭さが漂うこの男。

「今悪いこと思ってない?」

「気の所為ですよ、管理副部長。」

そう呼ばれた男が私の方を向き苦笑いする。

彼は私たちの星群創設時代の初代メンバーの1人だった。後に邪神の存在が再び感知されたことから、自らの手で総合管理組織を立ち上げ、歴代のメンバーと共に新たな大臣を生み出し今に至る。

「ありゃとんでもない相手だな。」

「はい、何よりあの幻影銃。どうすれば。」

あの能力の対処は難しい。戦っても感知できない。あれは一体。

「ふむ。飽きた。もう戦ったところで意味はなし。ならば帰るとした方が利益が高いからな。」

「逃がすとでも?」

「あぁ。お前は逃がすさ。なぜなら。」

そう言い終えると、彼女は幻影を発砲。

その刹那私は横に飛ばされる。

「ぐぅっ。」

副部長が辛そうな声を放つ。

「副部長!!」

「逃げろ、ヴァルキュリー。」

!私を星群コードで呼ぶということは命令だ。ならば。

「動くな。」

「あっ。」

私の右腹部に幻影の弾丸が貫く。

出血が絶えない。このままじゃ

「死んでしまう。か。」

!?

「まぁこれ以上は何もしない。精々楽しませろ。それとお前の後輩たちは無事力を得るようにしてやる。案ずるがいい。」

「ふざ…けるな!あの子たちに何かしたら絶対にゆるさ…くっ。」

「クヒャハハ!!惨めだな。まぁいい。せめてもの土産だと思え。いい眺めだぞ今日の夜空は。」

うぅ…。みんな…無事でいてくれ。

……。

私は気を失った。

病室では慌ただしい声が響きわたり、空は夜が明けてくる。

私の周りはまだ暗い。副部長も軽傷ではあるが足を打たれて動けない。

ヘルプが来るまでここで待機か。

あぁ。今日の星座は綺麗だ。

なのに…私は…。

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