第4話 先輩と新しい部員たち(後輩たち)

「あぁ、お疲れ様。颯翔くん。」

先輩に挨拶をして俺はいつもの席に座る。別に特別なことはしない。ただ、部室にあるコーヒーメーカーを使って淹れたコーヒーを飲む。

先輩の名前は『寒月かんづき 莉花りか』といい、見た目通りのクールな先輩だ。

一息ついたところで本題に移るとしよう。

「で、先輩何用で俺を呼び出したんすか?」

「ふむ…。実はキミにお願いがあってだな。」

先輩は自分のコーヒーを一口つけてから淡々と話し始めた。

「もうそろそろ夏休みに入るだろう?そこでちょっとしたイベントをやろうかと思ってな。」

イベントか…確かにありではある。が、問題は…。

「部員のことだろ?大丈夫だ。今年の一年生は結構入ったぞ?」

「本当ですか?知らないうちに…」

「知らないのも無理はないさ、とにかく今日来てくれているから紹介しよう。」

先輩がそういうと、ドアが開きぞろぞろと人が入ってきた。ざっと4人か。

「さて、自己紹介を順番にしてくれないか?」

「はい!」

元気よく返事をしたのは一番最初に部室に入った女の子か。

「1年の花鷹はなたか 妃結友ひゆうです!寒月先輩に憧れて入りました!!よろしくお願いします」

なんともわかりやすい自己紹介だな。

「次は僕の番ですね。僕は胡桃夜くるみや奏多かなたです。星が好きで、何よりもみんなと色々なことをしたいという願望で入りました。まぁ…友達少ないんですけど…」

彼はメガネを整えながら答える。メガネを外したらこいつイケメンな気がするくらい顔整ってないか?

「次は私ねー。私は速川はやかわ 綺音あやね。なんか面白そうだからとりあえず入ったみたいなー。よろー。」

むむ、なんだこのギャルみたいな口調の後輩は。見た目は落ち着いてるのに。

「最後は俺やな。俺は、鈴木すずき 一八ひとやっていうんや。いっぱちとかいっぱつとかあだ名つけられていたんやけど全然一発屋の芸人とかじゃないから勘違いせんといてやー。よろしゅうな」

関西弁を喋る男が自己紹介を終えて次は俺たちの番になった。

「私は寒月 莉花。みんな知ってると思うけどここの部長よ。よろしく。それとこっちは佐城くん。で、そっちは?」

泡沫うづき 楓那ふうなっていうよー。みんなうちのこと忘れないようにね。」

「っておい!!なんで俺の紹介飛ばすんだよ!」

俺の自己紹介を適当にされ、同期の泡沫に全部取られるとか…。

「あら?何か間違いでもあるかしら?」

この…クソ女は…………。まぁいい、後輩の前ではそんなこと言えないよね。

「よし、終わったところでまずはこの夏何をするのかについての議論をしたいと思う。」

先輩が発言するのと同時に泡沫はホワイトボードに議論内容を書き出す。彼女は書記係で、先輩が進行、俺は意見を考え、穴がないか考える担当。部員がいないから少ない人数での役職となるが仕方ない。

「はいはい!!」

妃結友が元気よく挙手した。

「私は、初めましてということも兼ねて仲良くなるためキャンプとかどうですか?」

「キャンプか、確かに夜に星も見れそうだしいいね!!男性陣はどうー?」

綾音の言葉にみんな否定しない。

俺的にもキャンプするのはありだと思う。 場所の確保が大切になってくるな…。

「よし、じゃあキャンプに決定しようか。場所に関しては私たち在校生でなんとかしよう。キミたちはキャンプで何したいのか話し合うように頼むよ。」

「「「「はい!」」」」

流石先輩。こんなにもキャラが濃そうな人たちを簡単にまとめ上げるオーラ。すごい人だ本当に。

「では、今日はこれで解散!!そして在校生の二人は残るように。」

「うーす」「はいよー」

俺らは返事し、新入生を送り出す。

ここからは大仕事になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る