第18話 悪と悔 side莉花
眠れない。多分今日彼らが来るのではないかと考えると警戒で安心が出来ない。
正直いうと怖い。だけどボクがこんな気持ちでは三人を守ることが出来ない。どうすれば…。
「おい。」
「っ!?」
くっ…もう来たか。
「おいおい。おかしいな〜。こういう時って普通驚いて悲鳴あげるとかじゃなくて?」
確かにそれはボクも思う。等の三人はバラバラな表情。泡沫さんは強張っていて、妃結友さんは睨みつけ、綾音さんは…寝てる。
「んじゃあまぁ、復讐といこうかねー。」
男共がボクらのテントに入ってこようとする。が、ボクを舐めてもらっては困る。
「ふげぇぇ。」
「ごはぁっ。」
前の奴らからまとめて一蹴りで吹き飛ばす。
あの頃からボクは修行してたくさんの武道を習った。これくらいなら対策済み。
「ほぉ。やるじゃねーか。だが、まだまだこんなもんじゃないだろうな?」
くっ…。流石に多すぎる。だけどボクらはテントから抜け出せた。おそらく泡沫さんは警察を呼ぶだろう。
部員の男子たちの助けを借りたいがタイミングが悪い。なにせ人数が減り切れて無いところで来てもらってもかえって危険が伴う。
ここで詰みか。
「さあ、ここからがデスゲームの始まりだ。」
「「「「「うおおおおおおお」」」」」
くっ。あまりに多すぎる。ダメだ勝てない。
「おらあぁぁ。」
!?
「ぐっ…」
なんで。
「大丈夫ですか、先輩。」
「佐城…くん」
ああ、やっぱり来てくれた。彼は私の
「ありがとう来てくれて。」
「いえ、俺は…。いやあなたとの約束を守るって言ったじゃないですか。」
あの時の…。なら立ち止まってはいられない。
「へ~。これはこれはあの時は世話になったね~坊主。」
「お前…。何でこんなことを。」
「そりゃ…お前等2人への復讐に決まっているだろう。」
こいつはボクだけでなく佐城君にまで敵視していたなんて…
「なるほど。じゃあお前らはチェックメイトだ。」
「は?なっ。」
いつの間に彼らの背後には警察が立っていた。いったいいつ…。
「先輩!何とか間に合いましたか?」
奏多くん!一八くん!
「グ…くそがぁぁああああ。」
っ。
「おい。先輩に手を出すな!」
「へぶっ」
佐城君が彼を吹っ飛ばした。その姿はあの時と変わっていない。
「くそ。だがまだ意識は狩り取れてな…。」
「はい、ストップ!」
「ぐほっ」
彼は佐城君しか見ていないせいか後ろで待機していた者に気づかなかったようだ。
確か彼は。
「遅いぞ朝日。」
「悪いな、ちょいとタイミングを掴むのが大変でね。」
よしこれで何とかなったわね。一時はどうなるかと思ったけど安心したわ。
「その…みんな本当にごめんなさい。私のせいで。」
もう皮を被り続けるのはやめよう。ちゃんと伝えないと。
「そして、助けてくれてありがとう。」
「先輩は何も悪くないです。」
「そうですよ。むしろ私たちを頼ってください。」
みんな…。
「ごめんなさい。そうさせてもらうわ。」
ああ、私は何を怖がっていたのだろうか。答えは最初から出ていたのに。
彼らは警察に連れられていった。中には反抗するものも現れたが、柳田くんの圧力か何かで黙らせていた。なんて恐ろしい。
それよりもみんなのアフターケアを。いや私もか。
「ま、怖いことがあったけど寝るには厳しいだろうから星を見るのはどうかしら?」
私は夜空を指さし、視線を促した。辺りは一面綺麗な星空となっている。まるで私の今の心を写すかのように美しく、雲一つない。
「夏の大三角形だ…。」
佐城君はそうつぶやいた。周りの後輩たちもつられるように釘付けとなった。
やっとみんなとこの景色が見られた。
先輩方、私は過去と向き合いやっと心から感動しています。みんなと笑顔で寄り添いながらこの夜空を夏の大三角形を。
『バンッ』
へ?銃…声?
「せん…ぱい?」
あれ、なんか痛い。え?なんで。
私の胸から赤い液が流れて。あ、視界がぼやけ…。
「あ、いやあぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁあ」
後輩たちの叫び声が聞こえる。
なんで。いったい誰が。
『あーあ。あっけないね。でもそう、あなたはここまでよ。知りすぎただけでなく今日、そしてこの場所で、夏の大三角形を見た。このまま君はすぐにでも真実へとたどり着くのであろう。だから、あなたをここで始末するのよ。』
誰なのかよく聞き取れない。でも近くにいた人だというのは。いやそんなことはない。だってそんな…。部員にいるはずが。
それを最後にわたしの意識は途絶えた。
もっと早くに伝えておくべきだったのかも。天文学部は表向きの名であること。
裏の名前、いや本当の名前は…。
『■■』
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